近年、精神医学や精神薬理学の進歩によって
新しい薬も増えてきました。
双極性障害に新しい抗精神病薬(非定型抗精神病薬)である
ジプレキサが躁状態の改善に有効なことが国内でも確かめられました。
双極性障害の主な治療薬はリチウム(リチウム塩:商品名リーマス)です。
バルプロ酸(デパケン)、カルバマゼピン(テグレトール)なども使われます。
急性の躁状態についてはリチウムが直ちには効かないので
抗精神病薬を使うことがあります。
従来の抗精神病薬は定型抗精神病薬と呼ばれます。
躁に対して非定型抗精神病薬で抑えることも近頃は珍しくないようです。
なぜかというと、自然な治り方をするからです。
「質のよい治療ができる」とも言えると思います。
従来の定型抗精神病薬は、副作用が強かったり鎮静が強すぎたりすることがあります。
明らかに「薬を飲んでいる」というような治り方をするわけです。
最近の非定型抗精神病薬だと、副作用も少なくなっていて
適切に使えば過鎮静になることもなく自然に治っていきます。
最近の薬と昔の薬では、効き目が違うというより効き方の質が違うのです。
そういう非定型抗精神病薬も副作用が全くないわけではなく
体質的に合わない人もいるので、従来の定型抗精神病薬もいまだ現役です。
また、抗うつ薬も効き目もよくて副作用も少ないと言われるものが
主流になってきましたが、やはり新しい薬が合わない人もいます。
だんだんよい薬はできてきてはいるのですが、まだまだ選択肢が十分とは言えず
早くもっとよい薬がもっといろいろ使えるようになればと思います。