2018年のアニメ「伊藤潤二『コレクション』」において、田頭しのぶ監督は全精力を注いで私の短編ホラー漫画をアニメ化してくださいました。
短編のアニメシリーズ化は、なかなか実現させるのが難しいと思われましたが、田頭監督とスタッフの皆様の熱意によって実現しました。その出来栄えに満足し、もう思い残す事はない、そんな風に思っていたのですが、なんと、今回「伊藤潤二『マニアック』」というタイトルで新たなプロジェクトが実現したのです。
ただ、不安もありました。めぼしい原作は『コレクション』で既にアニメ化してしまっていたのではないか？　しかしそれは杞憂でした。田頭監督は私の原作を発掘し、時には忠実に、時には独自の解釈を投入して、アニメーションとして新たな命を吹き込んでくれました。そして完成した作品たちは、期待以上の仕上がりになっています。
今回も私の夢を実現してくださった田頭しのぶ監督をはじめ、ご尽力くださったスタッフの皆様、製作委員会の皆様、そしてNetflixの皆様方に心から感謝申し上げます。

私が10代の頃、「ハロウィン」というホラー雑誌と伊藤潤二先生の漫画に出会いました。
富江を読んだ時の衝撃と双一の怪しさが忘れられません。
この頃に、伊藤先生の漫画は私がアニメ化して自分が監督をする！と漠然とした夢を持ちました。
アニメ業界に入った後も伊藤潤二漫画を私がアニメ化したいと言い続けました。
話を聞いていた人達は、無理だろうと思っていたと思います。
業界歴も長くなってきた２０１６年１１月、一人で企画を立ち上げました。
その後、たくさんの方に力を貸して頂き実現したアニメ化プロジェクト第一弾『伊藤潤二「コレクション」』奇跡が起こったようでした。
そして今回、アニメ化第二弾決定。
状況は色々変化がありましたが、また監督を任せて頂けて本当に嬉しかったです。
ですが、奇跡が起こり頑張ってきたご褒美を貰えたとはもう言えません。
『伊藤潤二「マニアック」』と銘打ち、全１２話２０タイトルの選別。
原作のタイトルを全部付箋に書き、ホワイトボードに張り出して何時間も睨みつけていたのを覚えています。
厳選した後も、タイトル順番、ABパートカップリング、次回予告とのバランス。
考えに考え、決めた２０タイトルです。
スケジュールを確保して頂けたので、全話数の絵コンテを私が切らせて頂きました。
原作の空気感を再現するため、バランスを見ながら各設定や場面設定、状況設定を作り込み素材も細かく作り込み、全て揃えた状態で各話のスタッフさんに託す事が出来ました。
各話のスタッフがそれをどう料理して映像にしたのかも見所の一つかと思います。
キャラクターの演者さんも完璧です。
大変な時期でのアフレコでしたが、毎回楽しかったです。
効果も気持ち悪い音をつけてくれたり、音響も劇伴も素晴らしいです。
２０タイトル全て毛色が違い、次回予告まで楽しめる仕掛けを作りました。
是非、『伊藤潤二「マニアック」』を観て頂けると嬉しいです。
そして、アニメ化第３弾も実現出来る様、何卒よろしくお願い致します。