カサゴ目 ネッタイミノカサゴPterois antennata
分類 学名 Scorpaeniformes Greenwoodet al. , 1966 下位分類 本文参照
カサゴ目 (カサゴもく、学名 :Scorpaeniformes )は、硬骨魚類 の分類群の一つ。6亜目41科398属で構成され、カサゴ ・メバル ・オニオコゼ ・ホウボウ ・コチ ・アイナメ など底生性の海水魚 を中心に、少なくとも2,100種が含まれる。眼下骨棚と呼ばれる骨格 上の特徴を唯一の根拠としてまとめられた一群であり[ 1] 、所属する魚類 の形態ならびに生態は多様性に富んでいる。カジカ目 とも呼ばれる。
分子系統解析によってスズキ目 やトゲウオ目 の一部などを内群に含む多系統群であることが知られており[ 2] 、これらとともにペルカ目 としてまとめる説もある[ 3] 。
カサゴ目には2016年 の時点で2,000を超える種が所属し、魚類の目 の中でも大きな一群となっている。海産種を中心とするグループとしては2番目の規模をもち、系統順位の上でもスズキ目に続いて進化 の進んだ高位群として位置付けられている。
カサゴ目の魚類は極海を含めた世界中の海に分布するとともに、沿岸海域から海溝 の深部(水深7,000m以深)に至るまで、極めて幅広い生息水深をもつ。頭部にトゲや骨質の隆起を備えたいかつい風貌のフサカサゴ科、指のような胸鰭で海底 を歩くように移動するホウボウ科、頭部が平たくつぶれたコチ科、ぬるぬるした柔軟な体のクサウオ科など、その形態もまた多種多様である。メバル やホッケ 、ギンダラ など多くの種類が釣魚・食用魚として利用されるほか、ミノカサゴ など観賞魚 として水族館 で飼育される鮮やかな色彩をもつ仲間も数多い。
カサゴ目は眼下骨棚 (英 :suborbital stay )と呼ばれる骨格上の特徴を根拠としてまとめられたグループである。パタエクス科(3種)を除くほぼすべてのカサゴ類はさまざまに発達した眼下骨棚をもち、本目を一つのまとまった分類群 として定義するための重要な形質 とみなされてきた。しかし、眼下骨棚は複数の異なるグループがそれぞれ独自に獲得した一つの形質に過ぎず、カサゴ目は起源の異なる分類群を寄せ集めただけの多系統群 であるとする報告もなされている[ 4] 。このように、近年では本目の単系統性 を否定する見解が多いものの、包括的な新分類の提示はいまだなされておらず、従来のカサゴ目としての体系が維持されている。[要出典 ]
ウツセミカジカCottus reinii (カジカ科)。本種は琵琶湖 固有の独立種とされてきたが、近年ではカジカ(C. pollux )と同種とみなす見解もある カサゴ目の仲間はその多くが海水魚で、極圏 を含めた全世界の海洋 に分布する。カサゴ ・ホウボウ ・コチ の仲間は熱帯 から温帯 にかけての温暖な海に、アイナメ ・カジカ ・ダンゴウオ 類は北部太平洋 を中心とした寒冷な海に生息するものが多い。トクビレ科・クサウオ科の一部の魚類が北極海 ・南極海 に進出する。海産種の生息水深はタイドプール (潮だまり)、沿岸域から深海 まで幅広く、クサウオ科には水深6,000m以深の超深海層に分布する深海魚 も知られている。
カジカ科には約60種の淡水魚 が所属し、日本を含む世界各地の河川 ・湖沼 に分布している。カジカ科の一部の属、およびコメーポルス科・アビュッソコットゥス科の両科に所属する魚類はバイカル湖 (ロシア )の固有種 で、他の水域から隔絶された環境下で独自の種分化 を遂げたグループとなっている。
南北に細長い日本の海には数多くのカサゴ目魚類が分布しており、北日本 の寒冷な海にはダンゴウオ科・アイナメ科などが、また本州 以南の比較的温暖な地域ではフサカサゴ科の仲間が生息する。淡水産種としてはカジカ科の7種が知られ、そのうちカジカ (Cottus pollux )・ウツセミカジカ ・ハナカジカ ・アユカケ の4種は日本固有種である[ 5] 。西表島 の沿岸に分布するハオコゼ亜科(フサカサゴ科)の2種(ヒゲソリオコゼTetraroge niger およびアゴヒゲオコゼT. barbata )は、汽水域 から淡水 にも進出する。
ウルマカサゴScorpaenopsis oxycephala (フサカサゴ亜科)。カサゴ類の頭部は骨質・肉質の突起や皮弁に覆われ、独特のいかつい顔を呈する カサゴ目魚類における最も重要な形態学的特徴として、眼下骨棚 の存在が挙げられる。眼下骨とは眼窩 の周りを囲む複数の骨を指し、本目の魚類ではその中で三番目にあたる眼下骨[ 6] からトゲ状の突起が後方に伸び、これを眼下骨棚と呼んでいる。眼下骨棚の発達の度合いはグループによってさまざまであるが、一般に頬を横切って前鰓蓋骨にまで達する。眼下骨棚は明瞭でわかりやすい特徴であることから、カサゴ目は19世紀 初頭には既にひとまとめの分類群として扱われてきた[ 4] 。
眼下骨棚以外の本目魚類の共通点としては、発音筋および頭頂骨 に開いた感覚管の存在が知られている[ 4] 。発音筋は浮き袋 を収縮させ音を発する機能をもつ筋肉 で、ニベ (スズキ亜目 ニベ科 )など他のグループの魚類でもみられる。頭頂骨の感覚管は頭部両側の側線 系を連絡するための管で、ゲンゲ亜目 などスズキ目の複数の群と共通する特徴である。
頭部にいぼ状あるいはトゲ状の突起や房状の皮弁をもつ種類が多く、頑丈な骨質の隆起で覆われるものもある。オニオコゼ などフサカサゴ科の仲間は特に発達した皮弁をもち、藻類 や岩に擬態 して敵や獲物の目をあざむく。体色 はグループによってさまざまだが、深海に生息するアコウダイ やホウボウの仲間は赤い体色をしていることが多い。深海には赤い波長 の光はほとんど届かないことから、赤い体色は保護色としての機能をもつと考えられている。
背鰭 と臀鰭に棘条をもつことが多い。腹鰭は多くの場合胸の位置にあり、ほとんどの種類では1本の棘条と5本の軟条で構成される。胸鰭は丸みを帯びて大きく発達しており、下位の軟条が遊離して大きく広がるものもある。
オニダルマオコゼSynanceia verrucosa (オニオコゼ亜科)。背鰭の棘条には猛毒があり、刺された場合死に至ることもある。岩に擬態して見つけづらく、注意を要する魚類である ほとんどのカサゴ目魚類は、海底であまり動かずに生活する底生魚である。沿岸の岩礁域で暮らすメバル類、熱帯のサンゴ礁 に多いカサゴ類、砂泥底での生活に適応したコチ類・ホウボウ類など、生活環境は多種多様である。一生を通して大々的な移動をする種類は少ないが、淡水産のカジカ類では成長段階に応じて海と河川とを往復する回遊 性の魚類が知られている。ギンダラ科の2種(ギンダラ およびアブラボウズ )は未成熟の段階では表層で生活し、成魚になった後に深海へ移行する。また、ホッケ の若魚は比較的広範囲の海域を回遊する。
本目の魚類は大半が肉食性 で、ゴカイ ・貝類 ・甲殻類 ・小魚などを捕食する。中〜大型種の多くが食用種として利用され、メバル亜科・ホッケ亜科・コチ科の仲間のほか、ギンダラ(ギンダラ科)・ランプサッカー(Cyclopterus lumpus 、ダンゴウオ科)などは特に重要な漁業対象種となっている。
ハオコゼ ・ミノカサゴ ・オニオコゼ など、鰭 の棘条に毒 をもつ種類も多い。刺された場合は強い痛みを伴い、特に強力な毒をもつオニダルマオコゼ では死に至ることすらある[ 7] 。そのため英語では、この仲間をサソリ やスズメバチ に例えてスコーピオンフィッシュ(Scorpion Fish )、ワスプフィッシュ(Waspfish )と呼ぶこともある。
Nelson(2016)では6亜目41科398属2,092種が認められている[ 8] 。棘鰭上目 の中では比較的高位なグループとして、スズキ目の前に位置付けられている。
本目の分類体系には異論が多く、カサゴ亜目としてスズキ目の内部に含める体系もある[ 9] 。一方で、本目がスズキ目に内包されるグループであること、およびカレイ目 ・フグ目 を含めたスズキ目派生群の姉妹群 であることのいずれをも否定する見解もある[ 10] 。また、カサゴ亜目とカジカ亜目を起源の異なる群とみなし、それぞれをハタ科 およびゲンゲ亜目 (いずれもスズキ目)と近縁であるとする報告もある[ 11] 。Nelson(2016)の体系ではゲンゲ亜目やトゲウオ亜目の一部をカサゴ目に含め、セミホウボウ科 をヨウジウオ目 に分類している[ 8] 。
ケルプロックフィッシュSebastes atrovirens (メバル亜科)。メバル類は卵胎生で、岩礁域や藻場 で暮らす魚類が多い ヒレナガキチジSebastolobus altivelis (メバル亜科)。日本で食用とされるキチジ に近い仲間 ハナミノカサゴ Pterois volitans (フサカサゴ亜科)。ミノカサゴの仲間はサンゴ礁に生息し、鰭の棘条に強い毒をもつキミオコゼPterois radiata (フサカサゴ亜科) ボロカサゴRhinopias frondosa (フサカサゴ亜科)。色彩変異に富む種類。無数の皮弁に覆われた皮膚は定期的に剥がれ落ちる ラージスケールド・スコーピオンフィッシュScorpaena scrofa (フサカサゴ亜科) ハダカハオコゼTaenianotus triacanthus (フサカサゴ亜科)。色彩変異が多く、皮膚は定期的に脱落し新しく入れ替わる ヤマヒメSnyderina yamanokami (ハオコゼ亜科)。やや深場に住む種類 カサゴ亜目 Scorpaenoidei は6科90属513種で構成される。鮮やかな色彩をもつ観賞魚、漁業資源となる食用魚、また強力な毒をもつ危険な魚類まで多様な種類が含まれる大きなグループである。Ishida(1994)による11科の体系[ 12] 、あるいはImamuraによる20科の体系など、本亜目をさらに細分化した分類体系がいくつか提示されているが、Nelson(2016)での採用は見送られている[ 8] 。
フサカサゴ科 Scorpaenidae は9亜科65属454種で構成される。世界中の温暖な海域を中心に分布するが、インド洋・太平洋に特に多い。メバル ・クロソイ ・カサゴ ・アコウダイ ・キチジ ・メヌケ など、多数の水産重要種が含まれる。ほとんどの種類で体内受精 による繁殖を行い、メバルの仲間は多くが卵胎生 である。一部の種類では卵が風船状のゼラチン膜によって包まれ、カリフォルニアカサゴ(カリフォルニアスコーピオンフィッシュ、学名:Scorpaena guttata )は直径20cmに及ぶ卵風船を形成することが報告されている[ 8] 。
体はやや左右に平べったく側扁する。頭部に多数の突起やトゲをもち、複雑な形状の皮弁を備えるものも多い。鰓蓋骨および前鰓蓋骨にはそれぞれ1-2本、3-5本のトゲをもつ。眼下骨棚は前鰓蓋骨と頑丈に固定されることが多い。鱗 は櫛鱗で、もたない種類もある。背鰭は通常1つで、多くの場合切れ込みをもつ。背鰭・臀鰭・腹鰭はそれぞれ11-17本、1-3本、1本の鋭い棘条をもち、しばしば毒腺 と連続する。胸鰭は大きく発達する。ヒメキチジ属など一部の属では浮き袋を欠く。
オニオコゼ亜科 Synanceiinae 3族9属36種。オニオコゼ科 Synanceiidae として分類されることもある[ 13] 。体部の鱗を欠く(側線鱗は皮膚 に埋もれる)。頭部が大きく、浮き袋をもたない。背鰭の棘条は毒腺と連続し、致死性の高い強力な神経毒 が分泌される。砂地に体を埋もれさせたり、岩に擬態したりする習性があり、分布域では特に注意が必要な魚類である。ヒメオコゼ族 Minoini 1属12種。インド洋から西部太平洋にかけての砂泥底に生息し、比較的深い海域(420m程度)まで分布する。胸鰭の最後の軟条が遊離し、これを利用して海底を歩くように移動する。各鰭の軟条は分枝しない。体は滑らか。 オニオコゼ族 Choridactyliniオニオコゼ など2属14種。分布範囲はインド太平洋 の沿岸から水深90mまで。鱗は皮膚に埋もれ、いぼ状の突起となって全身を覆う。胸鰭に2-3本の遊離軟条をもち、ほとんどの軟条は分枝する。 オニダルマオコゼ族 Synanceiniオニダルマオコゼ など6属10種。全身がこぶで覆われ、岩に擬態する。胸鰭に遊離軟条はない。ほとんどの種類は上向きの口と眼をもつ。 ダンゴオコゼ科 Caracanthidae は1属4種からなり、インド洋から太平洋にかけて分布する。主にサンゴ礁で生活する体長7cm未満の小型魚類である。体型は楕円形で、著しく側扁する。全身は細かい突起に覆われ、口は小さい。背鰭はうなじから起始し、大きな切れ込みをもつ。側線上に管状の鱗が並ぶ。Nelson(2016)ではフサカサゴ科の亜科に分類されている。
イボオコゼ科の1種(Cocotropus roseus )。背鰭の先端が眼のすぐ上に位置することが本科魚類の特徴である イボオコゼ科 Aploactinidae は17属48種を含む。インド太平洋の沿岸域に分布し、特にインドネシア からオーストラリア にかけての海域に多い。
ほとんどの種類は頭部にこぶ状の突起をもち、体は無数のトゲ状あるいは絨毛状の鱗に覆われる。鰭の軟条は分枝しない。背鰭の起始部は眼の直上にあり、最初の3本の棘条と後部との間に切れ込みをもつこともある。臀鰭の棘条を欠くことが多く、ある場合でも不明瞭。口蓋骨 の歯を欠く。南シナ海 に分布するProsoproctus pataecus は肛門 が腹鰭基底部のすぐ後ろに開口し、カサゴ目の中では際立った特徴となっている。
Eschmeyeridae は1属1種からなり、フィジー近海に固有である。
パタエクス科 Pataecidae は3属3種からなり、オーストラリア周辺海域に分布する。本科の仲間はいずれも眼下骨棚をもたず、カサゴ目の中では例外的な存在である。このため、本科をパタエクス亜目 Pataecoidei としてスズキ目に含める見解もある[ 14] 。
鱗がなく、鰭は分枝しない。腹鰭を欠く。背鰭の基底は非常に長く、尾鰭と連続する種類もある。
パタエクス属Pataecus 他2属(Aetapcus 、Neopataecus ) グナタナカントゥス科 Gnathanacanthidae は1属1種で、オーストラリア南部の海に住むレッド・ベルベットフィッシュ(G. goetzeei )のみが所属する。
背鰭は2つに分かれ、第1背鰭は7本の棘条で構成される。鱗をもたず、皮膚は柔らかい。鰓蓋に2本の大きなトゲをもつ。
フエフキオコゼ科の1種(Congiopodus leucopaecilus ) フエフキオコゼ科 Congiopodidae には4属9種が含まれる。南半球 の海に幅広く分布し、水深500mまでの深海に住むものもいる。最大で80cm程度にまで成長する。
吻 がやや突き出ており、鼻孔 は一対のみ。鱗はなく、体表は顆粒状の突起に覆われる。鰓の開口部は小さく、胸鰭基底の上に位置する。側線はよく発達する。
コチ亜目 Platycephaloidei は5科39属273種で構成される。大きくホウボウ類とコチ類に分けられ、前者は全世界の温暖な海に、後者はインド洋・太平洋を中心に分布する。いずれも底生性の魚類であり、砂泥中に潜り込んで生活する種類も知られる。
ホウボウ科およびキホウボウ科はかつてカサゴ亜目に所属していたが、現在では本亜目に含められている。形態のよく似たネズミゴチ(Repomucenus curvicorni )はスズキ目ネズッポ亜目 に属し、カサゴ目の魚類ではない。体は細長く、頭部は平たく縦扁する。背鰭は通常2つあり、腹鰭は幅広い。
ホウボウ科の1種(Chelidonichthys lucernus )。本科魚類は胸鰭の3本の鰭条が遊離し、指のような働きをする カナドLepidotrigla guentheri (ホウボウ科)。背鰭の第2棘条が特に長い。塩焼きや練製品として利用される食用種 ホウボウ科 Triglidae にはホウボウ ・カナガシラ ・ソコホウボウ など3亜科9属125種が所属し、世界中の熱帯・温帯海域に分布する。底生生活に適応した魚類で、底引き網などで漁獲される多くの食用種が含まれる。
口は端位。頭部にヒゲはないが、吻の先端に数本のトゲがある。胸鰭の軟条は後部の3本が遊離し、指のように動いて海底の移動と餌の探索に利用される。背鰭は2つに分かれ、前半は棘条、後半は軟条のみで構成される。
Prionotinae 2属を含み、大西洋を中心に分布する。側線は尾鰭の上で分岐しない。イトヒキホウボウ属Bellator ニシホウボウ属Prionotus Pterygotriglinae 2属から構成される、深海の海底に生息するグループ。ソコホウボウ属Pterygotrigla ミナミソコホウボウ属Bovitrigla Triglinae 7属。カナガシラ属Lepidotrigla ホウボウ属Chelidonichthys 他2属 キホウボウ科 Peristediidae は6属44種を含み、熱帯域の深海底に分布する。口は下向きで、下顎にヒゲをもつ。全身は4列に並んだトゲ状の骨板に覆われる。胸鰭下位の遊離軟条は2本。
イソキホウボウ属Satyrichthys イトキホウボウ属Heminodus オニキホウボウ属Gargariscus キホウボウ属Peristedion コウトウキホウボウ属Paraheminodus ヒゲキホウボウ属Scalicus アカゴチ科 Bembridae は5属11種からなり、インド洋・太平洋の深海(150-650m)に分布する。赤い体色をもつ小型の底生魚である。ウバゴチ属は独立のウバゴチ科 Parabembridaeとして分類されることもある。
頭部は強く縦扁し、平べったくなっている。背鰭は棘条部と軟条部に分かれる。
アカゴチ属Bembras ウバゴチ属Parabembras バラハイゴチ属Bembradium 他2属 コチ科の1種(Papilloculiceps longiceps )。本科魚類は強く縦扁した平べったい頭部が特徴 ダスキーフラットヘッドPlatycephalus fuscus (コチ科) コチ科 Platycephalidae にはマゴチ ・メゴチ など18属80種が所属し、インド洋・太平洋を中心に分布する。沿岸から深海(水深300mまで)にかけての海底に生息し、砂底に潜る習性をもつ種類が多い。コチ属の1種(Platycephalus sp.)など、体長1mを超える大型種を含む。
頭部は強く縦扁する。背鰭は棘条部と軟条部に分かれ、第1棘条は非常に短く第2棘とはわずかに連続する。腹鰭は胸鰭の基底よりも後方に位置する。
イネゴチ属Cociella エンマゴチ属Cymbacephalus オニゴチ属Onigocia クモゴチ属Kumococius クロシマゴチ属Thysanophrys コチ属Platycephalus スナゴチ属Sunagocia トカゲゴチ属Inegoia ハナメゴチ属Ratabulus ホホトゲゴチ属Sorsogona マツバゴチ属Rogadius メゴチ属Suggrundus 他6属 ハリゴチ科 Hoplichthyidae は1属13種からなり、インド洋・太平洋の沿岸から水深1,500mまでの深海に分布する。ハゼ亜目 との密接な類縁関係が指摘されている一群である。
体は細長く、頭部は強く縦扁する。鱗をもたず、体側にはトゲ状の突起が列をなして並ぶ。胸鰭下位の3-4軟条は遊離する。
ノルマニクテュス亜目 Normanichthyoidei は1科1属1種の単型 である。
ノルマニクテュス科 Normanichthyidae は1属1種で、ペルー ・チリ の沖合に分布するN. crockeri のみが含まれる。本科はかつて所属したカジカ亜目から分離された一群であるが、他のグループとの類縁関係については現在でもあまりわかっていない。体は櫛鱗で覆われ、肋骨 を欠く。
ノルマニクテュス属Normanichthys crockeri ゲンゲ亜目 Zoarcoidei は10科109属405種を含む。スズキ目に含める見解もあるが、Nelson(2016)ではカサゴ目に分類されている[ 8] 。
トゲウオ亜目 (英語版 ) は4科9属24種を含む。トゲウオ目の亜目とする見解もあるが、Nelson(2016)ではカサゴ目の亜目とされている[ 8] 。
カジカ亜目 Cottoidei はAnoplopomatoidea・Zaniolepidoidea・Hexagrammoidea・Trichodontoidea・カジカ上科・ダンゴウオ上科の6上科の下、15科112属837種で構成される。淡水から海溝 の深部まで、多様な生息範囲をもつグループである。本亜目の単系統性および内部の類縁関係は多くの研究者によって否定されており、カジカ類全体をスズキ目ゲンゲ亜目と並置する見解もあるなど[ 11] 、その位置付けはなお流動的である。
コメーポルス科・アビュッソコットゥス科の2科はバイカル湖 (ロシア )に固有で、独自の種分化を遂げたグループである。両科すべてをカジカ科カジカ属に含める見解もある[ 15] 。
ギンダラ Anoplopoma fimbia (ギンダラ科)。オホーツク海・ベーリング海などに分布する水産重要種アブラボウズ Erilepis zonifer (ギンダラ科)。カサゴ目の中では最大級の魚類で、体長1.8mに達するアイナメ Hexagrammos otakii (アイナメ科)。日本各地の沿岸で普通にみられ、刺身から鍋料理までさまざまに利用されるペインテッドグリーンリングOxylebius pictus (アイナメ科) Anoplopomatoidea 上科は1科2属2種で構成される。ギンダラ亜目Anoplopomatoidei とする場合もある。
ギンダラ科 Anoplopomatidae は2属2種からなり、ギンダラ (Anoplopoma fimbria )およびアブラボウズ (Erilepis zonifer )のみが所属する。いずれも体長1mを超える大型の魚類で、日本近海からベーリング海 、カリフォルニア沿岸にかけて分布する。2種ともに体の脂肪分が非常に多いが食用として利用され、特にギンダラは北洋の重要な漁業資源となっている。
頭部にトゲや突起、あるいは皮弁といった構造をもたない。背鰭は2つで、臀鰭には3本の弱い棘条をもつ。鼻孔は2対でよく発達し、側線は1本。
Zaniolepidoidea は1科2属3種で構成される。かつてはアイナメ科に含まれていた。
Zaniolepididae は2亜科2属3種を含み、全種が北東太平洋に分布する。背鰭の第一条と第二条が分離している。
Oxylebiinae 亜科 1属1種。背鰭の切れ込みは浅い。臀鰭には3本の発達した棘条をもち、2本目が最も長い。頭部は鱗に覆われ、側線は1本。Zaniolepidinae 亜科 1属2種。背鰭の切れ込みは後方にあり、深い。背鰭の棘条は先頭の3本が発達し、特に2本目は著しく長い。側線は1本。Hexagrammoidea は1科3属9種で構成される。アイナメ亜目 Hexagrammoidei とする場合もある。
アイナメ科 Hexagrammidae は3亜科3属9種を含み、すべて北部太平洋に分布する。多くの種類は沿岸で暮らし、卵を保護する習性がある。
頭部にトゲや突起はないが、眼の上に皮弁がある。鼻孔は1対のみ発達し、もう1対は欠くかごく小さい。背鰭は1つで、切れ込みをもつことがある。側線は1本あるいは5本。浮き袋をもたない。
アイナメ亜科 Hexagramminaeアイナメ ・クジメ など1属6種。頭部は鱗で覆われる。背鰭の切れ込みはほぼ中央部にあり、棘条部と軟条部の境界となっている。臀鰭に棘条はなく、尾鰭は丸みを帯びる。側線は1あるいは5本。ホッケ亜科 Pleurogramminaeホッケ とキタノホッケ のみ1属2種で構成され、いずれも重要な漁業対象種である。遊泳性が比較的強く、若魚は広範囲な回遊を行う。頭部の鱗は部分的で、背鰭の切れ込みはない。臀鰭に棘条をもたず、尾鰭は二又に分かれる。頭蓋骨に発達した突起をもつ。側線は5本。Ophiodontinae 亜科 1属1種で、アラスカ からメキシコ 北部にかけて分布する食用種、キバアイナメ (O. elongatus )のみが所属する。体長1.5mに達する大型種で、他の魚類や甲殻類・イカ などを貪欲に捕食する。背鰭には深い切れ込みがあり、棘条部と軟条部を分かつ。臀鰭には3本の未分枝の鰭条がある。口が大きく、牙のような歯をもつ。頭部に鱗はなく、側線は1本。Trichodontoidea は1科2属2種を含む。北太平洋に分布する。
ハタハタ科 Trichodontidae はハタハタ とエゾハタハタ の2属2種を含む。かつてはワニギス亜目 に分類されていた[ 8] 。
カジカ上科 Cottoidea は7科94属387種を含む。基蝶形骨を欠き、肩甲骨 は烏口骨 と接続しない。
Jordaniidae は2属2種を含む。東太平洋に分布する。かつてはカジカ科に含まれていた。
クチバシカジカ科 Rhamphocottidae は1属2種が所属する。日本からカリフォルニアにかけての北部太平洋沿岸域に分布する。頭が大きく、体長(8cm程度)の半分に達する。口蓋骨の歯を欠く。
トリカジカ科 Ereuniidae は2属3種からなり、北西部太平洋の深海に分布する。体はトゲ状の櫛鱗に覆われる。胸鰭の下位に4本の遊離軟条をもつ。基舌骨を欠き、下尾骨は完全に癒合する。トリカジカ属は腹鰭をもたない。Nelson(2016)ではクチバシカジカ科に含まれる[ 8] 。
トリカジカ属Ereunias マルカワカジカ属Marukawichthys カベゾンScorpaenichthys marmoratus (Scorpaenichthyidae 科)。北アメリカで食用として利用される種類 Scorpaenichthyidae は1属1種を含む。北アメリカ大陸の太平洋岸に分布する。
トクビレ科 Agonidae (Poacher ) は8亜科25属59種で構成される。北太平洋を中心に分布し、一部の種類は北極海にも進出する。浮き袋をもたない底生性魚類の一群で、最大長は30cmほど。沿岸から1,000m以深の深海にまで幅広く分布する。
体は細長く、硬い骨板に覆われる。各鰭の鰭条は分枝しない。背鰭は2つあることが多く、前半部は棘条のみで構成される。腹鰭は1棘2軟条で、臀鰭は軟条のみ。
サイトクビレ亜科 Bothragoninae 1属2種。イヌゴチ亜科 Hypsagoninae 3属7種。イヌゴチ属Percis クマガイウオ属Agonomalus ツノシャチウオ属Hypsagonus ナメトクビレ亜科 Anoplagoninae 2属3種。タテトクビレ属Aspidophoroides ナメトクビレ属Anoplagonus シチロウウオ亜科 Brachyopsinae 6属9種。オニシャチウオ属Tilesina サブロウ属Occella シチロウウオ属Brachyopsis ヤギウオ属Pallasina 他2属 ソコトクビレ亜科 Bathyagoninae 3属9種。イソバテングBlepsias cirrhosus (ケムシカジカ科)。海綿 に卵を産み付ける習性があり、孵化までに約200日かかる ケムシカジカ科の1種(Hemitripteridaesp. )。全身にこぶ状突起や皮弁が発達する ケムシカジカ科 Hemitripteridae (Sea raven ) は3属8種を含み、北部太平洋と大西洋北西部に分布する。体は微細なトゲによって覆われる。基舌骨および浮き袋を欠く。Nelson(2016)ではトクビレ科の亜科とされている。
カジカ科の1種(Artedius corallinus ) イダテンカジカOcynectes maschalis (カジカ科)。潮だまりなどごく浅い海域で生活する カジカ科の1種(Orthonopias triacis ) ヤナギアナハゼPseudoblennius argenteus (カジカ科)。第1背鰭にある3つの黒色斑が本種の特徴 カジカ科 Cottidae (Sea Scorpion )にはカジカ ・トゲカジカ・アナハゼ など70属282種が所属する。ほとんどの種類は北部太平洋の沿岸域に分布する海水魚で、多様な種分化が認められる。南半球に分布する仲間はオーストラリア・ニューギニア島 ・ニュージーランド の近海に産するAntipodocottus 属の4種に限られ、いずれも深海性である。Cottocomephorus 属など、バイカル湖固有の淡水産種も含まれる。
眼が大きく、体の高い位置にある。側線は1本。臀鰭の棘条を欠く。成魚は浮き袋をもたない。
コメーポルス科 Comephoridae は1属2種からなり、いずれもバイカル湖固有種である。湖の中層で生活する漂泳性魚類で、体重を軽くするための適応が多くみられる。脂肪含有量が高く、体は半透明。卵胎生である。Nelson(2016)ではカジカ科の亜科とされている。
鱗はなく、胸鰭は非常に長く大きい。腹鰭と後擬鎖骨を欠く。骨は多孔性。
アビュッソコットゥス科 Abyssocottidae には6属22種が所属する。バイカル湖固有種で、水深170m以深の湖底で生活する。後擬鎖骨はないか、あっても退化的。腹鰭をもつ。Nelson(2016)ではカジカ科の亜科とされている。
ニュウドウカジカPsychrolutes phrictus (ウラナイカジカ科)。ウラナイカジカ亜科の仲間は、眼窩の間隔が大きく離れている ウラナイカジカ科 Psychrolutidae は2亜科8属38種で構成される。三大洋の沿岸から深海(水深2,800m)まで分布し、最大長は65cm程度。
体は滑らかか、いぼ状の板で覆われる。眼窩同士の間隔が広い。側線は退化的。背鰭の棘条部と軟条部は多くの場合一続きで、一部が皮膚に埋もれることがある。鰓条骨は7本。口蓋骨の歯を欠き、前鋤骨歯の有無はさまざま。
コブシカジカ亜科 Cottunculinae 5属。頭部は骨性で頑丈、しばしばトゲをもつ。眼窩間の広さはウラナイカジカ亜科と比べ小さい。鰭や体の色は単色ではない。ガンコ属Dasycottus コブシカジカ属Malacocottus ヤギシリカジカ属Eurymen 他2属 ウラナイカジカ亜科 Pcychrolutinae 3属。頭部は骨化せず、トゲももたない。鰭・体の色は単色。アカドンコ属Ebinania ウラナイカジカ属Psychrolutes Neophrynichthys 属バテュルティクテュス科 Bathylutichthyidae は1属1種で、B. taranetzi のみが所属する。サウスジョージア島 など南極海周辺に分布する。表面上は深海産のウラナイカジカ属とよく似ているが、長い口ヒゲと鰭の特徴から別種とされ、独立の科として扱われている。
体は滑らか。下顎に1対の長い口ヒゲをもつ。尾鰭は背鰭・臀鰭と連続する。鋤骨と口蓋骨の歯を欠く。後擬鎖骨と胸部の肋骨をもたない。
バテュルティクテュス属Bathylutichthys ダンゴウオ Lethotremus awae (ダンゴウオ科)。丸みを帯びた体は本科魚類の特徴であるヨコヅナダンゴウオ Cyclopterus lumpus (ダンゴウオ科)。ランプサッカーとも呼ばれ、卵はキャビア の代用品として利用されるフウライクサウオElassodiscus tremebundus (クサウオ科)。クサウオ類はゼリー状でぬるぬるした体をもち、背鰭・臀鰭は尾鰭と連続する ダンゴウオ上科 Cyclopteroidea は2科38属434種で構成される。腹鰭がある場合は喉の位置にあり、吸盤 状に変形している。ほとんどの種類は側線を欠き、鰓の開口部は小さい。
ダンゴウオ科 Cyclopteridae はダンゴウオ ・ホテイウオ など6属27種を含む。北半球 の寒冷な海に分布する魚類が多い。ホテイウオ亜科・ダンゴウオ亜科の2亜科に分ける場合もある。
体は全体的に丸っこく、粒状の小さな結節に覆われる。背鰭は通常2つあり、棘条部は皮下に埋もれ外からは見えない種類もいる。後半の軟条部は尾鰭と連続しない。
イボダンゴ属Eumicrotremus オキフウセンウオ属Cyclopteropsis ダンゴウオ属Lethotremus ホテイウオ属Aptocyclus 他2属 クサウオ科 Liparidae にはクサウオ など32属407種が所属する。北極海から南極海まで極めて広範な分布を示すグループであり、生息水深の範囲もタイドプール から7,000m以深の超深海まで幅広い。本科は南洋・北部太平洋・北極海において、もっとも魚種の豊富な科の一つとなっている。さまざまな亜科の設置が提案されているが、Nelson(2006)の体系ではいずれも情報不足として採用されていない。
体は細長く、鱗をもたない。皮膚は粘液状でぬるぬるしていることが多い。背鰭と臀鰭は棘条をもたず、その基底は非常に長く尾鰭と連続することもある。インキウオ属・カンテンウオ属の仲間は腹鰭を欠くことが多い。
インキウオ属Paraliparis オオバンコンニャクウオ属Squaloliparis カンテンウオ属Nectoliparis クサウオ属Liparis コンニャクウオ属Careproctus スイショウウオ属Crystallichthys フウライクサウオ属Elassodiscus 他25属 ^ 『日本の海水魚』 p.188 ^ 篠原現人・今村央「"カサゴ目"魚類の系統学的研究―1998年以降の新しい情報 」『タクサ:日本動物分類学会誌』第18巻、日本動物分類学会、2005年、20-29頁。 ^ 宮正樹「硬骨魚類の新たな分類体系」、日本魚類学会 編『魚類学の百科事典』丸善出版、2018年、76-79頁。 ^a b c 『魚の形を考える』 pp.161-200 「形から考えるカサゴ目の単系統性」(執筆者:今村央) ^ 『日本の淡水魚 改訂版』 pp.652-668 ^ 涙骨 を眼下骨に含めない場合は第2眼下骨となる^ 『日本の海水魚』 p.212 ^a b c d e f g h 『Fishes of the World Fifth Edition』 pp.467-495 ^ Mooi RD, Gill AC (1995). “Association of epaxial musculature with dorsal-fin pterygiophores in acanthomorph fishes, and its phylogenetic significance”. Bull Nat Hist Mus Lond (Zool) 61 : 121-137. ^ Johnson GD, Patterson C (1993). “Percomorph phylogeny: a survey of acanthomorphs and a new proposal”. Bull Mar Sci 52 : 554-626. ^a b Imamura H, Yabe M (2002). “Demise of the Scorpaeniformes (Actinopterygii: Percomorpha): an alternative phylogenetic hypothesis”. Bull Fish Soc Hokkaido Univ 53 : 107-128. ^ Ishida M (1994). “Phylogeny of the suborder Scorpaenoidei (Pisces: Scorpaeniformes)”. Bull Nansei Natl Fish Res Inst 27 : 1-112. ^ 『日本の海水魚』 pp.210-213 ^ Mandrytsa (2001). Lateral line system and classification of scorpaenoid fishes (Scorpaeniformes: Scorpaenoidei) . Perm University ^ Kontula T, Kirilchik SV, Väinölä R (2003). “Endemic diversification of the monophyletic cottoid fish species flock in Lake Baikal explored with mtDNA sequencing”. Mol Phylogenet Evol 27 : 143-155. ウィキメディア・コモンズには、
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