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 絶食時の糖質(炭水化物)、蛋白質、脂質の代謝をまとめました。

 絶食時には、肝臓で、グリコーゲンを分解したり、筋肉から放出されるアミノ酸から糖新生をして、グルコースブドウ糖)が、血液中に供給され、血糖が維持されます。
 脳は、エネルギー源として、グルコースに代わり、肝臓で脂肪酸から生成されるケトン体を使用するようになります。脳は、脂肪酸をエネルギー源として、使用出来ません。

 絶食時には、カロリー源として、まず、糖質(グリコーゲン)が、分解され、消費され、次いで、脂質(脂肪酸)、蛋白質(アミノ酸)が、分解され、消費されます。
 絶食時には、蛋白質(アミノ酸)が分解され、消費されますが、糖質(ブドウ糖、など)を投与すると、蛋白質(アミノ酸)の分解が抑制される()。
 絶食後に、グルコース(ブドウ糖)や、フルクトース(果糖)を投与すると、速やかに、解糖系を経て、TCA回路に移行し、蛋白が節約され、また、肝臓のグリコーゲン量が増加する。



 絶食により、脳の機能の維持のために不可欠な(注1)が不足すると、まず、肝臓に貯えられたが、phosphorylaseにより分解されて、グルコース 1-リン酸に変換されて、グルコース-6-リン酸を経て、グルコース-6-ホスファターゼ(glucose-6-phosphatase)により、が生成されます。そして、。
 フルクトース ,6-ビスリン酸(注2)の量が多いと、解糖系に進み、少ないと、糖新生に進みます。
 生体内の糖の量は約300gで、大部分は肝臓と筋肉のです(注3)が、絶食により約1日で、ほとんどが消費されてしまうと言われています。筋肉のグリコーゲンは、分解されて乳酸に代謝されますが、筋肉には、グルコース 6-ホスファターゼが存在しないので、。

 肝臓には、グリコーゲンが貯蔵されていて、絶食時には、グリコーゲンを分解したり、糖新生をして、グルコースを血中に供給し、低血糖に陥らないようにします。
 筋肉にも、グリコーゲンが貯蔵されていますが、筋肉のグリコーゲンが分解され生成されるグルコースは、主に筋線維の活動に利用され、血糖維持には寄与しません。

  なお、白血球、赤血球などでは、を解糖して乳酸とピルビン酸にまで分解し、これらは、さらに、肝臓と腎臓でに糖新生されます。


 脂肪組織のホルモン感受性リパーゼ注4)が活性化されて、(が分解され、が、血液中を、アルブミンと結合した遊離脂肪酸として、運ばれます。
 は、心筋、骨格筋に於いて、カルニチンと結合して、ミトコンドリア内に輸送され、β-酸化により分解されて、となります。、TCA回路クエン酸回路)に導入され、などが生成されます。脂肪酸分解(β-酸化)や、アセチル-CoAのTCA回路での代謝により生成されるなどは、呼吸鎖で酸化され、ATPが生成されます(エネルギー源になります)。なお、は、心筋や、骨格筋では、β-酸化によりアセチル-CoAに分解された後、さらに、TCA回路で代謝され、二酸化炭素と水にまで、分解されますが、肝臓では、β-酸化によりアセチル-CoAに分解された後、に生成されます。それから、(奇数炭素の脂肪酸は、例外)。
 絶食時(飢餓時)には、の供給が不足するので、肝臓は遊離脂肪酸を分解(β-酸化)し、生成されるを利用し、グルコースを生成(糖新生)します。
 絶食時に糖新生が行われる際には、肝臓のミトコンドリア内では、生成が盛んに行われます。
が生成される)、糖新生が行われると、オキサロ酢酸はホスホエノールピルビン酸(PEP)に変換されるので、肝臓では、アセチル-CoAがクエン酸となってTCA回路で酸化分解される方向には、代謝は進まなくなります。
 の分解に伴い生成される、グリセロール(グリセリン)は、肝臓で、グルコースに糖新生されます。


 さらに、絶食が続くと、(Alanin:Ala)などの(注5)が筋肉から、血液中に放出されます。
 これらのは、肝臓で糖新生され、に変換されます。
 肝臓で、糖新生で変換されたは、血液中に供給されます。
 糖新生の経路は、図にで示しました(注6)。
 筋肉量が相対的に少ない小児では、絶食中に血液中の濃度が低下して、が十分に行なえず、低血糖を来たすことがあります(注7)。
 

 
飢餓状態では、脂肪組織で、ホルモン感受性リパーゼが活性化され、脂肪分解が亢進し、血液中に遊離されたは、肝臓に運ばれます。
 肝臓では、 のβ(で生成されるアセチル-CoA)の最終産物は、アセト酢酸です(心筋や、骨格筋では、のβで生成されるアセチル-CoAは、二酸化炭素と水にまで、分解されます)。アセト酢酸や、アセト酢酸から生成される、3-ヒドロキシ酪酸や、アセトンは、(注8)と呼ばれ、血液中に放出されます。
 が生成される経路は、図にで示しました。
 は、でに変わる代替エネルギー源として用いられます。は、脳以外に、心筋、骨格筋、腎でも、アセチル-CoAに変換(転換)されて、TCA回路で利用されます。肝細胞は、を生成するだけで、を利用できない。
 ロイシン(Leu)などの(注9)からも、のアセト酢酸が生成され、アセトアセチル-CoAを経て、アセチル-CoAに変換され、利用されますが、量的にはわずかとされます。 


 が、に変わる代替エネルギーとして用いられるので、糖新生に消費されるが、少なくて済みます。
 の筋肉からの放出が抑制され、尿中窒素排泄量が、1日3gぐらいまでに減少します(注10)。 
 なお、 飢餓状態でも続く、皮膚、爪、髪の成長のために、が使用されます。

  このように、長期間の飢餓状態の時には、エネルギー源として、脳はを使用し、筋肉はを優先的に使用し,の消費量が節約されます。

 糖尿病での作用が不足すると、血液中の濃度(血糖値)は高くなりますが、細胞内のは不足し、飢餓状態と同じ代謝状態となり、エネルギー源として、筋肉はを優先的に使用します。

 注1:脳は、安静時に、1時間当たり約3(〜4)g消費するとされています。脳は、1日当り約120g(大さじ14杯分)のグルコース(ブドウ糖)を消費すると言われます。
 また、健常成人で、脳血流量55ml/100g/min、脳酸素消費量3.3ml/100g/min、脳ブドウ糖消費量5.1mg/100g/minと言うデータもあり、1,300gの脳の持ち主だと、1時間当たり約4gのグルコースを消費することになります。
 なお、大脳は、1日に10kgのATP(体全体で合成されるATP量の約20%)を使用しますが、大脳中には、約1gのATPしか存在しないので、1日に1万回、分解と再合成が繰り返されていることになります(8.64秒で分解・再合成されことになります)。

 注2:ではなく、フルクトース-,6-ビスリン酸
 フルクトース-,6-ビスリン酸は、フルクトース-,6-ビスリン酸は、AMP同様に、fructose-1,6-bisphosphataseの活性を抑制し、糖新生を抑制します。
 グルカゴン(glucagon)は、フルクトース-,6-ビスリン酸濃度を低下させ、糖新生を促進させます。

 注3:正常成人(70kg)で、肝臓グリコーゲン量108g、筋肉グリコーゲン量245g、細胞外糖質量10gというデータがあります。血液中への、グルコースブドウ糖)の供給源となるのは、肝臓グリコーゲンです。

 注4ホルモン感受性リパーゼHSL:hormon-sensitive lipase)は、脂肪組織の脂肪細胞内に存在し、脂肪細胞内の中性脂肪(トリアシルグリセロール)を、脂肪酸とグリセロールに加水分解します。グリセロール 3-リン酸が豊富に存在する時には、生じた脂肪酸に相当する分量は、グリセロール-3-リン酸と、再エステル化され、中性脂肪(トリアシルグリセロール)に戻ります。グリセロール-3-リン酸が不足している時には、生じた脂肪酸は、遊離脂肪酸の活性は、を活性化させるホルモンとしては、エピネフリン、ノルエピネフリン、ACTH、TSH、MSH、グルカゴン、セロトニン、甲状腺ホルモン、成長ホルモン、副腎皮質ホルモンなどがあります。成長ホルモンは、脂肪組織の
 逆に、インスリンPGE1、アデノシンは、ホルモン感受性リパーゼの作用を抑制する方向に作用します。
 HSLは、筋肉(骨格筋細胞内や心筋細胞内)にも存在する。HSLは、筋肉の筋線維間(遅筋線維の間)に存在するトリグリセリドを、運動時などに、分解し、生成される遊離脂肪酸は、エネルギー源として利用されます。
 注5糖新生に利用されるは、(glucogenic amino acid)と呼ばれます。
 図には、 ピルビン酸を経てオキサロ酢酸Ala、Gly、Ser、Thr、Cys、Trp)を示しました。
 その他に、 アミノトランスフェラーゼ、別名、GPT)と言う酵素により、アミノ基が転移されます。また、Asp(アスパラギン酸)が、オキサロ酢酸になる反応、Glu(グルタミン酸)が、α-ケトグルタル酸(2-オキソグルタル酸)になる反応では、AST(アミノトランスフェラーゼ、別名、GOT)と言う酵素により、アミノ基が転移されます。
 飢餓時の糖新生の50%は、アミノ酸に由来すると言われています:特に、Ala(アラニン)が、重要です。肝臓に良いと言われて来たしじみ(シジミ貝)は、アラニンを豊富に含んでいます。しじみ(シジミ貝)は、胆汁分泌作用があり、黄疸に良いと言われます。
 
 *:芳香族アミノ酸(AAA)の項の合計量で、*印を上付きに表示した食品は、五訂食品成分表2005で、芳香族アミノ酸(AAA)の合計量が、フェニルアラニン(Phe)と、チロシン(Tyr)の数値を足した値と異なっています。

 1日、最低50gのグルコースを投与すると、糖新生のために、蛋白が分解(異化)されることが、抑制されると言われています(体蛋白異化抑制効果:proteinsparing effect)。

 注6
筋肉量が相対的に少ない小児では、絶食中に血液中の濃度が低下して、糖新生が十分に行なえず、低血糖を来たすことがあり、ケトン性低血糖症と呼ばれています。
には、ミトコンドリアの機能を障害(膜電位を低下させ、TCA回路でのNADH2+生成や、呼吸鎖でのATP生成が、低下してしまう)して、糖新生を減少させる作用のある薬剤もあります。これらの薬剤によって、糖新生が、減少すると、低血糖を来たすと、考えられます。

 注8:には、アセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸(β-ヒドロキシ酪酸)、アセトンがあります。
 ケトン体は、エネルギー源としてのグルコース(ブドウ糖)が不足し、脂肪酸のβ-酸化が促進される(糖新生が行われる)と、肝臓で、生成されます。ケトン体は、脂肪酸がβ-酸化されて生成されるアセチル-CoAから生成されます。ケトン体は、バリン、ロイシン、イソロイシン等、分岐鎖アミノ酸(BCAA)の代謝でも生成されますが、量は少ないと言われます。
 肝臓で、脂肪酸がβ-酸化され生成されたアセト酢酸は、NADH2+により還元されると3-ヒドロキシ酪酸(β-ヒドロキシ酪酸)となります。両者は、水溶性で、無毒であり、分解されるとアセチル-CoAとなる生理的燃料です。アセト酢酸は、不安定な化合物であり、時間が経過すると、脱炭酸により、アセトンになりますが、アセトンは生理的燃料にはなりません。アセトンは、揮発性であり、肺から排出されます。
 肝臓で生成されたケトン体は、血中を輸送され、末梢組織(筋肉や脳)の細胞から、グルコースや脂肪酸に優先して、取り込まれ、ミトコンドリア内で、2分子のアセチル-CoAとなり、TCA回路で代謝され、即効性のエネルギー源となります。絶食時等には、脂肪酸から生成されるケトン体(アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸)は、水溶性の燃料分子(代謝燃料)として、脳や、心臓や、骨格筋や、腎臓や、腸管等で、エネルギー源として利用されます。安静時には、心筋が最も多くケトン体を利用し、運動時には、骨格筋がケトン体を最も多く利用します。

 肝臓は、ケトン体を合成(産生)する酵素活性(HMG-CoAシンターゼ)は高いが、ケトン体を代謝(分解)する酵素(スクシニル-CoAトランスフェラーゼ)の活性が低いことが知られています。スクシニル-CoAトランスフェラーゼ()は、ケトン体のアセト酢酸をスクシニル-CoAと反応させ、アセトアセチル-CoAとコハク酸に変換させます。アセトアセチル-CoAは、更に、チオラーゼにより、2分子のアセチル-CoAに分解されます。このように、スクシニル-CoAトランスフェラーゼは、ケトン体(アセト酢酸)が、アセチル-CoAに分解(開裂)されるのに必要な酵素ですが、肝臓は、このスクシニル-CoAトランスフェラーゼを有していないので、産生したケトン体をアセチル-CoAに再分解して利用出来ません。スクシニル-CoAトランスフェラーゼは、肝臓以外の全ての組織に存在します。従って、肝臓以外の組織(脳、骨格筋、心筋、腎臓、副腎、腸など)は、ケトン体をアセチル-CoAに分解して、燃料分子として利用出来ます。


 
 大量のケトン体が生成される際には、同時に、酢酸(短鎖脂肪酸)も生成されます。酢酸は、無毒な生理的燃料として、末梢細胞のエネルギー源となりますが、酸性物質なので、ケトアシドーシスを増悪させます。
 重症のケトーシスが起こる場合には、血液中の遊離脂肪酸濃度も増加しています。肝臓は、通過する血液中の遊離脂肪酸の約30%を取り込むことが可能です。肝臓に取り込まれた遊離脂肪酸は、中性脂肪、リン脂質、コレステロールなどにエステル化される(摂食時など)か、分解(β-酸化)されアセチル-CoAになります:アセチル-CoAは、TCA回路で酸化されるか、ケトン体生成に利用されます(空腹時など)。
 ケトーシスの程度は、肝臓内の脂肪量より、脂肪組織などの(貯蔵)脂肪量と関連があります。
 (血中の)総ケトン体が、0.2mM(200μmol/L)以上だとケトーシス、7mM(7,000μmol/L)以上だとケトアシドーシスと呼ばれます。ケトン体は、摂食時(食後)には0.05mM以下に低下しますが、空腹時には幼児では6mM程度と、100倍以上に増加します。

オキサロ酢酸はホスホエノールピルビン酸(PEP)に変換されるので、肝臓では、アセチル-CoAがクエン酸となってTCA回路で酸化分解される方向には、代謝は進まなくなります。


 は、ケトン体産生を抑制します:脂肪細胞からの遊離脂肪酸の放出を抑制(HSLを抑制)し、肝細胞のミトコンドリア内への遊離脂肪酸(アシル-CoA)の取り込みを抑制(マロニル-CoAを取り込むCPT-Iを抑制)し、肝細胞のHMG-CoA合成酵素(HMGS)を抑制し、ケトン体産生を抑制します。食後など、インスリン分泌が増加すると、ケトン体産生が抑制されます。
 カテコールアミン(アドレナリンなど)やグルカゴンは、ケトン体産生を促進します:カテコールアミンは、脂肪細胞からの遊離脂肪酸の放出を促進(HSLを促進)し、グルカゴンは肝細胞のミトコンドリア内への遊離脂肪酸の取り込みや肝細胞のHMG-CoA合成酵素を促進し、ケトン体産生を促進します。飢餓(絶食)、発熱、ストレス状態(精神的、肉体的)は、グルカゴンやカテコールアミンの産生を亢進させ、ケトン体の産生が刺激されます。

 注10:と同様、糖新生に、利用されます。脂肪酸160gの内、脂肪酸40gから、ケトン体60gが生成され、残りの脂肪酸120gは、心筋、骨格筋、腎臓などのエネルギー源になります。
 5〜6週間の飢餓状態時(基礎代謝1,500Kcalの場合)は、筋肉蛋白20g、脂肪組織150gが分解され、グルコース80g、脂肪酸150g、ケトン体57g、グリセロール15gが作られると言われています。

 基礎代謝の基礎エネルギー消費量(basal energy expenditure:BEE)は、下記のハリス・ベネディクトの式(Harris-Benedict)により求められます。
 ・男性:66.47+(13.75×体重)+(5.0×身長)−(6.76×年齢)
 ・女性:655.10+(9.56×体重)+(1.85×身長)−(4.68×年齢)



 ・菊池方利:肝における糖調節機構について 日本醫事新報 No.4184(2004年7月3日)、21-30頁.
 ・田川邦夫:からだの働きからみる代謝の栄養学 タカラバイオ株式会社(2003年).
 ・川嶋昭司、他:食べもののメリット・デメリット事典 農文協(1988年).
 ・香川芳子:五訂食品成分表2005(女子栄養大学出版部、2005年).
 ・河合忠:目で見る初期診療の検査計画と結果の読み方(エスアールエル、1997年).
 ・東口高志:ナーシングQ&A 全科に必要な栄養管理Q&A、総合医学社(2005年).
 ・深尾敏幸:総説 ケトン体代謝異常症:特にアセトン血性嘔吐症と鑑別すべきサクシニル-CoA : 3-ケト酸CoAトランスフェラーゼ(SCOT)欠損症を中心に、日本小児科学会雑誌、111巻6号、727-739頁、2007年.

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