尿酸値が低くても危険なケースも…痛風にならないための生活習慣とは?【医師が解説】

細谷龍男
ほそやたつお
[東京慈恵会医科大学名誉教授]
東京慈恵会医科大学医学研究科修了。日本内科学会理事、日本腎臓学会理事、日本リウマチ学会評議員、日本痛風・尿酸核酸学会名誉会員。痛風・高尿酸血症、慢性腎臓病、高血圧などが専門。著書に『大学教授が考案!薬に頼らず痛風発作が防げる! 尿酸値リセット』(文響社)、『検診で尿酸値が高めですよと言われた人の本』(法研)など。
生活習慣病リスクを総点検
高血圧、脂質異常症、糖尿病、高尿酸血症などの生活習慣病は、日本人の3大死因であるがん、脳卒中、心臓病の発症率を高めるリスクがある。運動不足、飲酒、喫煙、ストレスなど、日頃の何気ない不摂生が生活習慣病の引き金となるから、とりわけ中高年世代は甘く見てはいけない。予防するにはどんな心得が必要か。発症してしまったときの適切な治療法とは何か。生活習慣病の基礎知識を、医師や専門家が詳しく解説する。
楠本知子
[フリーライター]
フリーライター、エディター。広告制作会社でライター・コピーライターとして勤務後、フリーランスでの活動をスタート。編集プロダクション、女性月刊誌編集部、書籍出版社を経て独立。現在は自己啓発、生活関連の書籍、社史なども手がける。趣味は読書と温泉とビール、そして昭和歌謡。
生活習慣病リスクを総点検
高血圧、脂質異常症、糖尿病、高尿酸血症などの生活習慣病は、日本人の3大死因であるがん、脳卒中、心臓病の発症率を高めるリスクがある。運動不足、飲酒、喫煙、ストレスなど、日頃の何気ない不摂生が生活習慣病の引き金となるから、とりわけ中高年世代は甘く見てはいけない。予防するにはどんな心得が必要か。発症してしまったときの適切な治療法とは何か。生活習慣病の基礎知識を、医師や専門家が詳しく解説する。

ある日突然足の親指に激痛が走る痛風は、文字通り「風が吹いても痛い」が名前の由来といわれている。患者の9割を30代以上の男性が占める「痛風」とはどんな病気なのか。どういう人がなりやすいのか。痛風の治療法や予防法について専門医に聞いた。(取材・文/フリーライター 楠本知子)
最も多く症状が
現れる箇所は?
「人間の血液中には尿酸という物質があります。尿酸とは、臓器を働かせるエネルギー源であるプリン体が体内で分解される時にできる老廃物のこと。通常は尿とともに体外に排出されますが、これがさまざまな理由で過多状態になると関節にたまり、結晶化して炎症を起こします。これが痛風です」
こう話すのは、東京慈恵会医科大学医学部名誉教授で、痛風・リュウマチ専門医の細谷龍男医師だ。
「最も多く症状が現れるのは足の親指のつけ根です。見た目も真っ赤に腫れて、歩けないほどの激痛が数日から1週間ほど続きます。くるぶしや足の甲、手指などに症状が出ることもあります」
痛みが消えた後、安心して治療せずに放置すると、肘や膝などの大きな関節が痛くなったり、四六時中関節が腫れて痛みを感じる「慢性痛風関節炎」や、骨が破壊され、足の指が変形したり「痛風結節」を起こしたりする人もいる。また、結晶化した尿酸が腎臓にたまって慢性腎臓病や尿路結石が起きやすくなり、腎不全に進行することもある。
さらに、痛風の原因である尿酸値が高い人は、高血圧、高脂血症、心血管障害、脳血管障害などの合併症を起こす人が多いことも分かってきている。
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