文庫本の表紙には、赤色・水色・紫色の朝顔がデザインされている。ここに描かれていないのが黄色の朝顔。この小説、黄色い朝顔にまつわる謎解きストーリーである。 江戸時代、朝顔は園芸植物として流行したという。何かの本で、江戸の浪人が内職の一つとして朝顔栽培をしていたと読んだ記憶がある。 手許の辞書を引くと、「朝顔市」という見出しで、「朝顔などを売る市。毎年七月上旬に、東京都台東区入谷の鬼子母神境内周辺で行われているものが有名。」(『日本語大辞典』講談社)と説明されている。江戸時代、黄色の朝顔が実際にあったということが記録に残っているという。それがあるときから、ぱたりと消滅した。黄色いアサガオの謎がなぞ…