O次郎の入院中、お見舞いはほぼ毎日通った。
自分の都合や病院の混雑具合でたった10分しか会えない日もあったけど、行くとオーちゃんはいつも上機嫌だった。
診察室を占領して親子水入らずの束の間の面会を楽しんでいたある日の事、あったかい視線を感じて顔を上げると奥の治療室側の出入り口でアタシ達を見てニコニコ微笑んでる看護師さんが立っていた。
『オーヂロちゃんスゴい可愛いです。見るといつもお腹出して寝てるんです(笑)。』
Sセンセーにもこう言われた事があった。
『いや〜‥O次郎スゴい良い子で、いつ見てもひっくり返ってスヤスヤ寝てるし愛想はいいし、メチャクチャ可愛くて僕の子にしたいくらいです。』
我が子を褒められたのが嬉しくてあーははは!!と、笑ってみたものの、、、
オーちゃん、あんた馴染み過ぎでは?と、息子の図々しさが可愛くもあり少し淋しくもあり…
だって、誰もが落ち着かない病院て場所でこんなにどーん!!と普通にリラックスされたら『家と親は何処でも誰でもいいんかい(苦笑)?』て思うじゃん?
(´-з-)フーンだ。
と、まぁ、ちょっぴりの自信消沈はさて置き、、O次郎の大物っぷりと病院の手厚い看護に感謝して、安心して仕事を優先して2日程お見舞いを休んだ。
淋しくてもお母ちゃんはあんたの入院費を頑張って稼がなきゃならないからね。
└( ̄^ ̄)┘ゥッシ!!
しかし、2日も顔を見ないとやっぱり落ち着かなくて、本当だったらシフト的に週末明けまでは面会に行けなかったのだけど、怒涛の煽りっぷりで仕事を早めに切り上げ病院に向かった5月30日の土曜日、、
『どうやらホームシックになってしまったらしくて元気も食欲もないんです。。』
え?��( ̄口 ̄)
アタシにしがみついて顔をうずめるO次郎は確かにいつものO次郎ではなかった。
『経過も順調ですし、少し早いですけど今日退院した方がオーちゃんの為にいいかと思います。』
えーヽ(゜▽、゜)ノーっ!?
入院も突然だったけど退院も突然だったO次郎。
連れて帰る為に布鞄の中身を『買い物して帰ろ☆』と思って持っていたエコバッグに移し替えてからO次郎を詰めて、バタバタと家に吊して帰った。ジャガイモの代わりに。
と、いうワケで、

センセーからは『くれぐれも安静に。何かあったら直ぐ病院に来てください。』と、言われていた。
そう、病院からは『くれぐれも安静に。』と、言われてたんですけど…
玄関開けてハイジの雄叫びと帝国が起こす騒音を聞いた途端、それまで鞄袋の中でおとなしくしていたO次郎がヒョコッと顔を出してキョロキョロ辺りを見回した。
その顔はみるみるうちにパァーッと輝いて鞄の中で『出たい☆出たい☆』と、もぞもぞ暴れ始めたのだった。
(´д`)嫌な予感。
飛び出してはいかんと鞄袋の口を硬く閉じて抱きかかえるように2階に上がり、部屋に着いてから出してやると早速ハイジに『たらいま☆』の挨拶。

思ったより割と静かにハイジに挨拶したO次郎にホッとした。
が、ホッとしたのはここまで。
振り返るとユウ君とスーリンが立っていた。
入院してから2〜3日『オーちゃんは?』と、探し回っていたユウ君とスーリン。さぞかしこの帰還を喜ぶかと思いきや、2匹の顔はなんだかおかしい。
大きな目を更に大きくおっぴろげて耳から尻尾、手足の爪先までピーンとした緊張感が2匹を取り囲んでいた。
それはまるで『 死 ん だ ハ ズ で は ! ? 』的に、お化けを見ているような、この世のモノとは思えない信じられないモノを見ているような、そんな張り詰めた緊張感だった。
まぁ、猫ってのはこんなもんだと分かっちゃいるが、反対に家から離れていた子はこうはいかない。
どんなに優しくされても、どんなに寛いだとしてもそこはアウェイ。やっぱりホームが恋しくて家族の事を片時も忘れずに考えていたんだと思う。2日顔を見せなかっただけでホームシックになるくらいだもん。
そんな「元気も食欲もなかったO次郎」がユウ君とスーリンに気がついた。気がついたと同時に2匹めがけてダッシュした!!
あっ(゜д゜;)いかん!!
勝手に死んだ事にしたO次郎が現れてビックリして硬直したまま動けないでいたユウとスーリン。ギョッとしてる間にO次郎にタックルされて将棋倒しのようにバッタバッタと倒された!!
そして、O次郎はアタフタと逃げ出したユウを追いかけて、全身から喜びのオーラを発散させたまま廊下から階下へとドタバタ駆け出してしまった。
安 静 に っ て 言 わ れ と る の に っ っ ! ! !
三三三三��(|||Д|||)
倒されたままの格好で気分を落ち着かせる為にイソイソと毛繕いを始めて、尚も信じられないような顔をしていたスーリンはほっといて、アタシはO次郎を追い掛けた。
三三三へ(;`Д´)ノ
そして、

(*´Д`)=зまったくもぉ。
手術してからまだ8日。
ピンで固定してあるだけでまだ骨がくっついてないのだ。ホントだったら後2〜3日は入院してなきゃいけない体なのだから走らせるワケにはいかない。
なのにO次郎は…

┐(´ー`)┌
捕獲してしばらくゲージをガシガシ噛んだり、ガチャガチャ揺すったり、天井にぶら下がってみたかと思えば戦法を変えて切なく『ミィー…』と泣いてみたり、、
あの手この手で脱出を試みたが母の心に付け入る隙がないと分かったのか?やっと静かに寝てくれた。

お母ちゃん肩こっちゃったよ。
O次郎がスヤスヤ寝息を立て始めた頃、ユウとスーリンがそ〜っと近付いてゲージの中を覗いてた。


『オーちゃんだよ。』
( ´人`)2匹の中のO次郎が早く生き返りますように。
つづく