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東京法律事務所blog

2020年09月

 弁護士の中川勝之です。

 独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO、ジェイコー、尾身茂理事長)の相模野病院に勤務し、全日本地域医療機能推進機構病院労働組合(全地域医療JCHO労組医労連加盟)の相模野病院支部書記長であった嶋田泰久薬剤師が、相模原労基署への申告を契機とする宿日直勤務の問題に関する一連の組合活動を行ったところ、JCHOがその活動を嫌悪し、2016年10月1日付けで嶋田書記長を相模野病院から東京高輪病院に配転したという不当労働行為事件です。
 2019年11月13日に10月1日付けの都労委の全部救済命令を受けましたが(命令書全文)、11月15日にJCHOが中労委に再審査の申立をしました。
 第3回調査期日が9月25日(金)午後1時30分からあり、組合がJCHOの主張に反論した準備書面を陳述し、次回はJCHOからの反論となりました。
 第4回調査期日は11月27日(金)午後3時からありますので、ご支援、ご協力お願いします。

 審査委員から調査期日の冒頭、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から調査室への入室は労使各側最大5名とし、労働委員会への来館人数についても、同様に最小限の人数でお願いします旨の発言がありました。労働委員会への来館人数というのは控室に入る人数を指していますが、同様にというのは最大5名というわけではなく、同様に最小限の人数という趣旨でした。今回は組合役員4名、組合代理人弁護士3名の合計7名が控室に入りました。

 ところで、自由法曹団も事務局団体となっている2020年司法総行動実行委員会が10月2日に各機関に要請行動を行う予定ですが、2020年司法総行動共同要請書の都労委宛部分にJCHO事件が言及されている記載がありました。そこでは2019年10月4日に行った要請内容(同年6月末分まで)以降で本年6月までの都労委命令で、評価できる判断内容の具体的事例2つと疑問を抱かざるを得ない具体的事例3つが紹介されており、評価できる判断の内容の具体的事例の一つとしてJCHO事件が挙げられていました。
 すなわち、「その他の事件の判断内容については、評価できる内容もあれば、見過ごすことの出来ない重要な判断の誤りも指摘せざるを得ない。まず、評価できる判断内容の具体的な事例として、地域医療機能推進機構事件があげられるが、この事件での判断として、組合の中心的な人物の(ママ)配置転換した場合に「①配転の不利益性について、②組合活動上の不利益について、③配転の業務上の必要性について、④配転当時の労使関係について」、これらについて、疎明の程度よりも状況から推認しながらきちんと判断している点は評価に値する。」と紹介されていました(もう一つはS事件スター・プロダクト事件))。こうした判断方法は本年8月13日のブログ「独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO、尾身茂理事長)の不当労働行為事件(不当配転)は期日続行~配転の不当労働行為性について考える~」でも紹介したところです。

 本件の独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO、尾身茂理事長)の不当労働行為事件では依然としてJCHOが不当労働行為性を認めていませんが、労働組合とともに闘い抜きたいと思いますので、今後とも皆様からのご支援、ご協力の程宜しくお願いします。
IMG_20200925_132813
<中労委からほど近い小雨の中での東京タワー>

弁護士の今泉義竜です。
日本弁護士連合会主催の「取調べの可視化フォーラム『日常の隣にある密室の取調べ』」にて、
小部正治弁護士と担当した築地公務執行妨害でっち上げ国賠事件を当事者の二本松さんとともに報告します。
ご関心ありましたら是非気軽にご視聴ください。

2020年9月30日(水)18時00分~、どなたでも視聴できます。
日本弁護士連合会:取調べの可視化フォーラム「日常の隣にある密室の取調べ」
【WEB開催】https://www.nichibenren.or.jp/event/year/2020/200930.html

20200930

築地公務執行妨害でっち上げ国賠事件は、以下の番組でも取り上げられました。

2019年11月11日放送NHK
NHK総合「逆転人生」「逆転裁判!警察のウソを暴け」
2020年3月4日放送テレビ東京
「水バラ 0.1%の奇跡!衝撃 逆転無罪ミステリー」
この事件は、2008年10月、神楽坂の寿司店「吟遊」の経営者である二本松進さんが、
駐車違反の指摘に対して反論しただけで、 
公務執行妨害をでっち上げられ、逮捕・勾留されたという事件です。 
警察が違法逮捕したことを東京地裁、東京高裁が認め、東京都から二本松さんに賠償金が支払われて事件は終結しています。
詳細については下記の過去記事をご参照ください。

築地公務執行妨害でっち上げ国賠事件、勝訴!!(今泉) 
判決文PDF
築地公務執行妨害でっち上げ国賠事件、東京都が上告断念 

弁護士の青龍です。

東京メトロ駅構内の売店に勤務する契約社員(有期雇用)販売員が、正社員との賃金格差の是正を求める裁判で、最高裁判所は、本年7月28日付で上告受理申立てを一部棄却・一部受理しました。
昨日9月15日午後3時から、最高裁判所第三小法廷で弁論が開かれました。
最高裁判決は、2020年10月13日午後3時から言渡しです。

当事務所の滝沢香、今野久子、井上幸夫、水口洋介、長谷川悠美、青龍美和子が、一審原告(契約社員4名)の代理人を務めています。


☆メトロコマース事件の詳細については、過去のブログ記事をご覧ください。
・2017年02月12日「労働契約法20条をめぐる判決迫る~メトロコマース事件」(青龍美和子)
 http://blog.livedoor.jp/tokyolaw/archives/1064298874.html
・2017年03月24日「メトロコマース事件東京地裁判決を読んでの違和感ーふつう「他の条件をできるだけ同じ」にして比較しませんか?」(菅俊治)
 http://blog.livedoor.jp/tokyolaw/archives/1065081998.html
・2019年02月26日「メトロコマース事件東京高裁判決が出ました!」(長谷川悠美)
 http://blog.livedoor.jp/tokyolaw/archives/1073916998.html


東京高裁では、住宅手当と褒賞を契約社員に支給しないこと、残業手当の割増率の相違は、違法(労働契約法20条の「不合理」)と認められました。しかし、基本給と賞与に関しては、著しい金額の差があるにもかかわらず、不合理ではないと判断されました。65歳定年退職で正社員には支給される退職金を契約社員に支給しないことについては、正社員の計算方法(基本給×勤続年数によって決まる支給月数)で計算した金額の4分の1すら支払わないのは不合理(違法)だと判断しました。

会社側と我々労働者側、双方が上告しました。
最高裁は、今年7月28日、退職金に関する上告のみ受理すると決定しました。
そのため、基本給と賞与の格差が不合理でないという高裁判決が確定してしまいました。
この格差が非常に大きく、退職後も年金などに響いてきて、原告のみなさんが「差別は一生続く」と言っているほどです。
また、労働契約法20条の施行以前に定年退職した原告の1人については、公序良俗(民法90条)違反だと主張してきましたが、最高裁は排除しました。この点でも、最高裁の決定は不当です。
逆に、住宅手当、褒賞、残業手当の相違については、不合理だと判断した高裁判決が確定しました。この点では一歩前進です。ぜひ、活用してください!

それでは、昨日、最高裁の法廷で、今野久子弁護士と、私青龍とで述べた内容を紹介します。
20200915_121815


【口頭弁論要旨1】弁護士 今野久子)
 
はじめに
 1990年代以降、急激に増加した非正規労働者は、今では2千万人を超え、政府の労働力調査でも、2019年では男性雇用労働者の22.8%、女性は55.9%、全体で38.2%になっています。今では、非正規労働者なしには経営できない状態になっております。しかし、その身分は不安定で、賃金など労働条件は低く劣悪です。現在、コロナ禍のもと、多くの非正規労働者が退職金もないまま雇用を奪われ、あるいは正社員に支払われる休業手当も支払われないという厳しい状況におかれています。労働力調査でも、本年7月で、非正規労働者は昨年に比較して131万人も減り、生活に困窮しております。非正規労働者の約7割が女性です。それだけに、司法が本件についてどのような判断を下すのか、真に格差(差別)から有期契約労働者を救済するのか、国民は注目しております。


1 本件で問われているのは、長期間勤務してきた第1審原告ら有期雇用契約労働者である契約社員Bが、有期雇用労働者であるからといって退職金ゼロとすることが、有期契約労働者の公正な処遇を確保するために創設された労働契約法20条の趣旨に反しないかということです。最高裁のハマキョウレックス事件判決及び長澤運輸事件判決は、労働契約法20条は、有期契約労働者と無期契約労働者との間で労働条件に相違があることを前提に、職務の内容等を考慮して、その相違が不合理と認められるものであってはならないとするものであり、「職務の内容等の違いに応じた均衡のとれた処遇を求める規定である」と判示しました。
2 本件では、正社員が定年退職した場合には、勤続年数1年でも退職金が支給され、退職時の本給に勤続年数に応じた支給月数を乗じて算定されるので、在職中の労働に対する対価としての賃金の後払いの性格が強いといえます。また、自己都合退職の場合より定年退職の場合の支給月数が高い点では、功労報償的性格があるとも言えます。このような退職金の性格は互いを排除するものではなく、両方兼ね備えるというのが自然の解釈です。しかし、原判決は、①一般に退職金が様々な意味の「複合的性格」を有すると認めながら、「賃金の後払い」部分と「功労報償」部分を区分できるとし、② 本来的には短期雇用を原則とした有期契約労働者には「賃金の後払い」部分の支払いは予定されていないという誤った、独自の見解をもとに、③正社員の支給基準で算定される金額の4分の1が「功労報償」部分に当たるとして、その金額すら契約社員Bに支払わないことは、不合理であると判断しています。しかし、そのように判断した根拠は、全く示されておりません。4分の3が「賃金の後払い」であり、長期勤続している契約社員Bに支給しなくてもよいという合理的な説明もまったくなされていません。
3 本件では、比較対象となる正社員と契約社員Bの業務(固定売店販売)は実質的に同じで、また退職金は職務に関係なく正社員であれば誰でも同一の算定方式で支払われますので、職務の同一性は問題になりません。本件でとくに考慮すべきは、勤続の実態です。売店業務に従事する契約社員Bの定年は正社員と同一の65歳であり、契約社員Bが雇い止めにあったことはなく、圧倒的多数が定年まで働いています。定年退職までの勤続年数は、第1審原告疋田は10年8か月弱、同加納は10年、同瀬沼は7年7か月、本年3月末に定年退職となった同後呂は13年7か月、の長期に及びます。他方、第1審被告では、新卒者をほとんど採用せず、平成25年からの4年間で、高校新卒社員2名、大学新卒3名が入社しただけで、全体では新卒採用で入社した社員は1割にも満たず、正社員の大半は中途入社者です(原判決24頁)。とくに、親会社の東京メトロからの大量の退職者を正社員として採用しており、平成25年以降では、東京メトロの57歳を超えた社員を出向者として受け入れ、60歳で正社員にしています。こうした中途入社者が正社員の大半を占めるため、正社員の平均勤続年数は10年に満たないのが実情です。原判決が認定したような「正社員は長期雇用、契約社員Bは短期雇用」という実態ではありません。契約社員Bは定年も正社員と同一の65歳であり、第1審被告ははじめから長期勤続をあてにしているのです。退職金ゼロはもちろんのこと、原判決が認めた4分の1の退職金でも、正社員と契約者Bの退職金の相違(格差)は著しいというほかありません。賃金の後払いと功労報償の性格を兼ね備えた本件退職金を、正社員であれば職種をとわず誰でも同じ算定方式により支給される退職金額を、有期契約労働者である契約社員Bに支給しないことは、不合理です。

【口頭弁論要旨2】(弁護士 青龍美和子)
1 契約社員Bには、正社員と異なり、定年後再雇用制度による雇用保障がありません。正社員と比べて、本給や賞与に著しい相違があり、老後の蓄えもありません。本給及び賞与が低額である結果、正社員と比べて年金も低額です。その上、退職金もゼロですので、定年退職した翌日から働かなければ生活できません。
 働き口がない場合、65歳以上の失業者は、雇用保険の高年求職者給付金を申請できますが、「直前6か月間の毎月のきまって支払われる賃金の1日当たりの額」の50日分が1回限りしか支給されません。この給付金が支給されるまでの待機期間は働くこともできません。
 第1審原告らの所属する労働組合や支援者らの運動により、個別にではありますが、契約社員Bの定年退職後も、登録社員として再雇用を勝ち取りました。しかし、第1審原告疋田は、登録社員として週2日、1日4時間の勤務で、当然それだけでは生活できず、他の会社と掛け持ちをして休日なしで働きました(甲17)。休めばその分収入はゼロですので、第1審原告疋田は、現在も、健康リスクと隣り合わせで、休みなくフルタイムで働いています。
2 第1審被告は、契約社員Bは専業主婦の「セカンドキャリア」だと主張しますが、第1審原告疋田も、同加納も、同居する子との家計を担う大黒柱として(甲18)、同瀬沼は90歳代の母親の介護をしながら、その生活を支えるために(甲19)、同後呂も、生活保護と同水準の賃金を自らの生活の糧として、それぞれ売店業務に従事していました(甲16)。
 第1審原告ら契約社員Bが従事してきた固定売店業務は、週所定労働時間が正社員より長く、1週間毎の早番・遅番の二交替制で、早番は午前6時出勤、遅番は午後11時退勤という、心身の負担が大変大きい業務です。2か月の研修・訓練を要し、業務の内容も、接客・商品の販売だけでなく、商品の発注から売上げの締めまで、1人で店を運営します。粉じんや騒音などにさらされ、トイレに行くこともできるだけ我慢するという厳しい環境のもとで、長期間働き続けてきました。
 第1審原告らは、このような心身ともに過酷な業務を「セカンドキャリア」として選択したのではありません。自身や家族の生活のためなのです。たしかに、第1審原告らは、やりがいと誇りをもって売店業務に従事してきました。しかし、第1審被告は第1審原告らの働きを正当に評価しようともせず、実質的に同一の業務に従事する正社員との間に大きな格差を設けてきました。そもそも「セカンドキャリア」だからといって低い待遇で働かせ、退職金を支払わない合理的な理由はありません。
3 第1審被告にとって、契約社員Bの貢献なしには、駅地下売店の経営は維持できなかったといっても過言ではありません。第1審被告は、契約社員Bが長期に勤務することをあてにして、ただ有期契約労働者であることを「方便」として、低賃金で働かせてきたというのが実態です。
 第1審被告は、しきりに正社員に対する退職金は「長期雇用のインセンティブ」であり、契約社員Bには「長期雇用のインセンティブ」は働かないと主張しています。しかし、この主張こそ、正社員と有期雇用労働者の労働条件の不合理な相違を是正し、職務の内容等に応じた均衡のとれた処遇を求める労働契約法20条の趣旨に逆行するものです。
 以上より、本件では、第1審原告らに、4分の1ではなく、満額の退職金が支給されてこそ、労働契約法20条の趣旨に適う処遇であるということを述べて、弁論を終わります。
口頭弁論要旨1-1
口頭弁論要旨1-2


口頭弁論要旨2-1

口頭弁論要旨2-2

 弁護士の中川勝之です。

 本日2020年9月14日付けで樽見英樹氏が厚生労働事務次官に就任するとの報道に接しました。
 樽見氏は、2008年7月30日から2009年12月31日まで社会保険庁の総務部総務課長の職に就いており、2012年2月27日に実施された人事院審理において証人として証言しました。この機会には全国から弁護団が集まり、夜遅くまで尋問をしたことで思い出深いものがあります。
社会保険業務センター事案 口頭審理(公開)日程(案)_page-0001
 社会保険庁職員不当解雇撤回闘争についてはご存じかと思いますが、若干説明しますと、2010年1月1日、日本年金機構が設立され、社保廃止に伴い、2009年12月31日付けで525名の社保庁職員が分限免職処分を受けました。
 これに対し、全厚生労働組合に結集する元社保庁職員39名が人事院に審査請求し、2013年に全厚生闘争団を含め合計71名の請求者全員について判定が出されました。結果は処分取消が25名(全厚生闘争団10名)、処分承認が46名であり、請求者全員における処分取消の割合は35.2%でした。
 また、訴訟については、全厚生闘争団として、全国に7事案があり、東京地裁において原告1名が分限免職処分取消の勝訴判決を得たものの、東京高裁で取り消され、最高裁でも敗訴が確定しました。
 そして、2019年10月17日付けで秋田事案について、最高裁判所第一小法廷は、上告棄却と上告不受理の両決定をし、その結果、残念ながら、全厚生闘争団としてたたかってきた全国7事案について、訴訟自体は終了したことになりました。

 そういった経過の後の樽見氏の厚生労働事務次官就任とのことでしたので、樽見氏の証言について述べたいことが多々ありますが、ここでは一点紹介します。
 東京地裁での最終準備書面での主張の一部です。 
5 残務処理要員定員不活用
 厚労省には2010(平成22)年3月末までの社会保険庁残務処理要員枠が113名分あったにも拘わらず、これをまったく活用しなかった。これを活用し、同年4月以降厚労省に配転して過員のまま維持し、順次、退職者や出向による空き定員に当てはめていけば、同年中にはこれを吸収することが可能であった。
  この点に関して、人事院審理において、宮野証人は、本件分限免職後の2010年度の採用数について、「4月以外の年度途中の採用が極めて、200人以上で非常に多くなっていると思います」と証言した(甲A76)。この中途採用の代わりに、残務処理要員枠を活用すれば、分限免職回避が可能だったのである。
 ところが、厚労省も社保庁も、せっかくの枠を全く活用しなかった。
 人事院審理において、樽見証人は、2010(平成22)年3月末まで引っ張ると、組織の改廃・定員の変更ではなくなるため、分限免職しにくくなるので、残務処理要員を使わなかった旨証言した(甲A74・104頁504項)。まさに、分限免職者を出すことが至上命題であったために残務処理要員枠を使わなかったのである。これも、前述した政党の意向を反映したものであり、政治の不当な介入による分限免職回避努力義務違反と言うべきである。 
2009年12月末での分限免職処分を回避するため

2010年1月から3月末までの残務処理定員113名分の予算を確保していた

同人数分、3か月間、分限免職処分を回避できた

にもかかわらず、定員を一人も使わず、分限免職処分を強行した

分限免職処分回避努力義務違反、との主張です。

 実際の樽見氏の証言は次のとおりです。

503(渡辺輝人弁護士(京都第一法律事務所))それから、先ほどのキープという話ですけれども、平成22年の3月まで分限免職の対象になりそうな人をキープしておくという話があったですね。で、これはなんで'実際にやらなかったんですか。
(樽見)結果的に、4月まで持っておくという事によってどっかに転任できるというそういう口がなかったという事ですね、残念ながら。

504(渡辺)いや、だけどそれこそ、それまでに亡くなる人もいるかもしれないし急に辞める人もいるわけで、退職者の補充というのはきくんじゃないですか。
(樽見)そういう人が出れば、そこの中から回すというのは一面では出来るという事だと思いますけれども。ただ一方で、逆に抱えておいて、3月末日で例えば分限免職という事ができるかというと、3月末日になると組織の改廃・定員の変更があったというふうに、社会保険庁が無くなったのは12月末なので、それとの関係で3月末まで引っ張って分限免職っていうのが同じように出来るかというような問題もありましたので、ここは結果的には、使えなかったのは残念だと私今でも思っていますけど、使えなかったという事だと考えています。

505(渡辺)あなた、今すごい事言ったの分かります。廃職という枠組みが無くなっちゃうから、分限免職出来なくなるので、その枠組み使わなかったんだ、って証言したんですよ。
(樽見)はあ。

506(渡辺)それ重大な証言だと思いませんか。回避努力出来たのに、その期を逃したら法律上のやるチャンスが無くなっちゃうからやらなかったんです、っていう答弁ですよ、あなたがしたのは。
(樽見)回避努力を、ちょっとよく分からないんですが。

507(渡辺)いや機会が無くなっちゃうと言いましたね、機会が無くなったらいいじゃないですか、そのまま持っとけば。
(樽見)とはいっても、定員は無くなってしまうんですよね、まあそういう意味で言うと定員が無くなってしまうので、いずれにしても3ヶ月後にはここで。

508(渡辺)だから、そこの時に過員による分限免職処分を考えればいいんじゃないんですか。
(樽見)そうですね、ちょっとそこはあまり詰めて申し上げておりませんでした。そういう事で言うと、私の申し上げた事については3月末になると出来ないと言うのは、これは法律的には聞違いだったかもしれません。ここはちょっと訂正させてください。いずれにしても、社会保険庁が無くなってしまうというきっかけでは無い時点で、いづれ3ヶ月後に定員がなくなるという事態が生じてしまうので、そこの定員については結果的に使えなかったという説明。

509(渡辺)いやいや使えなかったって、あなた方が予算要求をして政府が予算措置してくれたわけでしょう。それ使えなかったって、意味分からないんですけど。使えばいいんじゃないですか。お金あるんだから。
(樽見)その3ヶ月間置いておいて、結局それってその3ヶ月間の後に行き先があると言う人のために使うという事で考えておったので、そこを3ヶ月経ったところで退職という形になるわけですから。

510(渡辺)なるかどうかっていうのは、あなた方がその就職先を転任先を見つけてくればいいんでしょ。それまでに努力を続ければいいんじゃないんですか。
(樽見)そういう事でいうと官民人材交流センターに。

511(渡辺)いや官民じゃなくて、さっきも言っているように、他省庁とかね。厚労省内部でも転任先をどんどん頑張って見つけてくればいいでしょ。その義務をやるという前提であれば意味のある3ヶ月なんじゃないんですか。
(樽見)まあ実際問題として、その時までにその3ヶ月の間に転任が出来るという数が出てこなかったわけです、結果的に言うと。

512(渡辺)でもあなたたちは、そこは流動的で実際でないと分からないと言うわけでしょ。その欠員というものは、例えば誰かが辞めるとか、誰かが死ぬとかそういう事情が無いと分からないと言っているわけでしょ。だからそれがいつ出るか分からないんだから、持っとけば出てくるかもしれないじゃないですか。
(樽見)いずれにしても、社会保険庁が無くなって平成21年12月31日までに日本年金機構に移行するという所まで、社会保険庁から他への転任という事について、最大限どれだけありませんかという事を聞いて回って、厚生労働省との関係でもそれまでの転任というのを全部決めて、その間ずっと増やしてきたわけですので、3ヶ月の間だけというと同時に、これまた余計な事言うと言われるかもしれませんけど、例えば旧社会保険庁の職員で国に転任した職員を、日本年金機構の方へ例えば130人程度出向させる。その間、穴になる所については、臨時の職員という事で埋めると言ったような事を含めて、12月31日を終期として行き先のない職員について、どれだけ職を提供できるかという事を一生懸命やってきたわけですので、12月31日の時点で整理をつけたという事です。

513(渡辺)整理つけたかったんじゃないの。あなたは先ほどのを撒回と言われたけど、結局その時点で整理をつけたかったのではないんですか。だってそうでしょ、予算措置まで取って別に誰も居る事について何も問題ないのに、あえてその枠を使わなかったわけです。
(樽見)そこは3ヶ月だけの残務整理という事です。
<以下省略>

 当時、樽見氏から「あまり詰めて申し上げておりませんでした」との証言がありましたが、是非、厚生労働事務次官になった今こそ、詰めて考えて、社会保険庁職員不当解雇撤回闘争の解決に向けて動き出していただきたいと切に思います。

 弁護士の中川勝之です。

 昨日9月11日、東京争議団共闘会議の定例の最高裁に対する要請行動に、明治乳業争議団東電モラハラ裁判の方々とともに京王新労雇用延長差別事件の弁護団等も参加させていただきました。京王新労副委員長が要請書を読み上げた後、吉田健一弁護士(三多摩法律事務所)、松本恵美子弁護士(代々木総合法律事務所)、そして、私が一言コメントして、高裁判決の見直しを求めました。要請後、上告受理申立書の補充書を提出しました。
 ちょうど一昨日9月10日には、当事務所の弁護士も弁護団に入っている郵政20条裁判の東京事件及び大阪事件について最高裁で弁論があり、10月15日に判決とのことです。ちなみに当事務所の弁護士で弁護団を構成しているメトロコマース事件についても9月15日に最高裁で弁論があります。
 京王新労雇用延長差別事件についても、最高裁で弁論が開かれるよう引き続き頑張っていきたいと思います。
上告受理および公正判決を求める要請書
<上告受理および公正判決を求める要請書>
西門方面から見た最高裁
<西門方面から見た最高裁>
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