しかし、私の観測範囲外ではまだ麻雀漫画が連載されていたのですね。
ネット上でいきなり単行本1巻のレビューを見つけて驚きました。それがこちら、
「マジャン〜畏村奇聞〜」カミムラ晋作です。
カミムラ 晋作
エンターブレイン (2011-07-15)
エブリスタプレミアムという携帯コミックサイトで連載していたようです。携帯コミックか…これは完全にノーマークでしたよ…。単行本第1巻収録分の初出は2010年6月4日〜11月5日だそうですので、1年以上前から連載していたのですね…。こうして単行本が出たからいいものの、ヘタすりゃ一生その存在にすら気付かないままだったのかもしれませんね…。なんてこったい。
内容の方ですが、単行本第1巻のオビに
「竜騎士07が震撼!!」というコメントを貰っているように、「ひぐらし」さながらに不気味で排他的な寒村を舞台にした麻雀漫画となっています。主人公は東京からやって来た転校生・山里卓次。ひょんなことから村の掟を破ってしまい、祭祀「マジャン」で勝負せざるを得なくなってしまうのでした…。
「マジャン」とは当然のことながら「麻雀」のことで、この村ではそう呼ばれており神聖な儀式みたいなものとなっており、なんかマジャンが強い人とか特別視されたりするのですね。そして、掟を破ったとかで制裁をくらわされそうになる主人公。

実際の所、「無くなるのはイヤだけど、無いなら無いでギリギリなんとかなりそう」っていう意味で、
人間の部位の中で一番「賭けるのに適している」ものではあるんでしょうね…。そりゃまぁヤクザだのなんだのと伝統的に覚悟を示したりするのに使われるわけですわ。ちなみに足の指だと、すでに登場しているキャラが「実は無かった(前に大きい勝負で負けた)」とか出来るからもっと便利ですよ。便利て。
麻雀漫画好きとして注目したい所はまずココ。

村人たちはマガミサマという存在を崇めており、マジャン(麻雀)は神前で行われる儀式であるからこそ、イカサマもしないし賭けの約束も守る、という理論。普通の麻雀漫画だと、この
「イカサマもしないし、麻雀で負けたら結果に従う」という設定を自然に作るのはなかなか難しいのですよね。ヤクザの争いだったらそいつらよりも「上」の存在が立会人として必要だったり(それでも負けたら対戦相手を絞め殺そうとするM字ハゲが居たり)、「麻雀プロ」などとしてプライドでルールを順守させようとしたり、あとはムダヅモのように世界観で強引に押し切ろうとするのもありますかねw
(過去記事:
「嘘喰い」に見る、「アカギ」仰木さんの存在意義)
あと、この作品ではこれまた麻雀漫画好きとしては嬉しい特殊麻雀も行われます。
最初の勝負こそ通常の麻雀と同じものですが、次に闘うことになった「悪食」の柳との勝負では、「バンサン」という特殊ルールを加えた麻雀で打つことになります。

ちなみにその特殊ルールは、対局前にこうして点棒を引くことによって決めるようです。儀式みたいですね。
そんでその「バンサン」って特殊ルールは、ネタバレになってしまいますが、こんなものだそうです。

この特殊ルールを活かした駆け引きはなかなか麻雀漫画らしくて良かったですね。
このルールと方向性は違いますが、「鳴いた方が圧倒的に和了りは早くなるけど、最終的にはじっくり脚を貯めてリーチでガツンと決め手を和了った人が勝つ」というのは、宇宙麻雀を思い出しました。
(過去記事:
宇宙麻雀を打ってきました)
みんな大好き、お色気シーンもあるよ!

東京からの転校生である主人公に良くしてくれた別所たまきちゃん(巨乳)ですが、ひょんなことから勝負に巻き込まれて、「供物」として身体は勝負に委ねられることになってしまったのだ! 供物なら仕方ないな!
と、とりあえず分かりやすい部分だけ取り上げてきましたが、闘牌もなかなかしっかりしていて麻雀漫画として面白いですし、寒村という孤立した世界で麻雀を話の真ん中に自然に持ってきてあるのも上手いし、普通に続きが気になります。1巻ではまだ「悪食」の柳との最終戦まで行ってませんし、単行本1巻にはまだ収録されていない「2人マジャン」や「罪送り」なんかもなかなか良かったですよ。
こんなブログを頻繁に見に来るくらいに麻雀漫画が好きだという人なら、まず読んで損をするということは無いと思います。私はエブリスタプレミアムに登録してダッシュで最新話(現在は49話)まで読んできたのですが、これってもう単行本3巻分以上もあるじゃないですか…! そして、私としてはやはり「単行本」という形で手に取って何度も読み返したいものです。そういうわけで、2巻以降も発売されることを願って、面白い・面白そうだと思ったらまずは単行本第1巻を購入しましょう!