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LOVEの穴

31-01













 7話の櫻井アイナを語るためにも、まず話中2つのネタを先にクリアしないと。回想シーンとスリーV運用ピット。とくにピットの構造の方は、把握してるのとしてないので7話後半の展開推移の理解度が違ってくる。
21-04













 まぁもちろん、だのに!劇中でピット構造の説明なんかいっさいしてくんない。ぶっちゃけ「一本道構造」が明らかになるのはもっと先の11話。その容赦のなさがヴァルヴレイヴの素晴らしいトコだね!もちろん「易しく説明してくれない」だけで、調べれば調べるほど応えてくれる、細かく密度高く組まれてるのがヴァルヴレイヴ。「求めよ、さらば与えられん」。本編つうじて描かれ続ける精神性は、とうぜん作品制作の段階でも一貫してる。
31-03













 まずは回想シーンから。1年のクラス内、アイナが語るサキとのやりとり。 
31-04













 …ヴァルヴレイヴの鬼作劇では「まったり回想」だからって油断しちゃいけない。回想入りのアタマからいきなり芝居がはじまってますね。手前でじゃれてるモブ子達はここではスルー。むしろコイツらは画面の大半を占めて観客の注意を惹かせ奥の芝居に気付かせないためのダミーと言ってもいいw あえてハードルを高くするマジキチぶりが素晴らしい!
31-05












































































 教室の隅でアイナと誰かがお話してます。会話を聞かずとも大ぶりなゼスチャーからその内容を読み取れと。誰かがアイナにスッゴイお礼を言って、アイナは「いいえどういたしまして」な返しをしてる。そんなアイナは手に何か抱えてるから、これが「お礼」されるほどのアイナの「親切を示唆するアイテムなんだなというコトはワカる。
31-06













 ココもはしゃぐ生徒たちの方にピンを合わせてるけど、もちろんさっと横切るアイナの方が本題w 抱えてるモノは…
31-02













 コレだ。咲森学園女子体育着。 余談ではあるが!小生このシーン、視聴5度目くらいでやっと奥に立ってるのが「眼鏡してないアイナ」だと気付いた程のヌケサクだ!
31-07













 んでアイナは教室最後端までやってくる。サキの怪我に気が付いて…
31-08













 即反応。
31-09













 こんなコトもあろうかと常に持ち歩いてる絆創膏を差し出す。「やさしさの瞬発力」は常に健在。 たいしたもんだ。

 まぁたったコレだけの回想シーンなんですが、むしろ「怪我したサキに絆創膏をあげる」だけの内容で、ホントに「たったそれだけ」しか描いてないのに、「ここには描かれないだけで、そこに至る背景はこの世界にもちろんちゃんと存在してる」気配がガッツリ盛り込まれてるんですよ。
 なんでサキがこんなみっともない怪我してるんだ?とか、なんでこのやりとりでサキ視点で「特別扱いしなかった」コトになるんだ?とか、そのへんはこんだけの材料から「お前が自分で考えてみろ」と。 じゃあ考えてみよう。
31-10













 まず位置関係だけど、ロッカーも扉も何もない教室最後尾までまっすぐフツーに走ってくるのだから、この一番後ろの席が「アイナの席」。サキの斜め後ろで、座っていたら怪我した脚がちょうど見えない位置だね。抱えて席に戻るってコトは、体育着は自分のモノ

 いっぽうシーン冒頭では教壇と扉の近く、生徒の席からはいくらか離れた場所で会話をしてる。つまり話してる相手はクラスメートじゃない(同じ教壇近くに居るのは「誰も映り込まないよう」撮影する女子達と、「誰にも見られないよう」隠れて画像を見る男子達だけ。教室前方は生徒の生活空間じゃないということ)。前側扉からやってきて、おとなしく席に着いていたアイナを呼び出し、アイナはいかにもアイナらしく扉の前じゃ誰かの邪魔になるからと彼女を教室内に招き入れ、隅に寄って立ち話をしたと推察される。
31-11













 それでこの「感謝&どういたしまして&体育着持ち帰り」なのだから、コレはもう「体育着を貸して、返してもらったところ」だろう。んでそのままじかに自席に戻るときに、はじめてサキの膝が視界に入って、その怪我にやっと気付いたと。
 「体育着を返してもらった」ってコトは、このシーンは「体育の後の休み時間」なんじゃないか?ありがちな男女別・2クラス混合の体育授業。アイナ本人は「今日は都合により見学()」でも「予備の体育着を持ってた」でもどっちでも構わない。アイナ&サキのクラスと隣のクラスが合同授業をやって、アイナは隣のクラスの子に体育着を貸したけど、生憎サキも持ってなくて、それでもサキのことだから「制服のままで大丈夫です」とかやせ我慢しちゃってそのまま授業を受けた。常にアイナはアイナらしく、サキはサキらしく。

 もちろん「制服のままで受けられる授業」ってのが前提で、さすがにサッカーとかバレーは無理。制服でもなんとかなる 陸上競技的な種目だったからサキは強行して、でも制服だから惜しくもスッ転んでしまう、そんな都合の良い授業内容なら何があるだろう?
 …ひらめいた!「ハードル走」だ。コレなら転ぶか転ばないかのギリギリのラインだし、制服だから惜しくも転んだってエクスキューズも立つってモンだ。サキがすっ転んでも即起き上がって駆け出す闘志をみせれば怪我したコトには気付き辛いしね。そりゃまぁハタ目には「カッコ悪い」けれど。それにホラ、なんたって「流木野サキは跳び越える」からさ。「自業自得」ってのもとてもサキっぽい。
17-07







 ここまでストーリーが構築できればあとは容易い。ただでさえ注目される元アイドルのサキが、ひとりだけ制服で体育やるんだから、これはもう浮いて浮いて仕方ない局面。恥ずかしい方向でひとり目立つワケだから、こりゃ相当にタフなメンタルでないと乗り切れない黒歴史イベント。 で、櫻井アイナだけがソレをまったく気にせず、体育の授業中もずっとふだんどおりの態度を取りつづけてた。
 アイナがサキを避けてたからでも嫌ってたからでもなくそれが「ただ自然体だった」ってコトを、なんの躊躇も衒いもなく絆創膏を渡す姿で確信したと。いや、いいハナシっスね。オレの脳内で。

 脳内でっつーか、革命機ヴァルヴレイヴの「大胆に切り詰める一方で、過剰に細かく盛り込む」演出ってのは絶妙で、こうやって身勝手に構築するんにぴったり丁度良い分量を狙い澄ましたかのように与えてくれる。冒頭のチマチマしたやりとりがなければ「体育」には思い至らないワケだし、ひとつ突破したら次々に連鎖して撃ち抜けるような「含み」がいたるところ設けられてて、テキトーにみえるそれぞれの位置関係すらも「ひとつの意図」が見立てられるように繊細に配されてる。
 「描かれた事実だけは事実として絶対に動かさない」。たったひとつのそのルールを守ったうえで、描かれてない真実をいくつでもモギ獲るコトができる、ここまで超高容量の映像作品ってのは凄いわー。…小ネタのはずが、ピット構造解説する記事量がまたまた足りなくなるレベルで、もうどうなんだコレ!?またつづく
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#革命機ヴァルヴレイヴ

30-01













 櫻井アイナさんヤスラカニ。享年16歳。その姿はまるで天使、博愛と善行の末に旅立ってヤスラカニ。
 …きょうはそんな天使のような「ひとりの人間」の「ひとつの真実」に迫っていきたいと思いますう。

 まずは4話、撃たれた山田を構う女子組の推移をご覧ください。
30-02













 「山田さん!山田さん…!(涙声)」
 フィガロ議員に撃たれた山田をアイナが引きずり出そうとする。
 パニックの中、タイミング的にアイナは即反応して山田の元に駆けつけてるハズ。
 アイナの優しさの瞬発力はホントにたいしたモンで、そこに一切の邪念がなかろうことは窺える。 
 そう、「邪念」はないけど…。 
30-03













 「友達でもないのに!」「だって…(涙声)」
 まるで力不足のアイナを見かねてサキが手伝う
 山田は友達でもないのに、なぜそんなお節介を焼くのかと叱る。その山田当人越しにw
 サキの豪胆さもたいしたモノで、1話では上級生のハルトを叱り飛ばし、
 2話では動揺するエルエルフを煽りに煽る。この山田も二年生で、サキからみれば上級生。
 
 撃たれるまでえらく威勢の良かった山田はこっからはやたらおとなしい。
 サキのいうとおり助けてもらって面目丸つぶれ。もちろん礼は言っただろう。
 彼が撃たれたのは右腕だけど、これ以降山田には誰かが肩を貸したり支えたりし続けてる。
 撃たれた後ひっくり返ったときに足を挫いてしまった様子。
 じゃあ土手にでも座っていれば良いのに、そこはやせ我慢で、なんとか自力で立ってはいられる。
 片足で大変だからと皆が脇から支えてやって、でも山田は体重は預けない。そんな構図かと。 
30-04













 「人質?」
 …んが、いつのまにか山田組からひとり離れて群衆に混ざって落ち着いちゃってるサキ。
30-05













 「お母さん…(涙声)」
 山田を支えながら、エルエルフの人質煽りに動揺するアイナ
30-06













 「どうすればいいの…(涙声)」
 いつのまにか山田の隣にマリエが居る。
 アイナは動揺し続けている
30-07













 「大丈夫!」と叫ぶショーコの声に反応するマリエ。 
 マリエはサキに替わって山田を支えていた。こっそりと。
30-08













 「えっと…」
 ショーコが提案した内容について思案するアイナ
 左手を眼鏡にかざす…つまり、いつのまにか山田を支えるのを完全に止めてしまっている
 この段階ではマリエだけが画面外でこっそり山田を支えている。 
30-09













 「アルスも味方でいてくれる!」
 ショーコの両天秤外交案を聞き、やっと安心したご様子のアイナ。晴れやか。
30-10













 「それでは決をとります」
 山田をひとりで支えていたマリエがいつのまにかお立ち台でショーコのアシスタントをやっている。
30-11













 いつのまにかアイナがまたひとりで山田を支えている。
 誰の反応も窺わず自ら真っ先に手を挙げ「賛成!」と叫ぶアイナ。 

 アイナは破壊力満点の茅野ボイスを駆使して相手構わず優しい子アピールをはじめるんだけど、対称的にマリエは一言も喋らずあの地味顔無表情のまま、いつの間にか相手構わずお助けしてる。負傷したタクミにもマリエが無言で付き添ってるし、PVオンエアでは本職放送部のアイナに付いてサポートしてます。
30-12







 そんなマリエもお助けの優先順位の不動の筆頭はショーコ。お立ち台で演説するショーコのアシスタントをやりに行き、結局は山田をアイナひとりに任せてしまう。「誰にでも等しく優しい」なんて「誰にも優しくない」と完全イコールでしかないと考えてる自分としては、マリエを通して描かれる「優しさのかたちはとても好ましく感じられるモノ。アイナだってそう。
30-13













 「お母さん…(涙声)」
 5話。環境システムダウンの不安に怯え、たったひとこと漏らすアイナ。4話で目の前の負傷者・山田をほったらかしてアイナが気に掛けたもの。それが「母親」なのね。マリエの優しさ優先順位1位が常にショーコであるように、アイナの優先順位ナンバーワンは常に「お母さん」。ショーコの提案する「家族が無事で居られるロジック」に安堵し、柄にもなく真っ先に手を挙げハッキリ「応」をアピールするほど大事なものが「母親」なんだ。
17-07







 最後にサキ。アイナへの微妙な「ほっとけないと、ふだんからの割り切り型の性格の合わせ技の発露。「アイナがひとりで往生してるのを目撃したら叱りながらも手伝うが、それも必要と思われるところまで。あとは任せられる誰か(この場合マリエ)に押しつけてさっさと離脱する」。サキの人柄がすごく地味~に表現として出てて、こりゃ良い芝居ですわ。
30-14













 そしてその後のシーンでは、入れ替わり立ち代わり様々なキャラが総出でショーコの提案に対して反応してみせるのに、サキだけ「人質」ということばを発した直後にこの劇場空間から消えて居なくなる。エルエルフの「家族というワードに真っ先に反応したのはサキ。しかしそれきりこのエピソードから姿を消す。サキが家族の安否についてどう思い、ショーコの提案に挙手したのかどうかだけが描かれない。皆こぞって「家族を心配する」シーンでなぜかひとりだけ消えるサキ。「サキだけは皆と家族に対するスタンスが異なる」というコトがここで既に示唆されていた。
30-15













 サキひとりだけが退場したその「意味」は、1話おいて6話で明かされるワケですね。彼女にとって「家族=親」とは人生かけたコンプレックスと同義、激しく忌み嫌おうと"すべき"モノだったのだと。その一端を先に見せたくないからスコンと消えてもらったと。
30-16













 2話のこの告白キャンセルのシーンでもサキは自ら進んで画面から消えてみせる。たとえ観客の視界からは消えてしまってもソコにはちゃんとサキは居て、1話の神社で同じく画面の外で聞いていたように、ここでもふたりの話を画面の外で聞いている。そんなサキは無関心を装っても内心思うところがあり、それがドンドン積み重なってって、いつかとつぜんの「目に見える実際の行動」にあらわれる。

 これがふつうの娯楽映像だったらお客様はただアーンしてれば食べ易い分量だけ掬ってもらって口に入れてくれるんでそのとーりにモグモグしてればそれで済む、「画面上に何があり、何が語られているか」を押さえていればそれで済むのだけど、このヴァルヴレイヴみたいな根性ヒン曲がったタイプではそれだけじゃぜんぜん足りない。「画面から無くされているモノ」「もっともらしい説明中でなぜか語られないモノ」を積極的に注視し、見えるプラス見えないマイナス両方を足して「真実」を導き出さなきゃなんない。自分も世界も目に見えてるオモテのパートだけじゃ成立しない。誰でもない自分自身がウラを獲りにいかなきゃ世界は暴けない。

 が文字どおり「せられてる」 正しき作劇。さあコレが伏線ですよ?みんな覚えておこうネ!なんて「生ヌルい伏線モドキ」とは違い、ホンキでめくりにかからないと気付けっこない。このハードさがたまらない。
02-03













 この独立のエピソードではどうみても、モジュール切り離しをやり遂げるヴァルヴレイヴとシンクロした「指導者ショーコと助手のマリエが挙手を募るシーン」の方がクライマックスで、マヌケに撃たれて軽傷程度の山田のくだりは添え物同然。「ショーコのカリスマ」を画にするには補佐役キャラのマリエをアシスタントとして使役させるってのがそりゃ手早い策だ。
30-03













 その前段、フィガロ議員に撃たれる山田を使い、2話3話から続く「アイナをほっとけないサキ」のくだりを盛り込むってコトを合わせれば、ショーコ組のマリエを山田組に混ぜる必要はまったくない。サキアイふたりで連れてきたんならそのままずっとサキにも支えさせたらそれで済むし、その方が簡単。連れてきたサキが離脱し、そのあとずっとアイナひとりで山田を支えさせるんでもいい。さらにその方が簡単。それにそうした方が「優しいアイナ、健気!」感も出るでしょう?
 
 でもそうはしない。サキを山田組からは離脱させ、替わりにマリエが"どこからかやってきて"支え続けるってワンクッションを置く。マリエに支えさせることでアイナの「山田まで無視したひとり芝居」がスムーズに成立し、再びアイナひとりにバトンタッチして、やっとマリエがショーコのサポートに登壇する。動揺から高揚までのアイナの語気の変化を中心としたそれぞれの呟き。細かく細かく段取りを踏み、ひと芝居ひと芝居にその為人をさりげなく込める。マリエもアイナもどうせサポート要員…都合の良い脇役でしかないのに、そうしときゃ済む、その方がワカりよく受け入れられる「薄っぺらな"優しい"キャラ」としては描かれない。ひとりひとりアニメっぽさが抜かれた「血肉のある人間」として造形されてる。
30-17













 そしてそれはちっとも「観客にワカりいい説明」にしてみせてはくれない。キャラクター達のさりげない位置の変化、説明口調のセリフなんか入れず、終始無言や吐き捨てるような短い呟きだけで芝居が淡々と積み重ねられ、それだけで各人物の境遇や人柄を表現し切っちゃう。この卓越した技巧をもって「説明しにかかりさえすりゃ超絶ワカりいいお話が組めるハズなのに、あえてまったく説明せずに突き放す。まったくもって意地が悪い。
 
 登場人物それぞれが独自の事情と性格に基づいてそれぞれ勝手に言動を重ね、個人という膨大な処理系が組み合わさるコトでひとつの情景がかたちづくられていくのが革命機ヴァルヴレイヴの鬼作劇。キャラクター描写があまりに緻密に描かれ過ぎ。過剰なまでに緻密に組んでるからこそ雑にみせかけるコトができ、複数の人物間で微妙な認識の掛け違えを生ませ、綻びの連続ドラマ、いっけん唐突にみえる展開を繰り出し続けるコトができるワケよ。
30-18













 とかなんとか脱線してクダ巻いてるだけでもうなんか記事量としては限界的な…。
 "茅野選手、梶選手の悶絶テクにたまらず昇天の章"はさっくり後半に続く!

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#革命機ヴァルヴレイヴ

28-15













 前回の保留事項ー。「誰がアキラの元へ六号機を差し向けたのか」。その候補は結局「アリバイのない人全員」。まるで自力で這いあがってきたような六号機の姿勢(両手の仕草に注目)、背中のシャッターが開けられて露出したままのコアからいくと、誰かが六号機に地上まで這い上がる自律行動を命じて放ったようなふうにはみえる。アリバイがあるのは官邸に居たエルエルフとショーコ、攻め込まれ拘束されたピットクルー、外で焼かれてるサキ・キューマ・山田。それ以外の人間にはまったくアリバイがない。
29-01













 ハルトにすらないし、管制室の人間も全員アリバイがない。あんだけギリギリの状況であっても、かんじんの司令官のサトミが実際に「トイレ抜け」できてるんだから、オペレーターでも誰でもあの場からいっときは自由に抜けられる。
29-02












 
 まぁ自分のプランだと「またここで」というか「こんなときだからこそ」のお助けゆるふわ先生ということになってしまうのだけど、ちょっと思考として硬直しすぎかなとも思う。ただ「シャッターの背中側が開いたまま=誰かがコア機関部に直接コマンド入力した」は表現としてはかなりの直球じゃないだろか。しかしながら最終回のリオン先生の出番、地下五階到達時点の「神様ッ!」と、地下一階到達でショーコが吹き飛ばされた直後の「もうダメ!」の2シーンだけ。自分の唱える「リオン六号機をアキラ宛てに差し向けた説」そして「ショーコだけがメタ意志の庇護を浴びる特異点説」に立つと、どっちもタイミング&台詞のかんぺき具合に悶絶。
29-03













 仮定の前提「契約起動前のヴァルヴレイヴの簡単な自律行動」は1話で既にやってみせてることだしね。このシーン、ハルトがコクピットに座ってるから騙されるのだけど、彼は何もせずにただ座ってるだけ。ハンガーの存在無視で壊しながら立つワケじゃなく、ヴァルヴレイヴ壱号機はその場の勝手なアドリブでハンガーに手をついたり壊したりして、「予定された自動モーション」ではない「自律的な起立」をはっきりとしてみせてる。
29-04













 実行犯の条件は「アキラの存在とショーコとの関係を知ってる」コト、プラス「スリーVに関する高度な技術知識がある」コト。「事前にガス作戦まで読み切ってた」ケースの想定は難しいが、被害が出始めて「ガス作戦が実施されてる」って事実を認識してから起こした行動であれば、そのハードルはガクッと下がる。
29-05













 そのままほっといたらどうせ全滅か大敗の「革命失敗エンド」なんだから、とにかく唯一地上に残ってるパイロット候補・アキラが乗り込むっていう最後のチャンスに賭けて、唯一地下に残ってる未登録のヴァルヴレイヴ・六号機を差し向けるくらいはしてもいい。アキラの為人をあらかじめ知っていれば、電子戦超特化仕様の六号機に充てるにはもう絶対この子しかねぇ!ってカンジっスからね。人事を尽くして初めて天命は待てるもの。「奇跡というラベル」を貼るべき「ぐうぜん」とは、積み重ねた精一杯の努力の先にこそ拾えるものだからね。
29-06







 機体単独で最深部から地上までやってくるヴァルヴレイヴといい、ショーコ絡みの決起といい、最終話の六号機起動は第一話の壱号機起動の再演。"その先"の意図はともかく、「最終話の起動エピソードを1~2話の起動エピソードに重ねてあるコトだけは間違いない。いいや違う。因果が逆だ。「~2の起動エピソードを最終話の起動エピソードに重ねてある」。
29-07













 「出ていけ!」と言い放ち「2度」「硬質残光の」「打突を入れる」ヴァルヴレイヴ。
 2話の方さ、そういやなんでココだけ唐突に硬質残光が発生してんのw
29-08



















 「無人バッフェ2機」がヴァルヴレイヴの攻撃で「制御を失い共倒れ」になる。

 1話の壱号機の戦闘は目の前の有人バッフェを倒すトコからはじまるんだけど、その直後、事前に待機モードに設定してた無人バッフェ2機が制御を失ってもつれあって爆発するのよね。たしかにココも初回視聴時「なんでコントロール機がロストしたくらいでそんな大惨事になんだよ?セーフティは掛からないのかよ!」とは思ってたw 「出ていけ」も「無人機同士討ち」も、六号機のハッキング演出がまずありき。最終エピソードから逆引きして、あらかじめ冒頭エピソードに演出が「不自然に」挿し込まれてるワケだ。
 これまでのヴァルヴレイヴに強く感じる制作姿勢「まず最初に"最後"を細かくきめてしまい、すべてをその前段としていきあたりばったりのようにみせかけて周到に配置する」スタイルがここにも見える。
29-09





















































































 ショーコがふっとばされてからボタンを押すまでの対比の構造。「壱周目ハルト=動機付けを全カット+乗り込んでからボタン押しまでを長尺で描く」⇔「弐周目アキラ=動機付けを長尺で描く+乗り込んだら即ボタンを押す」。ハルトはコクピット、アキラはダンボールハウス。どちらも同じ「密室でひとり長々と逡巡する」芝居で、それが「乗ったに迷うハルト」と「乗ろうとするに迷うアキラ」というタイミングの違いを生んでるんだ。ただひたすら、純粋な対比の構造。
29-10













 ヴァルヴレイヴ1話と最終話の対比にあっては、アキラが即ボタンを押すときのたった一言「どうせ…」が深い。この「どうせ…」ってのは、劇中視点だとまぁアキラはサキ的な厭世の文脈で使ったのだと思うのだけど、あの1話を踏まえた対比の図式においては「"どうせ"グダグダやっても結局ボタンを押して戦うのだから、時間を掛けずさっさと押してしまえ」ってメタの意志さえ含められる。
04-07



 

 アキラの「もっともな動機付けの決起」をベースにワザとひっくり返したのがハルトの「不自然な決起」。逆に「地下のヴァルヴレイヴが地上まで自らやってくる」くだりは壱周目ハルトバージョンが「最初から最後までの段取りをすべて見せる自然な展開」で、弐周目アキラバージョンが「地上にやってくるまでの描写を全カットした不自然な展開」。
29-11







 アキラのダンボールハウスが2階にあるのか3階なのかがはっきりしないけど、もし3階なら、壱号機が伏せの姿勢で地上にあらわれたトキとそっくり同じ高さ、六号機も伏せの姿勢で「地上に」あらわれてるコトになるのよね。ハルト達はプールより一段低い通路を駆けてくるけど、プール自体は校舎と同じ地平。ハンガーの高さはおおよそ校舎(1階が高い)の3階程度。「同じように自分の元にやってきた」ヴァルヴレイヴを下から見上げるのがハルト、上から見下ろすのがアキラ。とことんまで対の構成。
29-12







 それぞれのパートはあくまで「いっけんして不自然」なだけで、"劇中でそうなる理屈"がいかようにもつけられるよう周到に描かれてる。同じ伏せの姿勢なのも、機関部シャッターが開いてるのも、メタ視点では1話のビジュアルとの対比であり、劇中視点ではそれぞれ「自律行動」と「誰かによる仕組まれ」の示唆。そもそも、ダンボールハウス脇の通路が崩れてたのもぐうぜんじゃなく、これは間違いなく六号機による仕事だもの。
29-13













 通路正面が崩れて塞がってしまってる
29-16













 右脇に奥に続く穴ポコ発見!
29-17













 穴ポコから左側を覗き込むと…
29-18













 床下前方に六号機鎮座。

 つまり、塞がってる通路正面下方に六号機がドーンと居る。通路が崩れてしまったのはドリルミサイルの衝撃等じゃなく、お助けメカのはずの六号機が這い出てきたのが原因。こりゃもう「アキラが何かを成したいなら六号機に乗る以外に手段がない」って状況への追い込みじゃんw 六号機がただのありがたい光明、アキラの願いを叶えてくれる便利な道具に終わらずに、やっぱりここでもオモテとウラの構造が成立するコトになる。自分にも世界にもあらゆるものにはウラがある。オモテ+ウラで光と闇が相殺され、ただひたすら純粋無垢な存在になる…。

 しかしこの対比構造、そもそもの「対比させて描く"その先"の意図」って、そりゃただたんに「最初と最後を対にしただけ」かもしれないけれど、そうではなく、自分のかねてからの見立て「革命機ヴァルヴレイヴは周回構造」説、この「弐周目」がここでもうはじまってるのだとしたら、これは…。
28-02













  一期目が現実にブツ切りエンドだったんだから、綺麗に「Season1=壱周目」「Season2=弐周目」にしてはいない、って見立てだってすんなりとおっちゃう。むしろ12話は「Season1の最終話」ではなく「弐周目の第一話」だから積極的にヒキまくって終わらせてる、とここでは解釈しよう。
29-14












 
 自前でこねくりまわしておいてなんだけど「周目初回で号機起動」「周目初回で号機起動」、そういやコレにも符合する。物語における壱号機起動の意義=六号機起動の意義+弐号機起動の意義。以降は「弐周目がもうはじまってる」センで見立てていきますわ。さらにその先、全二周じゃなくて、とある描写に基づいた「壱周目+弐周目+周目」の三周構造の可能性を探っていきたい。だって弐周目が出だしからハイペースで、残話数とも合わないもの。まぁ「1クール目が長い一周目、2クール目が駆け足の二周目&締めの三周目」の三周構造だったら、ますますアクエリオンEVOLとそっくりになっちゃうけどもw
29-15







 じゃあさらにその先、二周だの三周だのする肝心の意義は?というと、自分の見立ては「ロボットアニメ史オマージュの究極形」。「"世界を暴く"コトの究極形="メタフィクション"」に行き着くように、ロボットアニメ史というものを突き詰めようとしたら、既存過去作のオマージュだけじゃ足りはしない。ロボットアニメという文化はまだまだ終わらない、これから先も連綿と新しい作品が発表されていくのだから、「過去作40年分のオマージュ」なんてしょせんは「あるとき時点からみた"過去"を振り返る」行為でしかない。この問題を突破する方法は「"未来"のロボットアニメもオマージュしてしまう」こと。
22-23













 ようするに、まだ発表されてない未来の自分をオマージュ しちゃう!1話からはじまった「"今の"革命機ヴァルヴレイヴという番組」は、まだ見ぬ「"未来の"革命機ヴァルヴレイヴという番組」を下敷きにしてつくられたもの。過去誰にもできなかった「時間という壁を超越したオマージュ」を可能にするには、自分自身で同じ構造の物語を二回以上繰り返し、二回目「」基づいてさきに一回目「」つくればそれでいい。ヴァルヴレイヴがほかの要素で既にやってみせてるように、"ロボットアニメ史に対しての姿勢"にも妥協なく究極を目指してるなら、そういうアイデアさえじゅうぶんアリだ!

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  • 『優しさの瞬発力:評価S』(革命機ヴァルヴレイヴ ディテール考察)
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