厚労省の統計*1によるとフルタイム勤務の人の賃金は前年比 +2.1% になったようです。
とはいえ、消費者物価の上昇が 3% を超えているので実質賃金はまだマイナスなんですよね。
平均月給31万円、過去最高 29年ぶりの上昇幅、厚労省 | 共同通信
厚生労働省が24日に公表した2023年の賃金構造基本統計調査(速報)によると、フルタイムで働く人の平均月給は前年比2.1%増の31万8300円で過去最高となった。上昇幅としては1994年の2.6%以来、29年ぶりの高水準。
ISSUE という外注プラットフォームを提供する Resource が、プレスリリースでウェブエンジニアの業務委託単価相場を公開しています。
まぁ安い人を見ても仕方ないので、ここでは最も高価な 7,000円~ というところを見てみたいと思います。
上限は書いていないですが、直感的には CTO 経験者だったらもうちょっといきますよね・・・という感じではあります。
というか、CTO 経験者が外注プラットフォームで仕事探ししなければならない状況というのも、あまり存在しないように思うんですけどね。
3,000人に聞いたwebエンジニアの業務委託単価相場を公開しました。|Resource株式会社のプレスリリース
スペシャリスト、数十人規模の開発組織のCTO経験者などが当てはまります。 AIや特定領域での専門性の高さが評価される場合とマネジメントなど経験豊富なジェネラリスト層で分かれています。コストパフォーマンスの面からもスタートアップ界隈でこの単価が通ることはあまりなく、プライム企業など上場企業が多いのではないかと思います。
- 7,000円~
最近、食料品や電気・ガスなどの値上がりが顕著になっていますが、これに対するインフレ手当を支給する企業が増えているようなのでメモ。
帝国データバンクの調査だと会社によっての金額の大小はありますが、中小企業も含めて1/4 くらいの割合で支給や検討が進んでいるというのは結構驚きですね。
まぁ臨時的な手当でははく普通にベースアップしろという話は出てくると思いますが。
インフレ手当に関する企業の実態アンケート| 株式会社 帝国データバンク[TDB]
1 物価高騰をきっかけとして従業員に対して特別手当(インフレ手当)を「支給した」企業は全体の6.6%となった。また「支給を予定」は5.7%、「支給を検討中」は14.1%となり、全体の4社に1社(26.4%)がインフレ手当に取り組んでいる。他方、「支給する予定はない」は63.7%
2 インフレ手当のうち、「一時金」の支給額(予定・検討中含む)の内訳をみると、「1万円~3万円未満」が27.9%で最も多く、平均支給額は約5万3,700円。「月額手当」(同)は、「3千円~5千円未満」と「5千円~1万円未満」が30.3%で最も多く、平均支給額は約6,500円
給与の支払いが電子マネーできるように法改正の準備が進んでいるようです。
ちなみに給料の支払いについては労働基準法 第二十四条と、労働基準法施行規則 第七条の二で明確に規定されています。
セキュリティ的な問題もあるので、一部の例を除いて現金直接払いというのはなくなっていて、基本的には口座振り込みという感じですが、これを電子マネーにできることにどれだけのメリットがあるのかは疑問です。
給与デジタル払い、23年春にも解禁 政府が最終調整: 日本経済新聞
政府は給与をデジタルマネーで受け取る制度を2023年4月にも解禁する方向で最終調整する。労働者側は決済アプリの口座に直接給与が入り、日常の買い物に使える。世界に遅れている日本のキャッシュレス化を進める契機となる。
労働者保護のため要件は厳格にする。口座残高の上限は100万円とし、業者が破綻しても全額が保証される仕組みの確保も義務付ける。
(賃金の支払)
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
第七条の二 使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払について次の方法によることができる。
一 当該労働者が指定する銀行その他の金融機関に対する当該労働者の預金又は貯金への振込み
二 当該労働者が指定する金融商品取引業者(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号。以下「金商法」という。)第二条第九項に規定する金融商品取引業者(金商法第二十八条第一項に規定する第一種金融商品取引業を行う者に限り、金商法第二十九条の四の二第九項に規定する第一種少額電子募集取扱業者を除く。)をいう。以下この号において同じ。)に対する当該労働者の預り金(次の要件を満たすものに限る。)への払込み
厚労省が発表した毎月勤労統計調査 令和4年4月分結果確報で、実質賃金指数が対前年比で -1.7% になったことがニュースになっていたのでメモ。
4 月の消費者物価指数*1は対前年比で+2.5% となっているので、物価が上がった分だけ賃金が目減りしているという傾向になっていると言えそうです。
実質賃金、確報値1.7%減 4月の勤労統計、下方修正 | 共同通信
厚生労働省は24日、4月の毎月勤労統計調査(従業員5人以上の事業所)の確報値を発表し、物価の影響を加味した実質賃金を前年同月比1.7%減に下方修正した。速報値は1.2%の減だった。
2025 年までに最低賃金を全国平均で 1,000 円以上にすることが政府の新しい資本主義の実行計画に盛り込まれるようなのでメモ。
令和 3 (2021)年度の最低賃金の平均は 930 円なので、3 年で 1 割近くアップということになりますが、現在のインフレ状況を見ると不可能ではないのかもしれません。
最低賃金、25年度には千円 政府、新資本主義工程表で | 共同通信
政府が最低賃金の引き上げについて、2025年度には全国平均で時給千円以上を目指す目標を「新しい資本主義の実行計画」の工程表に盛り込む方針であることが2日、分かった。
TL でIT エンジニアは転職すると給料が増えるというニュースが話題になっていたのでメモ。
個人的には良い待遇を求めて職場を変えることは当然のことだと思うので、バグと呼ぶのはちょっとなぁという感じがします。今回の調査では転職すると年収が高くなるという論調にも見えますが、能力が高いと、転職にも有利、年収が高くなりやすいというだけではないかとも思います。
「ITエンジニアは転職した方が収入が増えるバグ」、数字からも明らかに 生涯年収に1000万円の差 - ITmedia NEWS
しかし生涯で4回以上転職するエンジニアの場合、20代前半では425万円と転職しない場合を下回るものの、20代後半の時点では631万、30代前半で686万円、30代後半で685万円、40代前半で727万円、40代後半で729万円と上回った。転職を生涯に1回だけする場合、2回する場合、3回する場合の平均年収も算出したが、20代前半を除くどの年代でも4回以上転職するエンジニアの方が年収が高かった。
† 参考
奨学金の出世払い制度が政府でまた話題になっているようなのでメモ。
議論が行われている会議体は「教育未来創造会議」のようです。
資料を読んでもはっきり書いてありませんが、これは第二種奨学金(有利子)採用者向けということでしょうか。
それにしても年収 300 万円を出世払いというのは夢がなさ過ぎるので止めた方がいいと思うのは僕だけでしょうか。
奨学金「出世払い」検討を…首相が指示、就職後に一定年収になったら返済 : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン
日本では、返済不要の給付型奨学金の対象外となった学生は、貸与型奨学金を利用するが、卒業後、年収が低く返済に苦しむ人が少なくない。自民党内では、卒業後、年収300万円に達してから返済を始める制度案などが検討されている。
† 第一種の猶予はすでにある
ちなみに、JASSO(日本学生支援機構)の第一種奨学金(無利子)採用者には猶予年限特例があり、奨学金申込時の家計支持者の所得金額が 300 万円未満の場合に、卒業後に本人が一定の収入(給与所得者収入300万円、給与所得者以外所得200万円)を得られるようになるまでは返還の猶予が受けられるというようになっています。
バンダイナムコエンターテインメントが基本給を月平均5万円引き上げすることがニュースになっていたのでメモ。
基本給を引き上げるだけで、年収が上がるとは言っていないのがポイントでしょうか。
バンダイナムコエンターテインメントは平均年収が開示されていないので、今回の発表でどの程度労働か環境が改善されているのかというのは分かりません。
一方で、バンダイナムコは持ち株会社(ホールディングス)が上場されているので、こちらの平均年収を有価証券報告書で確認してみると「16期 有価証券報告書(2021年10月19日訂正版)」では、ホールディングス所属の 25 人の平均年間給与は 1,121万円ということが分かります。ただ、連結会社全体での従業員数は 9,550 人で、ホールディングスは幹部だけが所属していると考えると、この値はあまり参考にはならなさそうです。
株式会社バンダイナムコエンターテインメント(本社:東京都港区、代表取締役社長:宮河恭夫)は、2022年4月より、社員の収入安定による働きやすさ向上を目的に、年収における基本給の比率を高め、基本給を全社員月平均5万円引き上げる新報酬制度を導入いたします。また、初任給を従来の23.2万円から29万円(※)へ引き上げます。
博士課程を修了した後の人材が現在どうなっているかを調査している NISTEP(科学技術・学術政策研究所)の博士人材追跡調査の第4次報告が公開されていました。
2015年に1次調査が公表されていましたが、その後も継続して実施されていたようです。
† 年収は 300~500 万円くらいのことが多い?
注目したいのは年収の部分。黄色の保健には1000 万円超の部分に山がありますが、これは医師や歯科医師が含まれているためなのであまり参考になりません。工学系だと「300~400万円」「400~500万円」が最頻値になっています。工学系の場合は元々が社会人のことも多いので、修了後の年収は会社員の場合には元々着いていたポストのままそれほど変化がない人も多いでしょうが、そのまま大学に残ったり、新卒で会社に入ったりするとそんな感じかもしれません。
ちなみに僕の場合、ポスドクの時は年俸 300 万円、任期付き助教の時は年俸 450 万円でした。常勤の身分でしたが、足りない分については「学外のことは関知しませんので、自分で何とかしてくださいと」言われていたので、1~2日くらいは普通に仕事をしたりしているような感じでしたね。