TL で流れていたUbiquiti Networks のEdgeRouter™ Xがちょっと気になっているのでメモ。有線の GbE が5ポートのみの家庭用ルーターで MSRP*1がUS$49 と聞くと、大したことなさそうですが、侮ることなかれ。
† 驚愕のスペック表
スペック表*2を見て驚くのは、この価格でショートパケット(64B)のスイッチング能力 130 kpps となっています。数値がよくわからない人も多いと思いますが、たとえば国内でよく使われているヤマハの機種だとRTX810 (約4.5万円)で 122kpps、RTX1210(約7万円)で 381kpps という感じなので、これと比較すればわかりやすいかもしれません。pps についての詳細は後半に書きます。
これだけでは終わらずにルーティングは RIP, OSPF, BGP 対応。VPN は IPSec, OpenVPN, PPTP, L2TP に対応。その他にも802.1q VLAN(タグ VLAN) や802.3ad の LAG,SNMP にも対応しており、SSH や Telnet によるコンソールログインもできます。PoE 受電にも対応しているので、PoE インジェクタがあれば AC アダプタなしでも動作させることができます。
ただし、扱いは難しいようで「ネットワーク機器は Web でしか設定したことがありません(Web でしか設定できません)」「コンソールって何ですか?」という人にはお勧めできないようです。
何度も言いますが、これで小売り希望価格 US$49。本当に驚きです。
Amazon だと1万円くらいで手に入るようなので、仕事場での演習用に1個買ってみようかなと思います。
† 家庭用のルーターに pps が記載されていないのは
業務用グレードのネットワーク機器であればスイッチング能力( 単位が pps のもの )は必ずスペック表に記載されていますが、家庭用のルーターではスループットのみが記載されていることが多く、スイッチング能力はそもそも公開されていない場合が多いです。しかもベンチマークはラージパケット(1518B)を利用していることが圧倒的に多いです。家庭用はそんなのをみてルーターを買う奴はいない・・・というのはありますが、メーカーとしてもちょっと公開したくない理由があるのです。
pps は1秒間に処理できるパケットの数なので、これに 64B (フレームには 8B のプリアンブルや 12B のインターフレームギャップがつくので厳密には 84B )を掛けると、秒間のスループットに換算できます。b(ビット)と B(バイト)が入り交じるとめんどくさいので、84B = 672b と変換して計算すると EdgeRouter X のショートパケット時のスループットは672b * 130kpps = 87.36Mbps と計算できます。これは 1Gbps の 10% にも満たない速度ですが、もちろん通常のネットワークのトラフィックでは大きなパケットの方が圧倒的に多いので、家で使う上で pps が問題になることはまずありません。
前述の例が残念な感じのように、これと同じテストを確実にこれらよりも性能が低い家庭用の安いルーターでやるとかなり悲惨な結果になることは容易に想像がつきます。これに対し、ラージパケットで計算したスループットはすぐに GbE の上限(ワイヤースピード)に張りつきます。そんなわけで家庭用のルーターはどのメーカーのスループットを見ても似たり寄ったりということになっているわけです。
ちなみにワイヤースピード(回線の上限速度)を出すのに必要なスイッチング能力は GbE の場合には (1 Gbit) / (84B) =1.488 Mpps と結構なスイッチング能力が必要です。
† 僕が普段いじってる機器の pps
現在、私が自由にいじることができる一番スイッチング能力が高いネットワーク機器(L3)を調べてみたら190Mpps でした。
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