昭和74年。
夏辺水華(なつべみずか)と織絵冬星(おりえとうじ)が入学した大学の法学部は、法律を教える所では無く、魔法を教える為に設立された『魔法学部』だった。
それは数年前元素Maの発見に伴い魔法が発明されてはいたが、結局一過性のブームと断定され誰も見向きしなくなっていた時代。
「浮動産登記法一章一条登記シタル魔力ニ関スル設定保存移転変更登記処分ノ制限若シクハ消滅ニ付キ之ヲ為ス其ノ魔力登記法ニ従イ彼ノ地ヨリ此ノ地ヘ発生スル事ヲ命ズ」
……などの呪文詠唱から始まる、魔法を実際に履行するための『登記申請手続き』の余りの難度の高さに、魔法で浮かべた一戸建てが空から落下するなど日常茶飯事。
そんな法学部での、新入生達の物語。
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