主人公は、同級生の美穂と最近付き合い始めたばかり。幼馴染のさやかが二人の橋渡しをしてくれた。毎朝、公園にある大樹の元で待ち合わせをし、美穂と一緒に登校する主人公。公園で出会う時、美穂はいつも、祈るように空を見上げる。何を想ってそうしているのか、聞いたことはないけれど、彼女は儀式のように、空を見上げる。
美穂、さやか、そして友達の幸紀。仲のよい三人とともに過ぎていく、平穏な学園生活。美穂との関係も、少しずつ深くなろうとしていた、ある日。忽然と美穂が消えてしまう。朝、待ち合わせをしていた公園に美穂は現れず、代わりに今まで会った事すらない少女(美沙)がやって来て、親しげな口を聞く。戸惑いながらも対話する主人公。美沙は主人公を、自分の家庭教師だと勘違いしているらしい。「今晩もよろしくお願いしますね」などと言う。しかし、そんな筈はない。今、初めて会った人間の家庭教師を、自分がやっていた筈がない……。
しかし。学園にも自宅にも、美穂はいなかった。いないどころか、美穂は幼い頃に死んでしまった、事になっていた。代わりに妹の美沙が存在し、主人公は彼女の家庭教師をやっていた事になっている……。さやかと幸紀以外の人間は、美穂の事を覚えてすらいない、この世界。いったい何が起こったのか? 起こっているのか?
美穂のことを誰も覚えていない、でもそれ以外は何も変わっていない世界にシフトしてしまったことを知った主人公は、同じくシフトしたさやか、幸紀ともに、校医の綾子先生の力も借りて元に戻る方法を探す。しかし、日を追うごとになぜか、自分の記憶から美穂との想い出は失われていく。
美穂のいない世界にずるずると同化していく三人。(そのうちに自分は美穂の事を完全に忘れてしまうのではないのか?)焦る主人公。しかし、元の世界に戻る方法は分からないまま。ひたむきに主人公を慕ってくる美沙。美穂の記憶が減っていくのに比例して、増え続けていく美沙との想い出。やがて、さやかが自分で抑えていた、主人公への想いも走り出してしまう。
そして現れる、謎の少女、つかさ。彼女は主人公に告げる。「想いを空に捧げよ」と。美穂のいる元の世界に戻るのか?あるいは、「こちら側」の世界に順応するのか。誰とともに生きるのか。主人公は選択をする。
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