古城に移り住むこととなった主人公。
その時から城に仕える3人のメイド達との静かな物語が始まる。

―――母親の死後、青年のもとに一通の手紙が届く。
それは、生まれたときから一度も会ったことのない父親からの手紙だった。

突然のことに戸惑いつつも、どんな人物なのか会ってみたいという好奇心と、母親が死ぬまで何の音沙汰もなかった男の顔面を殴ってやりたいという憎悪に背中を押されて、彼は辺境で領主をしているという父親の古城を訪れた。だが、そこで青年を待っていたのは余命幾ばくもない病人であり、彼は怒りの拳を振り上げることができなかった。

街へと帰るための馬車が近くの村を通る数日後まで、その古城にしばらく滞在することになった青年は、そこで3人のメイドたちと出会った。『少女と大人の狭間で揺れているようなノエル』 『子猫のように臆病な愛らしいミルツ』 『優しげに見詰めてくれる大人のロージュ』
そんな彼女たちとの出会いに心躍らされながらも、彼は自分の夢を早く叶えたいと願い、城の中でおとなしく馬車がやってくるのを待っていた。

―――医者になること。
母親の死を前にして無力だった自分を責めるように、彼はその夢を追っていた。
しかし、死期が迫っていることを自覚していた青年の父親は、彼にこの城に残り領主を継いで欲しいと口にした。

そのときから、黒き森に囲まれた古城を舞台に、彼と彼女たちの静かな物語が始まった。