その昔。堕落の道を歩み始めた人間たちに、深い罰を与えた神。
正しき心を持つか否かを天秤ではかり、
硫黄と火によって、一夜でその退廃の街を滅ぼした――。
ソレは本当に神であったのか……。
「死者の書」と「天秤」をたずさえ、
美しい顔で人々を惑わし続ける、ソレは。
人々の醜くみだらな心を引き寄せ、
甘い言葉を囁く一方、俗悪な心を断じ続けた、ソレは。
ソレは本当に、神であったのか……。
「闇は闇に惹かれるのです」
仮そめの姿を深く揺り椅子に沈め。
古い書物のインクの香りを漂わせ。
彼は今日も、不幸で妖艶な物語を読みほどいていく。
「ふふ……次に僕の元へ迷い込むお嬢さんは、どなたでしょうか」
心を暴くことは、その心を、身を、解放させること。
欲望を導き出し、その気持ちのままに進む、その快楽。
悦楽の先の先にある、己の強い魂が行き着く先は……。
「ああ、そうだ。心に闇を持つ『あなた』かもしれませんね――」
more...大家将 感応時間8~死者の書、あるいは胡狼の天秤~ 标注为
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