物心がついた頃、 兄は一人の少女に恋をした。
早坂とわ子。
年の離れた彼女は、 いつも優しく、尊かった。
物心がついた時、 妹の目には、恋をする兄の姿が映っていた。
妹は、そんな兄を見て育った。
私立 碧泉学園に通う2年生、 葛生理久は、
今日も今日とて、初恋の相手である 早坂とわ子にプロポーズしていた。
『結婚して、とわ子を必ず幸せにする』
それが彼の、幼い頃からの目標であり、 生きがいだったからだ。
一方、妹の卯依は、同じ学園に通う1年生。
何事も要領がよく、 しっかり者の優等生で、
彼女にとって、とわ子は憧れの存在だった。
家族として、兄のだらしない一面も知っている卯依は、
「とわ子さんの相手に、お兄ちゃんは相応しくない」
と、冷たく接する日々。
兄は兄で、
「ほんと、お前はかわいくねえなあ」
そう言って、そっぽを向く。
これは、そんな背中合わせの二人が紡ぐ、
ある兄と妹の物語――
more...大家将 なぜ、うちの妹はかわいくないのか? 标注为