現代。日本。
　普通に生きている者には見えないが、少し道を外れれば人ならざる力が満ちている世界。
　圧倒的少数派であれ、確かに異能者が影に存在する社会。
　空気中と自らの体に流れる魔力を駆使して、魔術を使う魔術師。
　詠唱を行わずにある固定の現象のみを起こさせる、超能力者。
　己の肉体のみを駆使して、異能者たちと闘う者も存在する。

　世界中の企業を牛耳る、軌条グループが秘密裏に主催する格闘大会“サクリファイス”は、そんな異能者たちを集めたものである。
　軌条グループの頭首にして、希代の魔術師と噂される、“軌条聖紅”という人物が主な企画者。

   日本中に潜んでいる、魔術師や超能力者や戦士――その他多数の強者が集う。
　賞金総額は一億。対象年齢は二十五歳以下。武器・能力・性別は問わない。
　ただし参加者が多く、日本各所で行われている予選を勝ち抜いていかなければならない。
　その場所はアトランダムに選ばれる。参加者の人数に合った回数の予選が行われ、順次準決勝、決勝へと進んでいく。
　相手の胸元にある“ペンダント”を奪い取ることが目的であるが、その方法に手段は問わない。
　ルール無用の殺し合い。
　時間制限はなく、予選も決勝戦も、最後の一人になるまでが試合である。

　本編は、その決勝戦に辿りついた者たちの闘いの行方となる。
　舞台は廃校となった学校。

　ここでどのような物語が紡がれ、誰が勝ち抜くのか。
　そしてその先に何があるのか。

　廃校は月に照らされている。
　やがて、静寂に亀裂が走る。