近年、音楽を聴きながら若者が突然発狂死するという怪死事件が多数発生し、社会問題になっていた。
患者はいずれも脳に異常をきたしていたことは分かったが、現代の医療では原因を特定するまでに至らなかった。
事態を重く見た政府は、各部門から選りすぐりの人材を集めた研究機関を発足。
研究の末「曲の不可聴音域に混入された雑音」が、ヒトの脳を蝕む原因であることが判明した。
機関は、ヒトを死に至らしめるこの雑音を「殺音(ノイズ)」と呼称。
以降、機関は「Noise Reduction(ノイズリダクション)」と名を変え殺音を音楽から除去するために様々な研究が成されていった。
そしてついに、歌で殺音を浄化することが可能な「対殺音用浄歌生体アンドロイド“U-Ta-Hi-Me(ウタヒメ)”」が完成、その運用が開始された。
人々の平穏な音楽生活を取り戻すため、「U-Ta-Hi-Me」は今日も歌い続ける──。
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