法曹の道を志す者たちが学ぶ、法科大学院=別名・ロースクール。そのゴールにある司法試験は国家試験の最難関といわれていて、そもそも受験資格自体、ロースク―ルを卒業するか、予備試験に合格するかでないと得られず、法律の知識を有する受験資格を得た者であっても合格率はわずか 20~40%に過ぎない。名門・法都大学のロースクールに通う“セイギ”こと久我清義もまた、平均勉強時間 5000 時間の法律漬けの毎日を送っていた。
そんなある日、セイギの過去を暴くビラがばら撒かれる。それは当時 16 歳の彼が、殺人未遂の疑いで逮捕されていたというもの。児童養護施設の出身だったセイギは、共に施設で育った 織本美鈴を守るために、施設長を刺していたのだ。その美鈴もセイギと行動を共にしてロース クールの同級生となっていたが、彼女もまた何者かから嫌がらせを受けていた。犯人探しに動 き出したセイギは、生徒たちの間で繰り広げられている裁判ゲーム“無辜ゲーム”の主宰者・結城 馨も脅迫を受けていたと知る。
司法試験合格後、弁護士となっていたセイギは、久しぶりに無辜ゲームを開くという馨に呼 び出されて、その会場を訪れる。そこにいたのは馨と美鈴だけだったが、馨が血を流して息絶 えているのに対して、美鈴はナイフを手にし返り血を浴びて放心していた。「お願い、清義。私 を弁護して」。無罪を主張する美鈴は証拠となる SD カードをセイギに託しながらも、一切の供 述を拒み、黙秘を貫く。一方、セイギは、馨の足跡を追う中で、彼の亡き父親とかつて相対して いたことを知る。殺人未遂だけではない、セイギと美鈴の隠された過去。そして、馨、セイギと 美鈴の秘められた因縁。
それに気づいたセイギは、美鈴の第一回公判で法曹関係者もマスコミも驚かされる意外な弁 護に打って出る。接見の際に美鈴が口にしていた、「これは、結城くんが仕掛けた最後のゲーム。 ゲームのプレイヤーは貴方なの」の言葉。SD カードに収められたデータが公開されて、事件の 様子が明らかとなるが、そこでセイギはさらなる驚愕の事実にたどり着く。二転三転する真実。 四転五転する真相。ゲームさながらに次々と局面が変化し、勝者とジョーカーが入れ替わって いく中、セイギは己のすべてを懸けて究極の選択を取る。
セイギの悔い、美鈴の狙い、馨の想い、そして無辜=罪のないことを意味する言葉を冠した 裁判ゲームが意味していたもの。果たして本当に罪を犯したのは誰で、本当の罰を受けるべき なのは誰なのか。3 人がこのゲーム=法廷に見出した答えとは何なのか。ついに訪れた判決宣告 期日。セイギはある確信と不信を持って、裁判長の判決を耳にする。
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