ブローカーの塚本が多摩川園のお化け屋敷へ呼び出され、突如現れた人影に銃剣で刺殺されるという殺人事件が発生する。事件を追う新聞記者・桐岡は現場に残されたクライオトロンを発見し、学生時代の同窓生である小林警部から塚本が密輸に関わっていたことを知らされる。桐岡と小林は、塚本とつながりのあるキャバレー経営者・隆昌元を張り込む。しかし、隆は発光する不気味な怪人によって刺殺され、警官隊の追跡もむなしく怪人が逃げ込んだ倉庫は火災で焼失する。倉庫内に怪人の死体はなく、冷却装置と放電装置を組み合わせたような謎の残骸だけが残されていた。
小林は隆の殺害現場に居合わせ、塚本や隆と同様に従軍時代の認識票を郵送された滝と大西を追求し、大西の元部下である須藤兵長の存在を知る。14年前、大西、隆、塚本、滝は敗戦の混乱に乗じて軍資金の金塊の横領を目論み、それを阻止しようとした須藤と陸軍技術研究所の仁木博士を金塊もろとも洞窟へ生き埋めにしていた[注釈 3]が、そこからは金塊はおろか須藤と仁木の死体も見つからなかったという。仁木が人間を電送する装置を開発していたことや、物体電送機に必要な冷却装置が軽井沢の小谷牧場へ発送されたことを知った桐岡は、牧場経営者の中本が須藤ではないかと推理する。しかし、桐岡の権限では決定的な証拠をつかめず、滝は予告通り物体電送機を使った犯行により、警官隊の眼前で殺害されてしまう。
捜査本部は小谷牧場への一斉摘発を行い、仁木と物体電送機を発見するが、やはり中本を偽っていた須藤は逃走する。一方、最後の標的となった大西は愛知県知多半島の小篠島の別荘へ身を隠していたが、島内には物体電送機が運び込まれていた。小谷牧場内に潜伏していた須藤は、殺人に反対する仁木の首を絞めて昏倒させ、物体電送機を使って小篠島へ向かう。須藤は大西を殺害して復讐を完遂し、またしても物体電送機で逃亡を図る。だが、浅間山の噴火によって電波が乱れ、まだ息のあった仁木が物体電送機を停止したため、須藤は苦悶しながら消滅する。小谷牧場も浅間山の噴火によって崩壊し、物体電送機の秘密は闇に葬られたのだった。
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