1人の女子高生が自宅の中庭で倒れているのが発見されます。自殺のようですが、警察は自殺と事件の両方で捜査を進めており、真相は不明です。母は言葉を詰まらせます。「愛能(あた)う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」。事件はなぜ起きたのでしょうか?
11年前の台風の日、ある家族の幸福が奪い去られる出来事がありました。それからの普通に見える日々に、静かに刻み込まれていく傷跡。愛せない母と、愛されたい娘。愛しているつもりの母と、愛してもらえない自分が嫌いな娘……。
そして、母の手記と娘の回想が交錯していきます。同じ出来事のはずなのに、このふたつには大きな食い違いと秘密がありました。やがて浮かび上がる真相とは……?
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