幼いころに父を亡くし、昨年母も亡くした『水無川 慎平』は現在一人暮らしの高校２年生である。孤独な生活を送る彼にとって学校で友人たちと過ごす時間だけが唯一の心の休まるときであった。
そんなある金曜日、学校に一つの噂が流れた。『世界の終わり』である。初めは誰も本気にしてはいなかったが、放課後、クラブ活動も終わり、帰宅する時間になると全ては世界の終わりに向けて動き出していた。『終末委員会』の指揮の下、全校生徒は明日の世界の終わりのために学校に残り準備を始めた。

わけの分からないまま流れに取り込まれながら、慎平も学校に残る。その夜、寝付けないままに校内を歩く慎平の前に現れたのは一人の少女だった。

「世界が終わるのはあたしのせいなの」

彼女は目を伏せながら告解した。彼女が世界が終わってほしいと願ったから世界が終わってしまうのだそうだ。時間が止まり、一瞬の静寂の中に世界が閉じ込められてしまう。それが世界の終わりだ。なぜ世界の終わりを願うのか問うても罪の意識に震える彼女は答えない。ただ、一言を返すのみだった。

「あなたは世界が終わってほしいとは思わないの」

一夜明けた朝、慎平は行動に出た。罪の意識に震えながらも世界の終わりを願う彼女の心を救ってやりたい。そして世界の終わり、それ自体も止めなければならない。すべての鍵を握るのは、『終末委員会』、『彼女の心』、そして『慎平自身の心』であった。