これから話すことはすべてウソだが、このCDには誕生秘話がある。 年の瀬恒例、絶頂時の喘ぎ声を競い合う紅ファック歌合戦。 大晦日の宵、青藍島のSHKホールには今年も熱い喘(うた)が響き渡っていた。 もちろんオレも白組の一員として合戦に臨んでいた。 やるからにはもちろん本気だ。 手では抜いても手は抜かない。代々続く家訓だった。 昨年はメスがき隊の「PAI・PAI 19」に敗北を喫したが、この一年でオレもずいぶんオトナになった。 オトナがガキに負けるわけがないので、来年は紅ファック歌合戦ではなく白組の名を冠した蛋白歌合戦となることだろう。 いよいよ出番が回ってきた。 オレは合戦の場へと向かうべく勃起ち上がる。 出場直前、メスがき隊から嘲笑混じりの煽り言葉が飛んでくる。 「今年も楽しみにしてるね〜? ワンちゃんの無様なおうた」 オレはカチンと来た。もちろん頭ではなく股間に来たのだ。 悟られまいと引け腰の前屈みになったところ、足が疎かになってバランスを崩した。 オレは無様に転倒する――メスがき隊の一人を巻き込んで。 顔を上げると、どういうことか目の前にオレ自身の姿があった。 そう、まるで鏡みたいにだ。 そして自分の体を見ると胸部に謎めく膨らみがあり、股にあるべき愛棒が忽然と消え失せていた。 そう、まるでメスガキみたいにだ。 そこでオレたちは同時に気づいた。 「オレたち」 「もしかして――」 「「入れ替わってる!?」」 その体のまま、互いの曲を全力で喘った。 紅組の体と白組の魂が混じった喘が生み出したのは、ピンク色の嬌声だった。 そして生まれたのが、このシャッフルボーカルCDってわけさ。
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