女将の桑野厚子(岡江久美子)が切り盛りする鎌倉の宿「くわの」は、人目につきにくい場所柄からか、「密会の宿」と呼ばれている。そんなある日、「くわの」の番頭・久保隆(東幹久)が、物陰から宿にカメラを向けている不審な男(島田洋八)の存在に気づく。急いでその後を追いかけた隆は男と口論になるが、通りかかった警官が仲裁に入ったことで、男はそのまま逃げてしまう。
ところが翌日、その男が遺体で発見される。崖から転落したものと見られたが、頭部には転落した際にできたものとは別の傷があり、北鎌倉警察署の刑事・番場(西岡德馬)たちは他殺ではないかと推測する。
その頃「くわの」では、厚子が時々華道を習うなど懇意にしている客・明石智子(手塚理美)と恋人の高木信也(金子昇)が、出会って一周年の記念日を祝っていた。智子は実業家だった夫を亡くして以来、金銭的には何不自由ない生活を送っていたが、心に空いた穴を埋めてくれたのが高木だったという。厚子は心を尽くしたもてなしで2人を祝い、高木は智子にプロポーズ。厚子が見守る前で2人は婚約を果たす。しかし、高木が智子の誕生石であるアメジストをあしらったネックレスを贈ると、智子の表情に一瞬戸惑いが浮かんだことに厚子は気づく。
その直後、不倫のおとり調査のために「くわの」に来ていた探偵事務所の調査員・友坂真理子(小沢真珠)は、偶然、叔母である智子と遭遇。智子が高木と婚約したことを知ると驚きの表情を浮かべる。さらに、「くわの」にやって来た番場たちの話を聞いた真理子は、遺体の男は自分の探偵事務所の所長・川原ではないかと言い出す。
その後、遺体の身元は川原であることが特定され、川原が調査のために盗撮や盗聴まで行っていたことも明らかとなった。その手法のために調査対象から相当な恨みを買っていたようで、川原の自宅周辺には川原と真理子を中傷するビラが撒かれていたことが判明する。番場たちは、川原の自宅から、番号が振られた盗撮テープや盗聴カセットを押収するが、なぜか19番と23番だけが無いことに気づく…。
一方厚子は、智子から、川原殺害の犯人は真理子なのではないかと打ち明けられる。真理子から以前、川原につきまとわれていると相談を受けていたというのだ。しかし、その直後、その真理子が何者かに襲われてしまい…。
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