この世界のどこかにお姫様がいる。
証拠も根拠も確証もないけど、確かにそれは自分だけが知る世界の秘密だった。
お姫様を救い出すために、とにかく遠くを目指す!
と思っているのだけど……。
「英ちゃん、明日の夕飯は刺身で良いかな?」
「いや、それだけは勘弁して下さい」
「それは英ちゃんの態度次第かな♪」
月から来た侵略者ゆずとの、平和で甘い日常に流されて、
昨日も今日もだらだら雑談ばかり。
でも困ったことに、それはとても楽しい時間だった。
地球の命運よりも侵略者の機嫌が気になる元勇者(自称)と侵略よりも勇者様の献立に悩む侵略者(自称)。
ゆずの蜂蜜漬けみたいに甘くて少し不思議な日常が今日もやってくる――
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