インテリアの輸入会社社長の榊は、不動産会社が手がけるマンションの、モデルルームのプレゼンの打ち上げ会場で、ある青年と出会った。
岡田一樹――今回の物件を担当するという企画部の営業マン。
柔らかな印象、趣味のいいシャツ、きれいな指……そして、恋人はなし。
榊の意識は、自然と岡田へ……。
男同士の恋愛で本気になってもいいことなんて何もない――
そう割り切って生きてきた榊だったが……。
店を変え、二人で飲んだあくる日、榊が目を覚ましたのは、岡田の部屋だった。
記憶を失くすほど飲んだ榊を、岡田が自分の部屋へ連れ帰ったのだ。
起き抜け早々身だしなみを気遣う榊に対し、岡田が発した何気ない一言、
「オカマっぽいね」。
その言葉は、二人の間の相容れない恋愛の壁の存在と、榊の学生時代の切ない恋を思い出させた――。そう、この恋も叶わない――。
仕事を通じて近づいていく二人の距離。
“友情”で片づけられない榊はノンケの岡田の無自覚な言葉に、そして行動に翻弄される。
榊の心の中に吹き荒れる嵐。
その嵐が通り過ぎるのをひたすら待とうとする榊は、岡田と距離を置く。
それでも募る岡田への想い――。
そして、岡田の心にも嵐が来ようとしていた……!
『世界が変わることが怖かった――』
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