かぐや姫は月へ帰れなかった。
帝に幽閉されたかぐや姫は、やがて屋敷の火事で死んでしまう。
――愛しい貴方、千二百年の後、月光の下でお会いしましょう――
ただその言葉だけを、歌うように言い残して…。
千二百年の月日が流れた。天皇の血筋を受け継ぐ大徳寺家の敷地内の竹林で一人の少年が発見される。
幻想的なまでに美しい少年で、彼は「翔」という名前以外の一切の記憶を失っていた。
大徳寺家に引き取られた翔に、千二百年を行き続けた月人(つきびと)は言った。
「貴方はかぐや姫の生まれ変わりである」と。
翔に引き寄せられるかのように、屋敷に数人の男達が現れる。
彼らは当時かぐや姫に求婚した公達の生まれ変わり。
まるでこの世のものではないような翔の美しさに彼らは次第に囚われていく。
かぐや姫の愛した男とは一体誰なのか?
千二百年前のかぐや姫の死の真相は?
そして、翔の運命の行方は…?
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