6年制の学園に通う主人公・浅河 翔太 (あさかわ しょうた)は、特技らしい特技もなく、趣味らしい趣味もない平凡な学生だった。
だが、いつの頃からか他人と異なる性癖――凌辱願望を持つようになってしまう。
とはいえ、その欲求は理性によって抑えられる程度のもので、日々の生活になんら支障はなかった。
そして5年生の秋、何事もなく淡白だった日常に変化が起こり始める。
両親の離婚がキッカケで、二人暮しをしている真藤姉妹の家に居候したり、絶縁状態だった幼なじみと数年ぶりに言葉を交わしたり、クラスで人気の女の子と親しくなったり、そんなありえない出来事が続くと、さらに信じられないことが起こった。
「――おまえの、おまえだけの世界を与えてやろう」
どこからともなく聞こえてきた囁きと共に―――時間が止まった。
羽ばたく鳥たちは空に縫い付けられ、流れる水は一瞬で固体と化した。
翔太を除くすべてのモノが活動を停止していた。
それはあまりにも異質で異常な光景だったが、数分後には何もなかったかのように、停止した時間は再び時を刻み始めた。
「この力は、石のように固まっているヒトの身体を元の状態に戻せるのか」
しかも自分が望む相手だけを――
その時、理性で抑えていたはずの凌辱願望が、静かに湧き上がってきたのだった。
more...