早朝のハンバーガーショップにて。
金髪店員に向かって語りかける江藤良香(ヨシカ/松岡茉優)、24歳。趣味は絶滅した動物をネットで調べること。購入したアンモナイトの化石を愛でる毎日。
「本能のままにイチと結婚しても絶対幸せになれない。結婚式当日もイチが心変わりしないようにって、野蛮に監視役続けてなくちゃならない、そんなんで幸せなんて味わえるかよ。その点ニならまるでひと事みたいにお式堪能できちゃう。ドレスのままチャペルから何だか知らんが丘駆け下りてわがままにニのこと放ったらかして、波と戯れたりデコルテあらわなドレスで肩上下させてハーハーしたりして花嫁タイムをエンジョイできちゃう」
同級生からマスコット扱いされ、いじられているのを教室の片隅から見つめることしかできなかった相手。好きだから見たい、見たいけど気づかれちゃダメという屈折した感情から、視野の端でイチを見る”視野見”という攻略法を編み出し、イチをモチーフに漫画を描くほど恋心はこじれていた。10年前の運動会で言われた一言が、今も胸に残っている。「こっち見て、俺を見て」
経理と営業として出会い、同期会という名の飲み会で連絡先を交換した。正確には少々強引に交換させられた。テクノの流れるクラブでのデートの後、酔っ払ったニから「俺と付き合ってください」と本気の告白をされる。「人生初、告られた!」とテンションが急上昇するも、正直タイプではない。
ある夜、電気ストーブが布団に引火するというボヤ騒ぎを起こし、死ぬ前にせめてもう一度イチに会いたいと覚悟が固まる。「一目でいいから、今のイチに会って前のめりに死んでいこうと思ったんです」そこからヨシカは、アメリカに転校した同級生の名を騙って同窓会を計画。ニとのデートも上の空。そして、ついに待ちに待ったイチとの再会の日が訪れるが、会話に全然入っていけないヨシカ。イチを含む上京組のグループになんとか加わり、ニが使った強引すぎる方法で無理やり連絡先を交換、東京で再び会う約束をとりつける。
2度目の再会。夜明けのベランダでアンモナイトの生態で盛り上がるヨシカとイチ。「あの頃に君と友達になりたかったな」しかし、次にイチの口から発せられたのは、衝撃の一言だった・・・
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