――真っ暗な実験室の中、柴景斗は恐怖に震えていた。
部屋の外から聞こえてくるのは、爆発音や大勢の悲鳴。
凶暴化した被験体が、施設内で暴れているせいだ。
「次は、俺の番だ……」
やがて訪れる最期の時を、怯えながら待っている景斗。
五年前、日本政府が行った実験「RUNLIMIT」の被験体となった景斗は、
実験失敗の代償として、その身体に致命的な欠陥を負ってしまっていた。
夜になると、実験が与えた右脳・左脳への影響で理性を喪失し、
凶暴化する体質へと成り果ててしまったのだ。
17歳の彼に残されたタイムリミットは、あと僅か……。
そんなある日、景斗は新しい監察官を紹介される。
現れたのは、彼が昔から恋心を抱いていた、幼馴染の少女。
再会に驚く景斗だが、彼女の脳内には過去の記憶が残っていない。
監察官と被験体という、新たな関係性で関わりはじめた二人。
空気を操ることができる「ルフト」という特殊な体質の景斗は、
施設側から、貴重な被験体として扱われていることが判明し……?
この再会によって、実験の裏に隠された悲しき愛の物語が、ふたたび動きはじめる――
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