――片桐連は収容施設の実験室で気絶状態から意識を取り戻す。
手元のバングルからは無機質な機械音声が、彼に残された“命のタイムリミット”を告げた。
頭に鋭い痛みが走り、全身がひどく気怠い。
「また昨日も暴走したのか……俺」
連は実験室の中で、小さく呟いた。
五年前、日本政府が行った実験「RUNLIMIT」の被験体となった連は、
実験失敗の代償として、その身体に致命的な欠陥を負ってしまっていた。
夜になると、実験が与えた右脳・左脳への影響で理性を喪失し、
凶暴化する体質へと成り果ててしまったのだ。
さらに被験体の寿命は平均20歳までとされており、
18歳の彼に残されたタイムリミットは、あと僅か……。
そんなある日、連は自分に新たな監察官がつくと告げられる。
対面するなり驚きを隠せない連。
そこに現れたのは彼が長年想い続けてきた、幼馴染の少女だったからだ。
しかし、彼女の中に連と過ごした日々の記憶は無い。
勿論、連が彼女の身代わりとなって被験体になったという事実も……。
「RUNLIMIT」の副作用に抵抗しうる新薬を手にし、
「被験体である貴方達を救う為にやってきた」と話す彼女を
連はなぜか冷たい態度で突き放すが……。
この再会によって、実験の裏に隠された悲しき愛の物語が、ふたたび動きはじめる――
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