12才の頃、私はその本で「科学」という言葉をはじめて知った。
「科学」的な考え方によれば、森も、街も、世界のすべては
「見えないルール」に従ってできているらしい。
オレンジの実が陽に染まるルール
馬車の車輪が石畳を転がるルール
雨粒がはるか天空から落ちてくるルール
じゃあ、私たちの頭上のラピュータは、
どうやって空に浮かんでいるのだろう?
ラガードの大人たちは誰も何とも思わないようだったけれど、
私と弟のレミュエルだけは、
そのことを少しだけギモンに思ってしまった。
そして私たち姉弟は、毎年少しずつスウィフトの書を解読し、
ついに手づくりの「翔船」を完成させた。
稀鉱石アダマントと磁石の反応によって宙を浮き、空を駆ける船。
自分たちの小さなQUESTION(ギモン)から生まれたその船を、
私たち姉弟はこう名づけた。
エアシップQ
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