NEWSの加藤シゲアキさんの処女作であり、ベストセラー小説でもある『ピンクとグレー』を読んだ時に、その圧倒的な描写力と、物語の展開の面白さに本当に感動しました。その後、立て続けにヒット作を連発し、今年2015年、初めて短編小説集として発表されたのが『傘をもたない蟻たちは』です。恋愛物からSFまで多様なジャンルの物語が散りばめられた秀逸な短編となっており、あらためて加藤シゲアキさんの小説家としての力量とその内容に感動させられるとともに、是非ドラマ化してみたいと思いました。
当初は、“オムニバスドラマ”として成立させることを思案していたのですが、何回も読み返すうちに、この短編を“連続ドラマ”としてアレンジメントしてみたいという強烈な思いにかき立てられました。どの物語にも“若者たちが抱えている苦悩”が通底しているとともに、短編全体をパッケージできる構造の物語があったことが、大きなチャレンジではありましたが、何としても“連続ドラマ”として成立させたいという強い思いにつながっていった訳です。脚本担当の小川真さんとディスカッションを何度も繰り返し、ようやくでき上がったプロットは、原作者の加藤シゲアキさんの強い後押しもあって、ついに“連続ドラマ”としての脚本が完成しました。
主演は桐山漣さん。売れないSF作家という役どころで、彼の“妄想”や“回想”が短編集の中の物語や要素となっています。原作者である加藤シゲアキさんにも出演していただきます。原作者が主要なキャストを演じるというのは大変珍しいことだと思います。演出は『オリエント急行殺人事件』など、数々のヒットドラマを手掛けてきた河野圭太が担当します。
連ドラ『傘をもたない蟻たちは』は、原作の肝の要素を散りばめて4話の連続ドラマとして構築したものですが、ちょっとファンタジックで、笑いも涙も、そして切なさもある欲張りなエンターテインメントドラマになると確信しています。皆さまどうぞ、ご期待ください。
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