舞台は東京の臨海副都心に在る虹街という、30年前に「日本にマフィアを組織する」と夢想した男が造ったとされる街。
貴島愁(主人公)は、両親を殺害された五月女樹里、里奈の姉妹、捨て子の真理亜と同じ孤児院で育った。その後、火事で孤児院を焼失し 家を失った愁は、里奈を引き取ることにした。
ある日、五月女姉妹を引き取った神父夫婦が病気で相次いで他界し、心臓を患っていた里奈の病状が悪化。里奈に手術を受けさせるためにお金が必要になった。愁が仕事先の興信所の所長である小鳥に相談すると、彼はある条件を提示した。
「虹街にある“Black Market”にその身を捧げれば考えてもいいですよ」
愁は熟考することなくこの条件を飲み、自由を奪われたマーケットのスイーパーとなる・・・。
里奈の手術は無事成功。そして、愁は自分がスイーパーとなった事を誰にも明かさなかった。
スイーパーの仕事は―― 客の行為の監視、客を満足させる為のフォロー。商品(人間)の管理、処分が主な仕事。――言うなれば、マーケット内の便利屋。
処分の仕方は、そのときどきによって異なる。まだ商品価値のある人間は、他の市場へ売り飛ばされ、無くなった人間は、東京湾に沈められるか、精肉場でミンチにされる。
空が闇に包まれると彼の仕事は始まり、夜が明ける頃に終わる。 街の地下給水場跡を利用したマーケットのスイーパーとなった愁の 「現実」は、底の見えない欲望と死屍累々に彩られ、それらが吐き出した液体の放つ、鈍い光の中に包まれていく。
彼はその光を見つめるうち、幸福の在処を捜す力を失くしていった・・・。
more...大家将 BM0 残酷な夜に彼女の叫びは誰にも聞こえない。 标注为