すべてに絶望した麻生綜司は、路上でその短い命を終えようとしていた。そんな彼に、優しく手を差し伸べてくる女性が居た。彼女の名前は、久遠寺華澄。頑なに心を閉ざしていた綜司だったが、華澄の純粋な優しさのおかげで、生きる気力を取り戻していく。だが、綜司には人にはいえない過去があり、それが事あるごとに「夢」となって彼を苦しめる。拾われた久遠寺家には、華澄の母久遠寺瑠璃と、同居人の千秋純が暮らしていた。

綜司の躰（からだ）に興味を持ちはじめる瑠璃。それは綜司にとっては「よくあること」でしかなく、彼女に求められるまま、なんの疑問も持たずに彼はセックスをした。その瑠璃の計らいで誠清校に通うことになる。誠清校では、優しい担任真咲亮や、天文部の天宮下一葉、桜樹由衣、剣道部の森野みちる、富士伊織たちと出会う。彼女たちとの平穏な日々に、綜司は次第に人間らしさを取り戻していく。しかし、それは永遠のものではなかった。

綜司が久遠寺家で暮らすようになって半年たったある日、誠清校に転校して来た甲斐谷百合花が、綜司の平穏な日々に終わりを告げる。 百合花は、溢れる憎悪を綜司にぶつけてくる。百合花の登場で、追いつめられていく綜司。 そんな綜司を救ったのは、またも華澄だった。華澄に癒された綜司は自分の過去を語りだす。

すべては、二年前に両親が交通事故で亡くなったことから始まっていた……。