近代的な街の片隅、丘になっている高台に、
そこだけ時の流れに取り残されたような佇まいの、
古い洋館じみた建物があった。
もう何年も閉ざされたままのそこは、
“クローバー図書館”という名の私設図書館。
幼い頃から本が好きで、いつかは本に携わる仕事がしたいと
思っていた主人公・相川千紘はこの“クローバー図書館”で
住み込みの管理人で働くことになる。
そこだけ古い写真のような趣の図書館では、
その見た目以上に不思議で不可解な出来事が次々と起こる。
開館前の誰もいない筈の図書館で感じる視線、
いつの間にか動いている本、ふと窓から覗く大きな大きな影。
そして、夜になると何処からともなく現れる
“昔からの常連”を名乗る者たち。
個性豊かな彼らに囲まれて図書館の開館準備を進める主人公は、
立て続けに起こる不可思議な出来事と、どこか不自然な常連たちの
対応に彼らが本当は何者なのかという疑問と混乱を抑えることが出来なくなる。
ぶつけた質問に返された、彼らの答え。
「すみません。黙っていたけれど、私たちは人間ではありません」
「私たちは、実態は本なんです」
昼は通常の本、そして夜は人の姿をとる図書館の住人達。
一樹・柊・葵・棗・莉玖・樒との、ちょっと不思議で、
ちょっとあやしい“クローバー図書館”での生活がはじまる。
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