地球最後の日をテーマに描かれた、手塚治虫の初期SFを代表する長編マンガです。
たびかさなる核実験の影響で、人類の知らないところでひそかに新人類フウムーンが誕生していました。
山田野博士は、その危険を世界中に警告しますが、誰も耳をかさず、とうとうスター国とウラン連邦が戦争を始めてしまいます。
ところが、ちょうどそのころ、地球には恐ろしい暗黒ガス雲が迫っていたのです。
すでにそれを知っていたフウムーンは、5万種類の動物と500人のおとなしい人間だけを円盤群に乗せて地球を去ってしまいます。
暗黒ガス雲はさらに地球に接近し、とうとう地球最後の日が迫ってくるのでした。
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1951/01/10,1951/02/10 単行本([前編]、後編[宇宙大暗黒篇]) 不二書房
手塚治虫が大阪の出版社で描いた最後の描き下ろし単行本で、『ロスト・ワールド』(1948)、『メトロポリス』(1949)に続く、初期SF3部作の完結編です。
日本、スター国、ウラン連邦を舞台に、探偵のヒゲオヤジ、その甥のケン一、少年新聞記者のロックなど、20人以上にもおよぶスター・キャラクターがそれぞれに重要な役割をうけもつ群集劇で、これは当時のマンガとしては画期的な試みでした。
最初は700ページもあった原稿(1000ページとも言われています)を、単行本化の際に長すぎると言われて泣く泣く300ページに縮めたという話は、ファンの間ではよく知られている逸話です。
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