独特の作風を持ち味とする作者の5編の作品が収録された「奇想ホラー」短編集。「円盤」は宇宙空間に巨大な円盤が現れて地球が迎える危機に、その円盤に同じく円盤(レコード)を操るディスクジョッキーが挑む物語。「プラスマイナスゼロ」は、デベソを気にする水着モデルが登場。ヘソを隠そうと押し込むが、その代わりに身体のさまざまな部分が飛び出てしまう。「宝毛と黒子毛」では、隣人の子どもが人の形をした毛の塊であり、主人公はその複雑な人間関係を覗き見ながら隣家に心を引かれていく。突飛なアイディアとそれを勢いで読ませてしまう構成はコメディとも捉えられるが、同時に、読み手の感覚を突如常識から引き離すホラーとしても高い完成度を持つ。
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