学生である"一ノ瀬 悠"は、ある特殊な体質の持ち主である。
「――触れた相手に、自分の感情が流れてしまう」
この体質のせいで、悠はなるべく人と関わらないよう、体質を周囲に隠しながら生活していた。
しかし、一人の転校生によって、運命の歯車が回りだす。
隣の席になった彼女が、悠の周囲を徐々に変えていく。
そして、彼女の付き添いでついていった、海が見える病院。
そこで悠は、入院患者である1人の少女と出逢う。
「――もう治らない病気なの」
生きたいと願いながら死ぬ彼女と、生きる意味を見出せない主人公。
2人の出逢いから、物語は始まる。
季節は初夏。
始まりはまだ、夏の始まりを告げる風が吹き始めた頃だった。
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