老中・松平定信(杉本哲太)により、厳しい倹約令が発布された江戸。その過酷さに耐えかね、不平を言うものも少なくない中、巷では辻斬りが続発していた。
そんな中、徳川家の直参旗本・日向半兵衛(水谷豊)は、江戸城を警護するという役目を生真面目に勤める日々。しかし、太平の世にあっては高名な一刀流の道場で目録を受けた腕をふるう機会すらない。さらに、周囲には姑息な手段で出世争いに明け暮れる同僚たち…。半兵衛はそんな日常から逃れ、そろそろ隠居をと考えていた。
とはいえ、病で妻を亡くした半兵衛に跡取りはなく、隠居すれば日向家は絶家となる。幼少時から半兵衛に仕える用人の勝谷彦之助(岸部一徳)も、ことあるごとに「新しい奥様を」と進言するが、当の半兵衛にはまったくその気がない。勝谷は以前半兵衛と見合いをした奈津(檀れい)との結婚を勧め、女手が足りぬから、と奈津を半兵衛の家へと呼び寄せる。嬉々としてやってくる奈津に対して、辻斬りを心配する半兵衛は「もう来なくていい」と帰そうとするが、なんと奈津は「住み込みでお世話を」と言い、これには半兵衛も返す言葉を失ってしまい…。
そんなある日、江戸城での勤めを終えて帰ろうとしていた半兵衛が辻斬りに襲われた。一刀流の腕でなんとか追い払った半兵衛だが、かなり腕の立つ男。ただ、不思議なことに辻斬りからは白檀の匂いがした…。
勝谷と奈津に手を焼きながら、半兵衛は次第に辻斬り事件の闇へと足を踏み入れていくことになる…。
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