第一話----- 収穫の十二月
豪雪地帯で有名な町、多紙町。
その町に神がおり、住民は神の存在を当然のように受け止めている場所だった。
両親の仕事の都合で多紙町に引っ越してきた日、紺野柾木は多紙町の神しろに夫婦になるよう告白される。
勢いに飲まれた柾木はしろの願いを受け入れてしまう。
その次の日、転校の手続きに学校に向かったとき、多紙町で権力を振るう十和田家の令嬢、雪は柾木に一目惚れをしてその場で告白。
柾木はまた受け入れてしまう。
こうして神と人、二人の少女に挟まれた、奇妙な三角関係が始まった。
友人たちにも囲まれ、にぎやかな日々を過ごしてゆく。
多紙町での暮らしにも慣れたある日、雪は一つの提案をする。
「君とのややこ(赤ん坊)がほしい」
この一言が柾木たちの日々を大きく変えてゆく。
第二話----- 境域の一月
< 年が明けてから数日後、柾木と遠山瑞穂は多紙町と隣町の酒島町の境にある酒島神社へ、初詣に出かけた。
そこで酒島町の土地神、まどいと出会う。
自分の住まう土地の外に出てはならない、そんな土地神のルールを破ってまで、まどいは多紙町にやってきた。
探し物がある、そう言って泣いてしまうまどいの姿に、瑞穂は協力を申し出る。
瑞穂は柾木を巻きこんで遠山瑞穂探検隊を結成、まどいと一緒に調査を開始した。
調査が進んでゆくとき、まどいは倒れてしまう。
第三話----- 贈与の二月
特別な十二月から二ヶ月、森野早苗は遠山耕平への想いを打ち明けられずにいた。
早苗は紺野柾木に相談を持ちかける。柾木はバレンタインデーに告白するよう説得する。
告白のタイミングを狙うために、早苗は柾木と行動するようになる。
耕平に思いを寄せる少女は早苗だけではなかった。
上杉もより、田上桜もまた早苗と同じくバレンタインデーに告白を狙っていた。
早苗はライバルの登場にとまどう中、柾木は早苗のために作戦を考える。
第四話----- 恋々の三月
アルバイトに精を出していた柾木は、雪の母である十和田真白からアルバイトの提案をされる。
条件の良さに引き受けたアルバイトは、ベビーシッターだった。
しかも、母親役として雪をパートナーにしなければならないことに、柾木は頭を痛める。
柾木と一緒に赤ん坊の恋(れん)の世話ができることに張り切る雪に対して、柾木は機械的に恋の面倒を見る。
冷たい態度を取る柾木と、愛情を注ごうとして失敗する雪との間ですれ違いが起こり、対立してゆく。
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