“心”に似た機能を持つロボットたちが、近未来の地球各地で織りなすさまざまな寓話からなるオムニバス集。持ち主に飽きられたロボットの女の子が、愛された記憶を頼りに“お母さん”を捜す「ペットロボ」、人間の遺言で自由を手に入れた介護ロボの苦悩を描く「介護ロボ広沢さん」、思い出を託された執事ロボが、主人との約束を果たすために選んだ道を追う「リックの思い出」など、人間のために働くロボットたちを軸に、物語は展開される。
街にたたずむ自販機ロボ、本を愛する刑事ロボなど、プログラムされた機能を果たしているだけの彼らは、その純粋な“機能”をもって、人間たちに語りかける。これまで「人生に意味はあるか」「人間の想いは永遠であるか」などのテーマを描いてきた作者が、ロボットの営みを通して「人間とは何か」「“心”とは何か」を表現した作品である。
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