サッカーを仕事にしてやると思ったのは、 たしか大学一年生の時だった。 すぐさまサッカーサイトを立ち上げ、 それがNumberや各種雑誌に取り上げられて、 俺の勘違いは始まった。 おれ、イケんじゃね? Numberに載ったことが影響してか、 ただのサッカー好きな大学生に、サッカーの原稿を書いてくれと仕事がきた。 翌シーズンのリーガについて、というもので、 必死になって書いた。 書店に並んだ本とそこに書かれた自分の名前、 手にした大金を見て思った。 おれ、サッカーで飯食っていけんじゃね? 無理だった。新卒で入社したのは、サッカーには全く関係のない出版社だった。 しかし、ここで編集スキルを身につければ 憧れのサカマガに行けると思っていた。 無理だった。配属されたのは営業部で、 それから四年もの間、全国を飛び回る営業マンをやった。 奇跡的な能無し部長が中途で入ってきた時、 退社を決意して、部長

疲れた。 深夜のコンビニバイトはたいして客が来ないからいいけど、ダブルワークはとにかくしんどい。 今から寝る。明日はとにかく休む、寝る。 月曜から昼間は会社。9時出社だから家を出るのは7時半。 グリーン車に乗る連中を横目に、満員電車に詰め込まれる。痴漢に間違われないように注意して、女性のそばには近寄らない。 残業無くなったから18時終い。最近はどこも早いから帰りの電車も結構満員。 で、火、水、金は21時から25時までコンビニバイト。土曜は20時から朝4時まで。これで月に約9万ちょっと稼ぐ。 私立の高校に通う娘の学費と、小学生の塾、家のローン、将来の備え。 体力がある今のうちに働いとかないと、娘を大学に行かせてやれないかも知れない。 奨学金を使うってのも考えなくは無いが、娘に辛い学生生活を送らせるのも忍びない。 今年部下になった新人が奨学金の返済で大変だって言ってたしなあ。社会人になった時に

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