196cm、95kgの巨体は、一見、重量級の格闘家を思わせる。ベンチプレスでMAX180kgを挙げる桁外れの筋力。だがフィールドに立つと、彼が陸上競技の選手であることはすぐに分かる。 走り高跳び2m06、走り幅跳び7m45、そして棒高跳びで5mを跳ぶ。男子十種競技で今年、8308点の日本新記録を出した右代啓祐(28歳・スズキ浜松AC)は、いま、日本で最高の「身体能力」を持つアスリートだ。そして、日本の陸上競技史上、この種目で初めて誕生した、ワールドクラスの選手だと言える。 「キング・オブ・アスリート」――アスリートの王様。 ADVERTISEMENT 十種競技の金メダリストはそう呼ばれる。女子の七種競技なら「クイーン・オブ・アスリート」。欧州ではこの種目の人気が高く、欧州の選手が金メダリストになると大スターになる。ロンドン五輪で十種競技の金メダリストは米国人選手だったが、女子の七種競技は開

全米選手権で9039点の世界記録を叩き出した時のイートン。ロンドン五輪での世界記録更新をたずねられ、「準備はできている」とコメント。 陸上競技においては、最近、オリンピックで世界記録が出ることはほとんどない。出るとすれば女子の3000m障害や棒高跳びといった歴史の浅い種目だ。北京五輪におけるウサイン・ボルトのように、男子100m、200mといった伝統種目で世界記録を出したのは例外に属する。これは記録のレベルが高くなったこともあるが、オリンピックでは、何より勝つことが優先され、中長距離や跳躍種目で、あえて記録を狙う選手が少ないことも理由の一つだ。 しかしロンドン五輪では、世界記録を出して金メダルを獲る可能性の高い選手がいる。10種競技の米国代表、アシュトン・イートンだ。'11年世界選手権で銀メダルだった24歳。今年6月の全米選手権・ロンドン五輪代表選考会で、ロマン・シェブルレ(チェコ)が保持

川崎市等々力陸上競技場で行われた日本選手権混成競技。最終日の6月5日、男子十種競技で日本新記録をマークして笑顔を見せる右代啓祐 単なる決まり文句ではなく、論理的な結論としても「キング・オブ・アスリート」といえば、陸上競技・10種競技の金メダリストになる。パワーとスピード。瞬発力と持久力。「運動能力」と呼ばれるもの、すべてを兼ね備えた総合アスリート。日本における注目度はあまり高くないが、それは長らく、世界で戦える日本人の10種競技選手がいなかったからだろう。 6月5日、そういった状況を一気に変革する記念碑的な快記録が誕生した。日本陸上選手権・混成競技の最終日、10種競技で右代(うしろ)啓祐(スズキ浜松AC)が8073点の日本記録を樹立したのである。それまでの日本記録は1993年に金子宗弘(ミズノ)が記録した7995点。8073点は18年ぶりの日本記録であるとともに、日本人初の8000点オーバ

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