シリア難民の子ども遺体がトルコの浜辺に漂着した写真を伴うニュースが国際的に話題になった。これまで難民遭難死の問題については、4月15日(参照)や8月5日(参照)にリビアからの難民が大量溺死しても、海外報道に比べれば、それほど大きくは扱ってこなかった日本のメディアだが、この件については注目しているようだった。が、その報道を見ていると、少し奇妙な感じがした。 報道の概要を知るという点からも、まずNHK報道から見てみよう。「シリア難民の子ども遺体漂着受け対策求める声」(参照)より。 中東などから地中海を渡って難民や移民がヨーロッパに流入するなか、トルコの浜辺にシリア難民の男の子の遺体が流れ着いたことが欧米などで大きく報じられたことを受けて、幼い子どもも犠牲になる難民などの問題への対策を求める声が一段と高まっています。 トルコ南西部の沖合で2日、内戦が続くシリアを逃れギリシャを目指していた難民たち
(英エコノミスト誌 2014年8月23日号) イラクでイスラム国を止めるのであれば、シリアでも止めなければならない。 バラク・オバマ氏はイラクでジハード(聖戦)主義者を攻撃し、たとえ米国の行動が遅く、控えめだったにせよ、今のところは成功を収めている。しかし、「イスラム国(IS)」は阻止せねばならず、このためオバマ氏はシリアでもISを攻撃しなければならない。これは、イラクでの攻撃よりずっと難しいことが分かるだろう。 イラクでは、破壊行動に燃える狂信的なISの進撃が今のところ食い止められている。イラク北部シンジャール付近の山に避難していた少数派のヤジド派の大半は救出された。イラクで唯一それなりに統治されているクルド人自治区では、差し迫った危険はすぎ去った。 6月にISが占拠し、イラク第2の都市モスルを氾濫させる恐れのあった大規模ダムは、米国の空軍力とイラク、クルドの地上部隊によって、政府側の手

シリアの政府軍と戦闘を続けるイスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」は24日、政府軍が北部の前線と位置づけている空軍基地を制圧し、勢力をさらに拡大させています。 イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」は、シリア国内で政府軍と激しい攻防を続けています。 イギリスに拠点を置く人権団体によりますと、過激派組織は先週からシリア北部にある空軍基地への攻撃を強め、24日に政府軍との戦闘の末、制圧しました。一連の戦闘で、政府軍と過激派組織の合わせて500人以上が死亡したということです。 この基地は過激派組織の活動拠点があるラッカから50キロほどの所にあり、政府軍はいわば前線基地を失った形となりますが、国営テレビは「政府軍は基地から無事に撤退したあと、部隊を再編成している」と伝え、奪還に向けた作戦が続くとしています。 過激派組織は、シリア国内で政府軍に加え反政府武装勢力とも三つどもえの戦闘を続け

仏パリ(Paris)の大統領府を去るヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前米国務長官(2014年7月8日撮影)。(c)AFP/THOMAS SAMSON 【8月11日 AFP】ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前米国務長官は、米誌アトランティク(Atlantic)が10日に掲載したインタビューの中で、イラクとシリアでのイスラム武装勢力の台頭はバラク・オバマ(Barack Obama)大統領の政権下での中東政策の失敗が招いたものだと批判した。 特にシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領に対抗する反体制勢力に対し米政府が傍観の立場を決めたことが、最も過激な反体制組織であるイスラム教スンニ派(Sunni)武装組織「イスラム国(Islamic State、IS)」台頭への道を開いたと、クリントン氏は指摘している。 「(オバマ政権は

トルコ軍は、シリア軍の戦闘機が領空を侵犯してきたとして撃墜し、シリア内戦で反政府勢力を支援しているトルコとアサド政権との対立は一段と深刻になっています。 トルコ軍によりますと、シリアとの国境に近いトルコ南部で、23日午後、シリア軍の戦闘機が警告を無視して国境を越え、領空におよそ1キロほど侵入してきたということです。 このためトルコ軍は戦闘機2機を現場に向かわせ、ミサイルを発射してシリア軍機を撃墜したということです。 シリア軍の戦闘機は、シリア領内に墜落したということで、墜落現場とされる映像では、山あいから白い煙が上がっているのが確認できます。 今回の撃墜について、トルコのエルドアン首相は、「われわれの領域を侵せば手痛いしっぺ返しを受けるのは当然だ」と述べて正当化したのに対し、シリア政府側は、「明らかな敵対行為だ」と強く非難しています。 トルコ軍は、去年9月にもシリア軍のヘリコプターが領空侵

シリアの政府軍のヘリコプターが隣国トルコの領空を侵犯したとしてトルコ軍によって撃墜され、反政府勢力を支援するトルコとシリアのアサド政権との間で緊張が一段と高まっています。 トルコ政府の発表によりますと、16日午後2時すぎ、シリア軍のヘリコプターが国境を超え、トルコ側の領空に2キロほど侵入してきたということです。 これに対し、トルコ軍は繰り返し警告を発しましたが、ヘリコプターが領空侵犯を続けたため、近くの基地から戦闘機を発進させてミサイルで攻撃し、ヘリコプターはシリア領に墜落したということです。 トルコとシリアの国境地帯では、去年6月にトルコ軍の戦闘機がシリア政府軍によって撃墜されたほか、内戦の激化に伴ってシリア側からたびたび砲弾や銃弾がトルコ側に着弾し、これに対してトルコ軍が報復攻撃をするという状態が続いています。 トルコのエルドアン政権は、シリアの反政府勢力を支援してアサド政権との対決姿
アメリカとロシアがシリアの保有する化学兵器の廃棄に向けて合意したことで、アサド政権への軍事行動が当面回避されるなか、内戦が続くシリア国内では、政権側が反政府勢力の支配地域を奪い返すなど攻勢を強めています。アメリカとロシアが14日、シリアの保有する化学兵器の廃棄に向けた枠組みで合意したことを受け、アメリカなどによるアサド政権への軍事行動は当面回避されることになりました。 一方、シリア国内はアサド政権と反政府勢力との激しい戦闘が続いていますが、シリアの国営通信によりますと政権側は14日、これまで反政府勢力が支配してきた北西部イドリブの山岳地帯を奪い返したほか、首都ダマスカス郊外などで反政府勢力の拠点を空爆するなど攻勢を強めています。 これに対し、反政府勢力側はNHKの取材に対し、シリア国内の多くの地域で苦戦を強いられていることを認めたほか、「今回の化学兵器の合意に自分たちは関与していないが、
化学兵器使用とアメリカの軍事介入への動きによって、日本でも8月下旬からシリア情勢に関する報道が急に増えてきた。しかし、その論調にはおかしなところがいくつもある。 実は筆者は、シリアとはプライベートで長く深く関わってきた。20年前に結婚した元妻がシリア人で、その後、何度もかの国を訪問し、親族や友人を通じてシリア人社会を内側から見てきたのだ。 シリアは北朝鮮と同様の強権体制の独裁国家で、秘密警察が国中に監視網を構築し、不満分子は徹底的に弾圧する恐怖支配が行われている。言論統制も徹底され、もともと外国人記者が自由に取材できるような国ではないうえ、外国人と接する機会のあるシリア人も、秘密警察を恐れて外国人に迂闊にホンネを話すことはない。したがって、なかなかその真の姿が外国人には見えにくい。 筆者のような関わりは希少ケースと言っていいが(シリア人女性と結婚した日本人は筆者が2人目らしい)、そのためシ

米軍によるシリア軍事攻撃のカウントダウンが始まった。 8月21日にアサド政権側が化学兵器を使った証拠がある、として、オバマ政権はシリアへの軍事攻撃を行う用意がある、と主張した。とはいえ、イギリスでは議会が対シリア攻撃を否決し、オバマ自身も議会に諮らざるを得ない状況。国際世論も消極的だ。 その背景に、イラク戦争での失敗が指摘される。大量破壊兵器の恐怖を煽ったあげくに強行されたイラク戦争では、米英など外国兵4800人以上の死者を出す泥沼が、わずか二年前まで続いていたからだ。アフガニスタンではまだ進行中で、2010年に700人以上の外国兵の死を経験して以降も、毎年400~500人は命を落としている。アフガニスタン攻撃とイラク戦争は、国際社会に「中東での軍事介入は割にあわない」という教訓を残したはずだ。 イラク戦争とのアナロジーは、探せばいろいろと見つかる。米政府がいつも強弁する「独裁政権は大量破
(2013年9月3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 英国帝国主義の傑出した詩人ラドヤード・キップリングは1899年、米国にあてた詩を書いた。「白人の責務を担え」という書き出しで、「平和のために苛烈な戦に挑み/飢えた者たちの口を満たし/病の広がりを食い止めよ」といった言葉が連なっている。 今では米国の大統領は黒人であり、キップリングのような人が用いた帝国主義者の言葉をあえて使う著名な知識人はいないだろう。 米国が担う「世界の警官」という特別な責務 米議会は9日以降、シリアへの軍事介入について審議する〔AFPBB News〕 しかし、米国は世界の警察官という特別な責務を担うべきだという考え方は今なお健在で、バラク・オバマ大統領がシリアに対する軍事行動を求めた発言にも見受けられた。 「我が国はアメリカ合衆国である」。大統領はそう強調し、1945年以降の世界の秩序を構築・防衛するという特別な役
混迷のシリアに向けて米国軍を含んだ西側諸国の軍事介入があるのか、すわっ戦争か、ということでシリア情勢が一気に話題になってきているかにも見えるが、現状では、れいによって米国オバマ大統領お得意の修辞という以上の意味合いを見つけるのも難しく、その意味で、化学兵器使用と想定される目立った事象があったものの、具体的なシリア情勢に大局的な変化はなく、現状はどのように評価していいか、アイロニカルな思いになる。 オバマ米大統領らしい修辞がさすがに目立つのは、即座に軍事行動を取るかに見えつつ、具体的な動向は、9日以降の米議会の承認を求めてから、としたことだ(あたかも変心のように演出されている)。 米国の軍事活動は大統領の権限なので彼自身が独自に判断できる。戦争権限法に従った場合でも、60日後に議会承認を得て、さらに予算の承認を得るというのが通常のプロセスである。なのになぜオバマ大統領が今回このような議会優先
アメリカのホワイトハウスは13日、内戦が続くシリアで、アサド政権が化学兵器を使用したと結論づけたことを明らかにしました。 さらにこの化学兵器の使用によって100人から150人が死亡したという見方を示し、判断の根拠となった情報を国連や関係国に示すとしています。 そのうえで、オバマ大統領がシリアの反政府勢力に新たな軍事的な支援を行うことを決め、今後の対応を関係国と協議するとしています。
シリア北西部イドリブ(Idlib)県の村の制圧を祝う反体制派の戦闘員ら(2013年1月30日撮影)。(c)AFP/AAMIR QURESHI 【1月31日 AFP】シリア軍は30日、国営シリア・アラブ通信(SANA)を通じた声明で、イスラエル軍が同日早朝に首都ダマスカス(Damascus)近郊の軍事研究施設を空爆し、2人が死亡したと発表した。 またシリア軍は同時に、レバノンとの国境付近でイスラエル軍が夜のうちにシリアからの兵器輸送部隊を攻撃したとの報道を否定した。 レバノンのシーア派原理主義組織ヒズボラ(Hezbollah)はシリアの現政権と同盟関係にあり、イスラエルはシリアが保有する化学兵器がヒズボラや他の軍事組織の手に渡ることを懸念している。 シリア問題をめぐる国連(UN)とアラブ連盟(Arab League)のラクダール・ブラヒミ(Lakhdar Brahimi)合同特別代表はこれに

(CNN) 米政府当局者は12日、シリア政府軍が少なくとも4発の短距離ミサイル「スカッド」を首都ダマスカス周辺から同国北部へ撃ち込む攻撃を行ったことを明らかにした。反体制派勢力の拠点を標的にしたとみられる。 米軍事衛星がこれらミサイル発射に伴う赤外線を探知したという。ミサイルの着弾地点については隣国のトルコ領内ではないが、国境線に近い場所としている。ミサイル攻撃による被害の有無などは伝えられていない。 トルコが加盟する北大西洋条約機構(NATO)は同国の要請に応じ、地対空ミサイルシステム「パトリオット」を配備する準備を進めている。米国防総省報道官によると、オバマ政権はここ数日内にトルコに供与するパトリオットの数と派遣要員数に関する指示を出す見通し。 米政府当局者は先に、シリア政府軍は反体制派との戦闘に用いる兵器を拡大しており、射程60マイル(約97キロ)と比較的長距離のミサイル約20発を用

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