タイトルに簡単に言えば「趣味的な本屋の販売量だけでは、現在のシステムを維持出来ず書籍文化が崩壊するから」という事になる。 これは他の経済活動でも同じで、趣味で採算度外視、あるいは薄給でもやりがいだけでやっています、と言うようなものが蔓延ってしまうと、後は滅ぶしかない。 一度滅んだ後に残存者利益が出てくると、改めて採算が取れるようになるのだが、その時は今の豊富で豊かな出版文化はなくなっているだろう。 と言うわけで、いただいた反応の中からいくつか補足としてワイの考えを述べておく。 何故客注を大事にする必要があるのか上客、太客だから。 書店の顧客は、他の小売店と違い、売上の8割を2割の客が買っている、と言う極端な構造がある。色々な調査でひとりあたりの本の購入量の統計を取ると、左に大きなピーク、右に小さなピークの崩れたM字型になることが知られている。一つ目が年に数冊しか本を買わないライトユーザ。そ

8月10日土曜日、とうとう危惧していたことが、現実になってしまった。 一人のお客様が、レジのところに来られ、 「先月7月29日に、お願いしていた本、入ってますか?」と言って尋ねて来られたのだ。 注文帳をめくると、7月29日の欄に「正体」染井為人著・光文社発刊 1冊と、スタッフTの字で書かれていた。光文社さんから取次への搬入日は、「7/31」と書かれている。 7/31から、今日8/10となると、取次で10日も止まっていることになる。 8/6 か、7日の時点で、本屋として、取次へ、未入荷の連絡するなりのチェックを、していれば、何とか間に合わすことができたのかも知れない。 その後のお客様とのやりとりは、こうだ。 お客様 「こちらのスタッフさんが、一週間ぐらいで入ると言ったから注文したのに...、入らないのなら最初からそう言って下されば......。」 店主 「いえいえ、7/31取次搬入なら、遅

白雨 蒼/ライトノベル作家の端くれ @Aoi_Shirasame 書店員兼ライトノベル作家のはしくれ。スチームパンクとサイバーパンクの道を順調に闊歩しつつある今日この頃。 電撃の新文芸にて『英国幻想蒸気譚』シリーズ発売中。お仕事募集中です。 https://t.co/GjsG4UeRXn 白雨 蒼/ライトノベル作家の端くれ @Aoi_Shirasame本屋勤めて長いけど、未だに図書券出してくるお客様たち、マジで何処から取り出してくるの? もう20年近く前に生産終了した骨董品よ? めっちゃ保存状態良いのばっかで毎回「お前……まだ残存しとるのか……」って驚くわ。 2024-05-13 22:20:13

「日本の警察はめちゃくちゃ友好的です。中国だと勝手にドアを破って入ってきますからね」2023年春に北京から東京に拠点を移したばかりの郭氏(33歳、仮名)はそう呟く。若きドキュメンタリー映画の監督だ。かつて中国には、当局の審査を受けないインディペンデント映画としてドキュメンタリーを撮った監督が、欧米で賞を獲得しスターダムに登り詰めるというキャリアパスがあった。 だが、2012年に習近平政権がスタートして以降、記録映画業界は徐々に追い詰められて行き、北京、南京、雲南にあったインディペンデント映画祭は2020年までに全て終了となった。 「言論の自由」が移住の理由に 「日本に来たのは、作品の安全のためです。私の作品は未来の人に向けたものなのです」。彼が中国で撮った歴史をテーマとする作品は全て未公開のままで、採算は取れていない。日本に来た最大の理由は、自分が苦労して作った作品をせめて守り通すこと。

東京神田の神保町は日本随一の本屋街として知られていて、それぞれに専門分野を持った古書店が集まっている。 ちょっと昔の東京ガイドブックを見ると、日本の知がここに集まるなんて紹介の仕方がされていたものだ。 そんな神保町も、さまざまな変化のせいで、どうやら専門書街ではなくなりつつあるという話。 かつて神保町には洋書の専門店がたくさんあった。とくに目抜き通りの靖国通り沿いには、神保町を象徴するかのような老舗の洋書専門店がある。けど最近の神保町では、洋書専門店は絶滅危惧種だ。 そのうちの一件は、今年になってから金土日のみの営業になった。「コロナ禍による人員削減」と貼り紙が表にしてある。 もう一件の洋書店は、建物は壮麗だが、実態はもう洋書店ではなくなりつつある。店に入ると一階は児童書コーナーを兼ねたカフェになっている。洋書コーナーは2階にあるが、店内から直接行くことはできず、脇の小道から上がるようにな

書店の棚の下の引き出しを開けたら店員に注意され気分が悪いー。店側に寄せられた「お客さまの声」がインターネット上で話題です。現役書店員に尋ねると、引き出しは「ストッカー」と呼ばれる在庫や備品管理庫で、「開けないで」が本音とのこと。話を聞くと、書店員の苦悩が見えてきました。(ネクスト編集部) 【写真】水着で街歩き迷惑? 神戸・須磨、マナー悪さに苦慮 あるツイッターユーザーが、商業施設に張り出されたお客様から店への要望メモの写真を投稿。その内容は、書店の棚に目当ての本がなかったので、棚の下の引き出しを開けたら、店員から「開けないでください」と注意された、注意するなら張り紙をしてほしいといったもので、SNS上では「普通は開けない」「非常識」「人の家の冷蔵庫を開けるようなもの」「お客さまは神様ですを誤解している」など、否定的な意見が並びます。 ■バックヤード倉庫と同じ感覚 大手書店チェーンに勤める書

書店員を辞めました退職エントリを書くことに小さな憧れがあったので、退職が決まったときから「どんなこと書こうかなぁ」とぼんやりと考えていたのだけど、でもよく考えてみるとネット上から職場に対して言いたいことなんて何ひとつなかった。 しかし、書店員を辞めた現時点で、本や書店について自分が考えていることを書き残していきたい気もするので、今回は「ぼくがかんがえた本といんたーねっと」について書こうと思う。 記事内容を要約すると、<インターネットがもっとコンテンツと出会う場に、そして創作活動をもっとドライブさせる場になってほしい>という話になります。 言いたいことがありすぎて少し散らかった印象になってしまいましたが、自分にしては珍しく熱っぽく書いた記事なので、時間のあるときに読んでくれると嬉しいです。 ちなみに、記事のタイトルを「潮見、書店員辞めるってよ」にしなかったのは、同世代の羨望と嫉妬を一手に引

自民党の杉田水脈(みお)衆院議員が同性カップルを念頭に「生産性がない」などと月刊誌「新潮45」で主張した問題に関連し、和歌山市万町の書店「本屋プラグ」は20日、新潮社の新刊本の販売を当面取りやめる方針を明らかにした。店主らは「言葉の暴力が一線を越えている。問題提起したい」と話す。 新潮社は18日発売の「新潮45」10月号で、8月号に掲載された杉田氏の寄稿に批判が寄せられたことに対して「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」とする記事7本を集めた企画を掲載した。 その中で文芸評論家の小川栄太郎氏は「LGBTも私のような伝統保守主義者から言わせれば充分ふざけた概念」などと主張を展開した。 この記事について、店主の三木早也佳さん(36)は「性的マイノリティーの方々への侮辱的であまりにひどい言葉の暴力が展開されており、一線を越えている」と話す。同店は新刊・古書計約5千冊を扱う小規模店舗。新潮社の書籍

青山の貸し会議室 表参道駅徒歩7分、本店の奥にある2つの部屋を貸し会議室としてご利用いただけます。青山の静かな書店の中で気分を変えたお打合せや会議にいかがでしょうか 青山ブックセンターからお知らせ 2018年5月7日 青山ブックセンター六本木店 閉店のお知らせ お客様各位 平素は格別のご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます。 この度、38年に渡りお引き立ていただきました青山ブックセンター六本木店は、 6月25日(月)をもちまして六本木店としての営業を終了し、 表参道の青山ブックセンター本店に統合することとなりました。 皆様の温かいご支援の中、これまで営業してこられましたことを厚くお礼申し上げます。 なお、ポイントカード(HonyaClubメンバーズカード)は引き続き青山ブックセンター本店にてご利用いただけます。 書籍ご入用の際は、表参道の青山ブックセンター本店をご利用・ご用命賜りますよう よろし

書店が地域に1店舗もない「書店ゼロ自治体」が増えている。出版取り次ぎ大手によると、香川を除く全国46都道府県で420の自治体・行政区にのぼり、全国の自治体・行政区(1896)の2割強を占める。「文化拠点の衰退」と危惧する声も強い。 トーハン(東京)の7月現在のまとめによると、ゼロ自治体が多いのは北海道(58)、長野(41)、福島(28)、沖縄(20)、奈良(19)、熊本(18)の順。ほとんどは町村だが、北海道赤平市、同歌志内(うたしない)市、茨城県つくばみらい市、徳島県三好市、熊本県合志(こうし)市、宮崎県串間市、鹿児島県垂水(たるみず)市など7市や、堺市美原区、広島市の東・安芸両区の3行政区もゼロだ。 出版取り次ぎ大手・日本出版販売(東京)の別の統計では「書店ゼロ自治体」は4年前より1割増えた。 全国の書店数は1万2526店で、2000年の2万1654店から4割強も減った(書店調査会社ア

こんにちは。先々週も触れましたが(「出版不況は終わった? 最新データを見てわかること」)中堅取次、太洋社の自主廃業方針の表明を受けて、書店の倒産・閉店が相次いでいます。 帝国データバンクによると、2月26日には、東京の高田馬場などに書店を展開している有力書店、芳林堂書店が自己破産しました(帝国データバンク)。芳林堂書店は、筆者も学生時代よく通った書店で、後に述べるように、太洋社の自主廃業表明を受けて新刊の入荷が止まり、出版関係者の間では行方が危ぶまれていました。(2月26日17時57分追記:業界紙「新文化」によると、店舗は別の書店チェーンの「書泉」に譲渡し、営業は継続するとのことです。) 【友朋堂吾妻店】友朋堂吾妻店、閉店いたしました。本日はたくさんのお客様にお出でいただき、お声かけていただき、シャッター前で閉店を見送ってもいただき、本当にありがとうございました。長年に渡りご愛顧頂いたお客

はじめに本屋が減ってきている。その原因はなんでしょうか。 「本が売れない」、「ネット書店(イコール帝国)があるからリアル書店なぞ必要ない」、「図書館で借りれば無問題」と邪推すればキリがありません。取り巻く現状が音速になっているのに旧来通りのスピードで運行しようとする、その腰の重さにこそ原因があると個人的には思っております。 面白い。実例を挙げての、店頭(アマゾン・MJ)在庫や取次倉庫を軸に考える出版流通。物流やシステム投資の怠慢と機動性の希薄さが帝国の後塵を拝する結果に繋がっているというのが個人的な印象。 / “「品切れは何故おこるのか?」 科学的に…” http://t.co/EnTjq06ead — 積読書店員ふぃぶりお (@fiblio2011) 2015, 9月 13 このような「書店減少」・「出版不況」という有難くない枕詞で語られがちな業界の中において、規模の大小を問わず、本屋

書店チェーンのリブロが、西武百貨店池袋本店に構える本店を6月で閉店するのだそうだ(ソースはこちら)。 残念なニュースだ。 しばらく前から撤退の噂が流れていることは知っていた。 私は本気にしていなかった。 リブロの池袋店は、いつ通りかかっても活気のある店舗だったからだ。 もうひとつ、私が閉店の噂を信じなかった理由は、西武百貨店にとって、リブロが、ブランドイメージ(←西武グループが単なる商品を売る企業ではなくて、情報を発信しライフスタイルを提案する文化的な存在であるということ)を維持する上で、不可欠なピースであると考えていたからだ。 フロアマップの中にきちんとした書店を配置していない百貨店(モールでも同じことだが)は、長い目で見て、顧客に尊敬されない。まあ、書店を必要としないタイプの客だけを相手に商売が成り立たないわけでもない。それはそれでやって行けるものなのかもしれない。が、立ち回り先に本屋

新刊本を扱う書店が地元にない自治体数が、全国で4市を含む332市町村に上り、全体の5分の1に上ることが、書店情報を集計している出版社の調査で分かった。東京への一極集中や人口の急減によって、将来的に生活基盤が失われる恐れがある「消滅可能性都市」と一致する自治体が多い。一方、「地方の活字文化の拠点を残そう」と書店を復活させる動きも出ている。 調査は、書店のデータベース「ブックストア全ガイド」を発行する出版社アルメディア(東京都)が、取次店から仕入れている書店を対象に実施した。「書店空白」の4市は、北海道歌志内(うたしない)▽茨城県つくばみらい▽宮崎県串間▽鹿児島県垂水(たるみず)。つくばみらいを除けば、出産の中心世代となる若年女性が2040年までに半減し「消滅可能性」を指摘された自治体だ。都道府県別では、(1)北海道47市町村(2)長野35町村(3)福島22町村−−の順に「書店空白地域」が多

参考リンク:消える書店:ネットに負け相次ぎ閉店 地域中核店も− 毎日jp(毎日新聞) この記事を読んで、ずっと考えていたんですよね、「リアル書店は、どうすれば生き残れるんだろうか?」って。 なんのかんの言っても、僕は「本屋さん」が大好きなので。 でも、「値段も同じで、配達してくれて、品揃えもよければ、Amazonで買うよね」と言われると「まあそうですよね」としか言いようがないのも事実ではあります。 都会には巨大な新刊書店がたくさんあるけれど、人口数万人レベルの地方都市では、TSUTAYAが最大の新刊書店、なんていうことも少なくありません。 リアル書店も時代とともに変遷しつづけているのです。 村上春樹の『ノルウェイの森』は1970年くらいの話なのですが、その時代、僕が生まれたくらいの時点で、すでに「商店街の小規模家族経営書店」の経営が厳しくなっていることが描かれています(ミドリの実家のこと)
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