海老名市立中央図書館HPより 「4月1日付で、新館長に高橋哲(あきら)氏が着任して、前館長の高橋聡氏は、副館長(館長補佐だったことがのちに判明)ということになったようです」 ある関係者から突然、そんな情報が寄せられたのは、6月上旬のことだ。 2015年10月に、TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が指定管理者となった「ツタヤ図書館」として、華々しく新装開館した神奈川県海老名市立中央図書館。佐賀県武雄市に続く2番目のツタヤ図書館として全国から注目を浴びた。 その館長が今年4月1日から、新たに次の5年間の指定管理契約がスタートするのに合わせて、新任者に代わっていたことがわかったのだ。 海老名市におけるCCC選定プロセスの不可解さについては、4月29日付当サイト記事『不祥事続出で有名なツタヤ図書館、海老名市が議論抜きで今後5年の委託継続決定か?』などで詳しく報じて

来年3月、山口県周南市の徳山駅前にオープン予定の新図書館に、またひとつ疑惑が持ち上がった。 この図書館を空間プロデュースから手掛け、開館後は指定管理者として運営を一手に担うのは、レンタル大手・TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)だ。同社が2011年に東京・渋谷にオープンした代官山蔦屋書店を彷彿とさせる、イメージ先行の図書館がまたひとつつくられようとしている。 3月18日付当サイト記事『ツタヤ図書館、ダミー本3万5千冊に巨額税金…CCC経営のカフェ&新刊書店入居』において、152万円もの税金を投入して、中身が空洞の“ダミー本”を3万5000冊分も購入する計画であると報じ、大きな反響を得た。 中心市街地開発の一貫として、建設が予定されている駅ビルにできる複合施設内に、国の補助金をもらうために公共図書館をつくる――。そんな周南市の計画は、佐賀県武雄市、神奈川県海老

地方を捨て、仲間を見返すため勉強する場所今年も4月になり、新たな学生や社会人が大都市に出てくる。彼・彼女たちはいかなる図書館経験をしてきたのだろうか。 私のことをいえば、地方都市の古びた図書館での受験勉強がその後、長く図書館に「居つく」きっかけになった。 考えてみれば、地方の図書館は不思議だ。定年退職後に時間をつぶす高齢者はもちろんだが、第二次ベビーブームのさなかに生まれた私の若いときは、高校生がむしろ多くたむろしていた。 自分の過ごした地方を捨て、親を超え、仲間を見返すため勉強すること。図書館は、それを鷹揚にも許してくれる。 その是非はたしかに議論されてもよい。近年(実は昔から)、中高生が図書館の席を「占拠」することが、しばしば問題になっている。とはいえ、今なおゲリラのように、受験生たちが少ないスペースを奪い合い、勉強している姿がみられることは同じである。 TSUTAYA図書館のラッシュ

「まったく、人をバカにした話だと思いますよ。152万円も出して、ダミー(偽物)を3万5000冊も買って並べるというのですから」 そう憤慨するのは、山口県周南市のある市議会関係者だ。憤るのも無理はない。昨年12月に開催された市議会の予算委員会で、市が来年2月オープン予定の新図書館の開館準備に合わせ「ダミー本を3万5000冊分、約152万円で購入」することを明らかにしたからだ。 「ダミー本」とは、ダンボールでできた中身が空洞の偽物の本のこと。マンションのモデルルームなどで、部屋のインテリアをオシャレに演出するために使われる洋書風の小道具といえば、イメージしやすいだろう。その偽物の本を、よりによって新設する公共図書館に3万5000冊分も入れる計画というのだ。 仮に1冊2センチの厚さの単行本を寝かせて縦に積み上げると、その高さは700メートルにもなる。偽物に152万円も使わず、1冊2000円の本を

6月25日付当サイト記事『ツタヤ図書館、料理・美容・旅行の古本を大量購入…価値1円の本を千円で購入』において、宮城県多賀城市立図書館が蔵書として購入した図書が、異常なまでに古い本を高値で大量購入していた事実を報じた。 レンタル大手TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営する同図書館は、佐賀県武雄市立図書館、神奈川県海老名市立中央図書館に続く全国3番目の「ツタヤ図書館」として注目を集めている。 そのツタヤ図書館に関しては、調べれば調べるほどに疑惑が浮上しているが、多賀城市立図書館の追加蔵書購入に関連して、もうひとつ興味深い資料をお見せしよう。 この除籍リストをみると、ほとんどは雑誌のバックナンバーで、単行本の除籍は少ないが、その単行本には生活・実用書がズラリと並んでいる。 注目したいのは、いつ発行の本かだ。この除籍本の「受入日」(実質的には刊行年)をみると、

あの日から、もうすぐ丸5年を迎える――。被災した市民にとっては、真新しい建物に移転する市立図書館のリニューアルオープンについては、感慨もひとしおだろう。 東日本大震災が起きた5年前、宮城県多賀城市立図書館では、建物の倒壊や来館者の人的被害こそなかったものの、市民が借りていた本の多くが津波で流出して蔵書が多数失われた。建物補修でも1年を超える休館を余儀なくされた。人も予算も足りないなかで、1日も早く復旧するために、図書館関係者はさぞや苦難の連続だったに違いない。 そんななか、復興の象徴として菊地健次郎市長が推進してきたのが「ツタヤ図書館」の誘致だった。街に賑わいを呼ぶために、交通の便の良い駅前に新たな複合ビルを建設。その中にお洒落なカフェと新刊書店、レンタル店が同居する新感覚の図書館を設置する計画は、レンタル店大手TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が2013

ツタヤ図書館問題が広く知られるようになったキッカケは、2015年8月に判明した、武雄市図書館の選書問題です。 1999年版のWindows98マニュアル本や、2001年版の公認会計士受験ガイド、埼玉ラーメンマップなど、約1万冊の中古本をグループ企業の中古書店から調達し、蔵書していたことが雑誌やネットニュースで報じられ、広く話題となりました。 ツタヤ図書館2館目のオープンを控えていた、神奈川県海老名市にも飛び火するなど、選書問題をきっかけに「ツタヤ図書館」が大きく注目されています。 特徴的すぎる選書や分類が注目されていますが、「ツタヤ図書館」は何が問題なのかを考える上では重要ではありません。 まずは、約2年半前に購入された武雄市図書館の蔵書が、なぜ、今ごろになって問題視されているのかということに着目する必要があります。 2年間開示されなかった契約書類 隠されていた1300万円の予算流用 (2

「TSUTAYA」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が指定管理者となり、10月にリニューアルオープンした神奈川県の海老名市立中央図書館。そのパートナーで共同事業体の図書館流通センター(TRC)が、図書館に対する理念の相違からCCCとの協力関係を解消するとした問題が一転、今後も両社が指定管理者を継続していくことになった。 内野優市長が10月30日、定例記者会見で明らかにしたもので、両社は同日付でこれまでの海老名市立中央図書館に対する報道について、市や市民に対して心配をかけたことを謝罪。契約期間が満了となる2019年まで業務を行うことを約束した。急展開の舞台裏では、何があったのだろうか?

愛知県小牧市の新図書館建設計画を巡る住民投票が4日、投開票された。反対が賛成を上回り、レンタル大手「ツタヤ」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と連携した市計画は、見直しを迫られることになる。当日有権者数は11万6624人で、投票率は50・38%。 20歳以上の有権者が、計画に「賛成」「反対」に○を付ける形で投票し、反対は3万2352票、賛成は2万4981票だった。無効票は1427票あった。 小牧市は、既にCCCの提案を反映した基本設計案を策定。「ツタヤ図書館」として話題を呼んだ佐賀県の武雄市図書館と同様、書店やカフェを併設し、CCCは開館後の指定管理者候補の一つだ。新図書館の延べ床面積(5770平方メートル)は現図書館の2・6倍で、最大収容冊数も2倍強の50万冊を計画。建設費は42億円で3年後の開館を目指していた。 山下史守朗(しずお)市長は、名鉄小牧駅前の再開発を踏ま

宇宙開発とビジネスと民主主義(moderntimes) 宇宙開発と社会との関係を分析。 松浦晋也と鹿野 司の“読書ノート”(裳華房) 裳華房メールマガジンでの書評連載。 日経クロステック著者検索 松浦晋也 日経BPの媒体に書いた2003年以降に書いた技術的記事が読めます。全部ではありません。一部は同社のウェブ媒体リニューアルで消えたままになっています。 日経ビジネス電子版・著者ページ 2015年以降に日経ビジネス電子版に書いた記事は、ここから読むことができます。 介護生活敗戦記 2017年に連載した、認知症を発症した母80歳を自宅介護した記録です。現在連載は、NPO法人「となりのかいご」代表の川内潤さんが受け継いでいます。ここから著書「母さん、ごめん。」が生まれました。 松浦晋也の「モビリティビジョン」 2008年から2011年にかけて「Wireless Wire」で行った乗り物に関する連

10月1日付当サイト記事『ツタヤのCCC運営の図書館、不可解な図書購入めぐり疑惑浮上!在庫処分に利用?訴訟に発展』で、全国でも民間委託を最も積極的に進めている自治体のひとつである東京足立区のケースを例に、公共図書館がいかに「ワーキングプア」を大量に生み出す元凶となっているかをレポートした。 「民間に委託すれば、より少ない費用でより充実したサービスが受けられる」という考え方は、絵にかいた餅にすぎず、現実には受託した企業が利益を確保するために人件費を低く抑えているにすぎない。 館長を雇い止め~裁判~和解 今回は、さらに具体的事例を挙げて解説していこう。 「無理が通れば道理が引っ込む」と言われるように、足立区の図書館では、これまで2つの大きな労働事件が起きている。 まず、指定管理制度完全導入直後の2009年に足立区内の図書館で起きたのが「館長雇い止め事件」だ。 指定管理者となった企業に契約社員と

レンタルチェーンTSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が指定管理者となっている佐賀県の武雄市図書館で起こった選書問題が、神奈川県海老名市にも“飛び火”している。 海老名市立中央図書館は、CCCが指定管理者となった2館目の図書館として、10月1日にリニューアルオープンを控えているが、新たに強化する蔵書1万冊の選書リストが9月17日から18日にかけて行われた海老名市議会の一般質問で明らかになった。その中には、武雄市図書館の蔵書と同じように、古い雑誌や選定基準の対象外と思われる書籍が含まれていたため批判が集中。海老名市教育委員会の伊藤文康教育長は9月18日、「一時凍結して、選書をやり直す」と答弁、市民に疑念を持たれたことについて謝罪した。

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