水俣病の認定義務付けをめぐり、16日に最高裁が言い渡した2件の上告審判決の要旨は以下の通り。 ■水俣病の定義 公害健康被害補償法などは水俣病がどういう疾病であるか特に規定を置いていないが、専門家の意見などに照らせば、水俣病とは、魚介類に蓄積されたメチル水銀を口から摂取することにより起こる神経系疾患と解するのが相当だ。 ■水俣病認定に行政の裁量はあるか 水俣病認定に際して、熊本県知事は、個々の患者の病状についての医学的判断だけでなく、原因物質の摂取歴や生活歴、種々の疫学的な知見や調査の結果などを十分に考慮した上で総合的に検討する必要がある。これは水俣病に罹患(りかん)しているかという現在や過去の確定した客観的事実を確認する行為であり、この点に関する行政庁の判断はその裁量に委ねられるべき性質のものではない。 ■司法審査のあり方 県側は、水俣病認定についての裁判所の審査と判断は(1)197
水俣病の認定を巡る裁判で、最高裁判所は、行政の審査では認定されなかった熊本県の女性を水俣病と認める判決を言い渡しました。 水俣病の認定を、これまでの行政の審査よりも広げる判断となりました。 この裁判は、国の認定基準に基づく行政の審査で水俣病と認められず、いずれもすでに死亡した熊本県水俣市の女性と大阪・豊中市の女性の遺族が起こしていました。 熊本の女性に対しては、福岡高等裁判所が独自に症状などを検討して水俣病と認定した一方で、大阪の女性に対しては、大阪高等裁判所が行政の裁量をより幅広く捉えて訴えを退け、2審の判断が分かれていました。 最高裁判所第3小法廷の寺田逸郎裁判長は、「国の現在の認定基準には一定の合理性があるが、それ以外のケースでも個別に判断して水俣病として認定する余地はある。裁判所は証拠に基づいて具体的に検討し、水俣病かどうか判断ができる」と指摘し、女性を水俣病と認めた判決が確定しま
熊本県が水俣病の患者と認定しなかったのは不当として、熊本県水俣市の女性の遺族が処分の取り消しと認定義務付けを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(寺田逸郎裁判長)は16日、県側の上告を棄却した。女性を水俣病と認定するよう命じた2審福岡高裁判決が確定した。最高裁の認定は初めて。 水俣病をめぐっては、大阪府豊中市の女性の遺族が患者認定などを求めた訴訟でも同日、上告審判決が言い渡される。 2訴訟の高裁判決は水俣病患者かどうかを異なる手法で判断。原告側勝訴と敗訴で明暗が分かれており、最高裁は手法について初の統一判断を示す見通し。 国が昭和52年に示した判断条件は、水俣病と認定するには手足の感覚障害に加えて運動失調や視野狭窄(きょうさく)など複数の症状の組み合わせを必要とし、そうでない場合は総合的に判断するとしている。女性2人はいずれも認定申請を棄却された。 熊本県水俣市の溝口秋生さん(81)
熊本県水俣市議会で19日、水俣病に関連した質問が「議題にない内容」だったとして発言の取り消しを求める動議が出され、保守系会派などの賛成多数で可決された。市議会事務局によると、このような理由による削除は前例が確認できないという。 削除されるのは、野中重男議員(共産)の12日の一般質問での発言。水俣市などで10月に開かれる国際会議で、「水俣病の教訓」を掲げ、水銀の使用などを規制する新条約が採択される。これに関連し、行政の対応が遅れて被害が拡大した水俣病の歴史を踏まえ、「情報が広く国民に知らされていれば多くの被害者の発病や差別、偏見、風評被害も防げたのではないか」などと市にただした。 ところが、原因企業チッソ出身の塩崎信介議員(新政同友クラブ)が19日の本会議で「発言はすべて簡明にし、議題外にわたってはならない」との規則に反しているとして動議。9対5で可決し議長が削除した。 野中議員は事前
水俣病の認定を求めた女性が最高裁判所で争っている裁判で、女性の弁護士が「水俣病と診断した医師に、環境省が事実とは異なる証言を裁判で行うよう要請した」として、最高裁に文書を提出したことを明らかにしました。 環境省は「専門家の意見に対して虚偽の証言を要請するような事実はない」としています この裁判は大阪に移り住んだ熊本県出身の87歳の女性が、水俣病の患者としての認定を求めたもので、1審は女性を水俣病と認めましたが2審で逆転敗訴し、最高裁で争われています。 会見した弁護士によりますと、この裁判では「国立精神・神経センター国府台病院」の名誉院長の佐藤猛医師が、国の依頼を受けておととし、記録などを基に女性の診断を行いました。 佐藤医師は女性を「水俣病である」と診断したものの、環境省の担当者から「熊本県の審査会は水俣病ではないとしている。この判断が妥当だと裁判で証言してほしい」として、2審が開かれてい
水俣病救済判定、国認識に疑問呈す 泉田知事「処分性はある」 水俣病特別措置法に基づく救済策の対象者判定をめぐり環境省が異議申し立てができる行政処分には当たらないとの解釈を示していることについて、泉田裕彦知事は20日の会見で「対象者になると法的地位が変わることになり、処分性はあると思う」と国の認識にあらためて疑問を呈した。 泉田知事は「判定によって(医療費の自己負担分などを)給付するかどうかが変わる」と指摘。「他の手続きとの兼ね合いや規定もあるが、処分性ありと結論が出せるよう(県庁内で)調整している」と語った。 環境省は昨年7月に「判定の決定は行政処分に当たらない」との見解を通知したが、本県は「専門家と検討中」と対応を保留している。熊本、鹿児島両県は環境省の方針を受け、申し立てを却下する考えを示している。 県によると、県内では患者3人が判定の見直しを求め申し立てている。
動物学を中心とした自然科学の本で存在感を示してきた「どうぶつ社」が今年で廃業する。東京のジュンク堂池袋本店7階で「どうぶつ社の36年」と題したフェアが12月10日まで開かれている。 久木(ひさき)亮一さん(70)が創業した。初期は上野動物園長などを務めた故・増井光子著『動物の親は子をどう育てるか』(1978年)や、「サルの群れにはボスはいない」ことを示した伊沢紘生著『ニホンザルの生態』(82年)が注目された。その後心理学や進化生物学にも領域を広げる。のちに「結婚4年で破綻(はたん)説」で有名になるヘレン・フィッシャー著『結婚の起源』も評判になった。装丁の多くは戸田ツトムさんが手がけ、書店の店頭でも目を引いていた。 多いときは社員が久木さん含め6人いたが、最近は妻と2人で切り盛りしていた。久木さんの年齢もあって、会社をたたむことにした。会社を買いたいという申し入れもあったが断った。「自分で作
写真 もっと医療面薬効かないうつ病に新治療 脳神経を電気刺激で活性化(2019/7/24) 薬による治療では効果が十分に表れない中等度以上のうつ病に対する新しい治療に、6月から公的医療保険が適用されるようになった。磁気を生成する…[続きを読む] 熱中症になりやすい人って? 夏が到来、予防方法を確認[ニュース・フォーカス](2019/7/24) 暑さに負けない水分補給 経口補水液の上手な使い方とは[ニュース・フォーカス](2019/7/22) 就寝中に心拍数上がる 人工呼吸器で睡眠の質改善へ[患者を生きる](2019/7/24) 心電図で洞性不整脈と診断 心臓の病気につながる?[どうしました](2019/7/24) 私の伸ばした長い髪をウィッグに 小学生が寄付[ニュース・フォーカス](2019/7/24) 丹波篠山市と兵庫医大、分娩休止めぐり初協議[ニュース・フォーカス](20
水俣市の「公害をなくする県民会議医師団」(藤野糺(ただし)団長)は13日、同市山間部の越小場(こしこば)地区住民を対象にした水俣病集団検診で、受診した13人すべてに水俣病の代表的な症状とされる手足の感覚障害が確認されたと発表した。 地区は水俣市の中心部から約10キロ東側の山間部。集団検診は5月27日に地元公民館であった。23世帯が住む地区内の集落を選び、43歳以上の住民50人に受診を呼びかけ、13人が応じた。一方、同じ集落で水俣病被害者救済特別措置法(特措法)に基づく救済状況を尋ねたところ、回答した43人のうち11人が既に救済を受け、4人が申請中と答えたという。 国は水銀汚染魚の多食を推定できる沿岸部を中心に「救済対象地域」を設定しているが、山間部の多くは外れている。藤野団長は「予想以上に山間部にもまだ多くの被害者がいる。特措法の救済申請を7月末で締め切るべきではない」と述べ、国が決めた申
医師として水俣病患者の診療や公害問題の解決を訴え、水俣病研究の第一人者だった原田正純さんが11日午後10時12分、急性骨髄性白血病のため熊本市東区長嶺南7の1の30の自宅で亡くなった。77歳だった。 鹿児島県出身。鹿児島のラ・サール高、熊本大医学部を卒業し、熊本大大学院神経精神科教室へ入った。水俣病公式確認(1956年)から約5年後の61年、現地調査のため初めて熊本県水俣市を訪れ、母胎内で有機水銀を浴びた胎児性患者に接した。当時の医学で胎盤は化学物質を通さないとされていたが、症例を集めて62年、胎児性水俣病の存在を立証した。 患者29世帯が原因企業チッソ(東京)に損害賠償を求めた水俣病1次訴訟の原告支援を目指した水俣病研究会に参加し、73年の原告勝訴判決(熊本地裁で確定)につなげた。72年、スウェーデンのストックホルムで開かれた第1回国連環境会議に胎児性患者らと乗り込み、公害被害を世界に伝
関西水俣病訴訟で水俣病とされた大阪府の女性(86)(熊本県水俣市出身)が行政上の患者認定を求めた訴訟で、請求を退けて逆転敗訴とした12日の大阪高裁判決は、国の認定基準を相当とした理由を「当時の最新の医学的知見に基づいて策定され、現在も異なる事情は実証されておらず、十分な合理性がある」と述べた。女性側は上告する方針。 水俣市の別の女性の遺族が起こした同種訴訟の福岡高裁判決(2月)は国の認定基準を否定しており、高裁レベルで判断が分かれた。 判決で坂本倫城(みちき)裁判長は、感覚障害以外に視野狭窄(きょうさく)など別の症状が必要とする国の認定基準について「感覚障害だけ(の認定)では、水俣病でないものを水俣病として取り込むおそれが強く、慎重な考慮が必要」と述べ、肯定。女性が水俣病が原因と主張したしびれ(感覚障害)についても、首の骨の変形による可能性があると指摘した。 一方、認定基準が、複数の症状が
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