リビアのムアマル・カダフィ大佐が、生まれ故郷シルトの穴蔵(排水溝)に潜んでいたことを知るとき、我々はもう一人のアラブ独裁者を思い浮かべる。8年前に権力の座を追われたイラクのサダム・フセイン元大統領(1937~2006年)だ。彼も、バグダッド陥落(2003年4月)後、姿を消し、最後は故郷ティクリート近郊の穴蔵に隠れた。 ただフセイン氏が若い米兵によって穴蔵から引きずり出されたのに対し、カダフィ大佐を発見したのはリビア人だった。フセイン政権を倒したのは米国の軍事力だったが、カダフィ政権を打倒したのは、「アラブの春」に触発されたリビア人である。欧米の軍事支援を受けながらもアラブ人自身が独裁者を葬ったことに、この間のアラブ地域の地殻変動をみることができる。 カダフィ大佐の死亡は、第二次世界大戦後の中東で拡大したアラブ民族主義(汎アラブ主義)の完全な終わりを意味している。 国境を超え民族の連帯を訴え
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